人事興信録』(じんじこうしんろく)はかつて存在した日本の人名録(紳士録[1]。各界で著名な日本人在日外国人の情報をまとめていた[1]

概要

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1902年に人事興信所を設立した内尾直二により、翌年の1903年に創刊された[2]

人物の身分、職業の他、戸籍調査などに基づく家族・親類情報が掲載されている[2]。情報源としては戸籍の他、東京興信所大阪興信所商業興信所帝国興信所等他社の同種の刊行物を参考にしている[3]。読者からの情報提供も募集していた[4]

第4版(1915年)の採録者数は1万3917名[5]

B5版2冊組、価格は12000円(1957年版の場合)[6]

後に興信データが2000年に初版を復刻版を発売した[7]

2009年刊の第45版で終刊した[1]。第45版は上下巻で、約8万人を採録した[8][9]

『人事興信録』データベース

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名古屋大学大学院法学研究科が2014年からテキストベースのデータベース化に取り組み、2018年に最初の第四版の内容を公開した[10]。2023年時点では初版(明治36年版)、第四版(大正4年版)、第八版(昭和3年版)が公開されている[2]

各版の刊行

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1903年の創刊から1945年までに以下の14版が刊行された[11]

  • 1903年(明治36年)4月18日発行第1版
  • 1908年(明治41年)6月18日発行第2版
  • 1911年(明治44年)3月25日発行第3版
  • 1915年(大正4年)1月10日発行第4版
  • 1918年(大正7年)9月15日発行第5版
  • 1921年(大正10年)6月15日発行第6版
  • 1925年(大正14年)8月5日発行第7版
  • 1928年(昭和3年)7月10日発行第8版
  • 1931年(昭和6年)6月23日発行第9版
  • 1934年(昭和9年)10月28日発行第10版
  • 1937年(昭和12年)3月13日発行第11版
  • 1939年(昭和14年)10月20日発行第12版
  • 1941年(昭和16年)10月1日発行第13版
  • 1943年(昭和18年)10月1日発行第14版
  • ……
  • 2007年(平成19年)3月発行第44版
  • 2009年(平成21年)1月発行第45版

脚注

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  1. ^ a b c 知っていると便利 人物情報を探すには (PDF) - 東京都立中央図書館(2017年3月)2023年6月3日閲覧。
  2. ^ a b c 『人事興信録』データベースについて”. 名古屋大学大学院法学研究科. 2023年6月26日閲覧。
  3. ^ 増田+佐野 2017, p. 17.
  4. ^ 増田+佐野 2017, p. 18.
  5. ^ 増田+佐野 2017, p. 21.
  6. ^ 『農林省図書館参考図書目録』1966年、p.6
  7. ^ 人事興信録 第1版 - 国立国会図書館サーチの検索結果(2023年6月3日閲覧)
  8. ^ 人事興信録 第45版 上”. honto. 2023年6月26日閲覧。
  9. ^ 人事興信録 第45版 下”. honto. 2023年6月26日閲覧。
  10. ^ 名古屋大学、『人事興信録』データベースを公開 - Current Awareness Portal(国立国会図書館、2018年8月7日)、2023年6月4日閲覧。
  11. ^ 増田+佐野 2017, pp. 3–4.

参考文献

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  • 増田知子、佐野智也「近代日本の『人事興信録』 (人事興信所) の研究 (1)」『名古屋大学法政論集』第275巻、名古屋大学大学院法学研究科、2017年12月25日、1-43頁、doi:10.18999/nujlp.275.1 

外部リンク

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