佐々木潤之介
佐々木 潤之介(ささき じゅんのすけ、1929年7月16日 - 2004年1月23日[1])は、日本近世史学者。民衆史に着目し、「世直し状況」論、「幕藩制国家」論を提唱した。学位は文学博士(東京大学・1960年)。一橋大学名誉教授。一橋大学教授・早稲田大学教授・歴史学研究会編集長を歴任。
人物情報 | |
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生誕 |
1929年7月16日 日本 秋田県大館市 |
死没 |
2004年1月23日 (74歳没) 日本 東京都青梅市 |
出身校 | 東京大学 |
学問 | |
研究分野 | 歴史学(日本近世史) |
研究機関 | 一橋大学 |
経歴
編集現在の秋田県大館市生まれ。秋田県立大館中学校(現秋田県立大館鳳鳴高等学校)、東京高等学校を経て、1953年東京大学文学部国史学科卒業[2]、1960年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。
1960年法政大学第二高等学校教諭、1961年一橋大学社会学部講師、1965年同助教授、1971年同教授、1975年一橋大学社会学部長を経て、1993年一橋大学を定年退官し、一橋大学名誉教授の称号を授与される。以後神奈川大学教授を経て、1997年早稲田大学教育学部教授を務めた。
2004年1月23日、東京都青梅市の病院で脳梗塞のため死去[3]。
研究内容・業績
編集- 民衆史の立場にたち、抑圧される民衆とその叛乱という視点から徳川時代を研究した。指導学生に田崎宣義一橋大名誉教授、米倉誠一郎一橋大名誉教授、酒寄雅志国学院大学栃木短期大学教授[4]、稲田雅洋東京外国語大学名誉教授[5]などがいる。
- 『幕末社会論』などで「豪農ー半プロ」への農民層分解を研究し、「世直し状況」論を提唱した。また、『幕藩制国家論』で幕府・藩と人民の封建的関係を問題とする幕藩体制(構造論)から幕府ー藩を一つの国家として考察する「幕藩制国家」論を開始した。
- 韓国の経済史学者李栄薫は、佐々木の「アジアの革命の主体として貧農が歴史的に形成され、発展してきた過程を追求することが、アジアの革命の時代を生きている歴史学徒に付与された任務」という内容の論文を読んで大きな感銘を受け、経済史学者としておこなうべきことを発見したと述べている[6]。
著作
編集- 『幕藩権力の基礎構造 「小農」自立と軍役』御茶の水書房, 1964
- 『日本の歴史 12 大名と百姓』中央公論社、1966 のち文庫
- 『幕末社会論 「世直し状況」研究序論』塙書房, 1969 (塙選書)
- 『世直し』岩波新書, 1979
- 『近世民衆史の再構成』校倉書房, 1984
- 『幕藩制国家論』東京大学出版会, 1984
- 『幕末社会の展開』岩波書店, 1993
- 『地域史を学ぶということ』吉川弘文館, 1996
- 『江戸時代論』吉川弘文館, 2005
- 『民衆史を学ぶということ』吉川弘文館, 2006
編著
編集- 村方騒動と世直し 世直し状況の研究 青木書店, 1972-73 (歴史学研究叢書)
- 日本民衆の歴史 3 天下統一と民衆 三省堂, 1974
- 日本民衆の歴史 4 百姓一揆と打ちこわし 三省堂, 1974
- 日本民衆の歴史 5 世直し 三省堂, 1974
- 新編日本史研究入門 石井進共編 東京大学出版会, 1982
- 日本中世史研究の軌跡 永原慶二共編 東京大学出版会, 1988
- 史料による日本の歩み 近世編 児玉幸多共編 新版 吉川弘文館, 1996
- 北秋田と羽州街道 佐藤守,板橋範芳共編 吉川弘文館, 2000 (街道の日本史)
- 家族と国家 吉川弘文館, 2002 (日本家族史論集)
- 家族史の方法 吉川弘文館, 2002 (日本家族史論集)
脚注
編集- ^ “佐々木潤之介氏死去/一橋大名誉教授”. 四国新聞社. 2022年6月18日閲覧。
- ^ 『東京大学卒業生氏名録 自昭和27年度至昭和28年度』東京大学、1954年10月7日、38頁。NDLJP:9542662/33。
- ^ “佐々木潤之介氏死去/一橋大名誉教授”. 四国新聞社. 2022年6月18日閲覧。
- ^ 「昭和57年度 学位授与・単位修得論文一覧」一橋大学
- ^ 「昭和43年度学位授与・単位修得論文」一橋研究
- ^ “이영훈 서울대 명예교수, “자본주의 맹아론은 대한민국 부정으로 이어지는 주장”” (朝鮮語). 月刊朝鮮 (2017年3月31日). 2017年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年5月11日閲覧。