冬のない年
1877年に米国で起こった大暖冬
冬のない年(ふゆのないとし、英: The Year Without a Winter)とは、アメリカ合衆国ミネソタ州で1877年から1878年にかけて発生した記録的暖冬のことである[1]。ミネソタ州の平年の12月から翌年2月までの平均気温が華氏17度(摂氏約-8.3度)なのに対し[2]、1877年12月から翌年2月までの平均気温は華氏29度(摂氏約-1.7度)であった。
概要
編集ウィリアム・チェニー(William Cheney)という、地元の新聞に天気予報を執筆していた人物の報告によれば当時の気象状況は以下の通りである[1]。
1877年11月:1870年以来最も暖かい11月である。1日と2日は雨、7日と8日は3インチ(約0.75メートル)の降雪。18日は2インチ(約0.5メートル)の降雪。27日と28日は3センチの降雪と強風。8日と18日の雪はすぐに融雪した。21日の雨が原因で道路状態が悪くなった。そのほかの大部分は曇り。
1877年12月:先例のない、季節外れの、不愉快な気候。霧や雨の日が多い。農民たちは遅くとも23日まで耕している。ペピン湖に流れる川は月末まで凍らなかった。28日に花が開花。顕著な霧が18日から21日まで発生。泥のために道路は通行不能箇所有り。1ヶ月の内晴れは4日で、15日は曇り。状況としては1857年12月に近い。
1878年1月:12月よりは寒いが、1月にしては暖かい。非常に寒い日は1ヶ月の内2日しかなかった。30日までそりを走らせるのに十分な雪は降らず、30日に6.5インチの降雪が有り、都市部ではそりによる運搬に適切だったが重い物を運ぶには十分でない。12月にぬかるみになった道路は1月の数日で凍り、さらに走りづらくなった。雪がないことで、あらゆる業種は打撃を受けた。1ヶ月の内13日は曇り。
1878年2月:今月はこれまでミネソタで知られている最も注目に値する「冬」となって終わった。そりはぬかるみの道のためほとんど動かせない。0度を下回ったのは5日だけである。私が記録したこれまでの冬の気温よりも10度高くなる。雪がほとんど無いことは、経済にいくらか有害である。また木の伐採も出来ない。ただし、燃料が少なくて済むという意味では快適である。平均気温は昨年2月とほとんど同じであったが、いくつかの点で快適ではない。曇りの日が多かった。5.25インチの降雪があったが、2つの嵐で泥に変わってしまった。小麦の播種は州の一部で始まったと報告されているが、昨年より遅れている。1ヶ月の内13日は曇り。
1878年3月:私が記録した中で最も暖かい3月である。13年前から昨年までの平均気温より21度高い。33年間の平均気温より12度高い。気温は穏やかであり、時々降ったにわか雨と合わせて、作物はとてもよく育っている。小麦の播種は月の終わりまでに完了しそうだ。1ヶ月の内、降雪は30日の朝にわずかに降ったのみ。曇りは6日。
1878年4月:私が記録した中で最も暖かい4月である。気温が氷点下に達した日は1日のみ。雨がよく降り、そのために作物は着実に生長している。1ヶ月の内9日は曇り。
1878年5月:これまでは常に暖かかったが、5月は非常に寒く、1867年以来最も寒い5月である。深刻な霜が発生せず、雨がよく降ったため、作物にとっては好環境である。雨は月の後半によく降った。1日だけわずかな降雪があった。 — William Cheney、 Minneapolis Tribune
影響
編集類似の出来事
編集1930年から1931年、2002年から2003年にも同様の事象が発生した。前者の冬の平均気温は華氏26.9度、後者は華氏26.8度だった[1]。
脚注
編集- ^ a b c d e “The Year Without a Winter: 1877-78”. Saint Paul, MN, USA: State of Minnesota (2015年7月). 2020年6月12日閲覧。
- ^ Ross, Douglas (1971–2000). “Daily Normals for the Twin Cities”. NCDC. 2007年6月7日閲覧。