修正資本主義
修正資本主義(しゅうせいしほんしゅぎ、英語:Modified Capitalism)とは、資本主義が持つ様々な問題点を緩和し解消することで福祉国家を目指そうとする思想で、体制のことをも指す。
この言葉は、経済同友会の大塚万丈らが1947年にとりまとめた『企業経営の民主化 修正資本主義の構想』の中で初めて用いられた[1]。
概要
編集元々、資本主義に基づく経済は誰かによって計画・管理されるものではないから、所得格差・失業・恐慌など様々な問題を発生させてしまう。
これら資本主義の欠陥が生み出す諸問題に対し、政府は経済への介入や政策の実行によってその解消・緩和を図るべきだとする考え方が修正資本主義である。現在の先進資本主義国は程度の差こそあれ修正資本主義を採用している。
資本主義の欠陥がどこにあるのか、それらが生み出す諸問題にはどう対処すべきかなどにはさまざまな意見があるものの、基礎としては次のような考えに基づいている。
- J・バーナムを始祖とする経営者革命論 大企業では株式所有者が広く分散しているため、資本家によってではなく専門の経営者によって運営されることになる(所有と経営の分離)。この経営者は資本家に対しても労働者に対しても中立な立場を保つことができるので、両者の協調を促進するような企業経営が可能になる。これに伴い資本の所有と非所有に起因する階級対立は次第次第に解消していく。
- ケインズ経済学 国家の経済活動や規制導入によって資本主義が生み出す諸々の問題を回避するとともに、社会政策や租税の賦課でもって所得格差を緩やかにすることができる。
マルクス経済学はこのような体制に否定的で、国家が経済活動に介入したところで階級対立などを無くすことは出来ず、結局のところは大資本家への資本集積を補完・促進しているのみだと説く。