典鋳司
典鋳司(てんちゅうし/てんじゅし/いもののつかさ)は、律令制の官司の1つで、大蔵省所管。金・銀・銅・鉄の鋳造や、鍍金、彫金、瑠璃(るり、ガラス)の細工、および玉作りなどをつかさどった。大司に区分される。
概要
編集職員には正(正六位上相当)・佑(従七位下相当)・大令史(大初位上相当)・小令史(大初位下相当)各1名のほか使部10人、直丁1人、伴部の雑工部10人がおり、これらの作業を行う雑戸の雑工戸(ぞうくこ)が付属していた。
『続日本紀』巻第三の文武天皇慶雲元年4月(704年)の記事によると、
とある。典鋳司が大宝令で新設されたばかりで、工人の配属が遅れ、令施行から数年間は官司として機能していなかったため、鍛冶司がかわりに諸国印の鋳造を行っていたのではないか、と新井喜久夫は述べている。
その後、『続紀』巻第九によると、元正天皇の神亀2年11月(725年)に、典鋳正・正六位上の播磨直弟兄(はりま の あたい おとえ)に従五位下を授けたとする記事があり[2]、また『万葉集』巻第八、1549番の題詞には、
とある。以上のことから、次第に官司として整備されていったことがわかる。