海上公試
(全速航行試験から転送)
海上公試(かいじょうこうし)とは、船舶建造の最終段階で行う性能試験のこと。改装工事などで性能に変化があった時も行われる。船舶が全てにおいて所定の性能を有するか否かを確認する、いわば最終テストである。海上公試運転、公試運転、または単に公試とも呼ばれる。一般商船の場合は通常数日で終了するが、大型艦艇の場合は数ヶ月にわたり、延べ30日以上の海上公試を行う場合もある。その後最終艤装や仕上げ塗装を行い、就役となる。
艦船公試
編集艦船公試では、旋回試験、速力試験、燃費計測、クラッシュ・ストップ・アスターン試験、その他各種計器のテストなどが行われる。
全速航行試験
編集艦艇の全速を出す速力試験。
速力試験
編集エンジン出力を段階的に変化させ、その時の船の速度を計測する試験。一定の距離を舵を切らずに直線で通過し速度を計測する。風や潮流の影響を排除するため、同一区間を数往復し、その平均をとる。1960年代までは1海里の間隔で設置された標柱(東京湾口の館山沖など)の間を直進してその通過時間から速力を求めていた。海上交通の混雑が激しい現在では任意の地点で直線航行し、航跡記録から速力を求める方式が主流となっている。
クラッシュ・ストップ・アスターン試験
編集エンジンを全速前進から、中立、全速後進とし、船を急停止させるテスト。エンジンが壊れることを覚悟で急停止しなければならない場面を想定してのテストなのでクラッシュ~の名が付いている。ちなみに「スターン」は船尾を指すことから後進(a Stern:アスターン)の原義となった。
武器公試
編集例)日本海軍では「兵装公試」と呼び、以下の項目があった。
参考文献
編集- 日本造船学会『昭和造船史 第1巻』(原書房、1981年)
外部リンク
編集- 航海士便り - archive.today(2013年4月27日アーカイブ分)[リンク切れ](海上公試、速力試験の項を参考とする)