京都精華大学生通り魔殺人事件

2007年に日本の京都府京都市で発生した殺人事件

京都精華大学生通り魔殺人事件(きょうとせいかだいがくせいとおりまさつじんじけん)は、2007年平成19年)1月15日京都府京都市左京区で発生した殺人事件京都・岩倉 大学生殺人事件[1]精華大生刺殺事件[2]とも。犯人は特定・検挙されておらず、未解決事件として捜査中。

京都精華大学生通り魔殺人事件
正式名称 左京区岩倉幡枝町における大学生殺人事件
場所 日本の旗 日本京都府京都市左京区岩倉幡枝町
座標
北緯35度4分12.791秒 東経135度46分37.812秒 / 北緯35.07021972度 東経135.77717000度 / 35.07021972; 135.77717000座標: 北緯35度4分12.791秒 東経135度46分37.812秒 / 北緯35.07021972度 東経135.77717000度 / 35.07021972; 135.77717000
日付 2007年平成19年)1月15日
19時45分ごろ (UTC+9)
概要 自転車で帰宅中の被害者が何者かと口論になり、犯人が被害者を刺殺して逃走した。
攻撃手段 刺殺
攻撃側人数 1人
武器 刃物
死亡者 1名
被害者 京都精華大学の男子学生(当時20歳)
犯人 自転車に乗った男
容疑 殺人
動機 不明
対処 下鴨警察署捜査本部が捜査中
管轄 京都府下鴨警察署
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発生時の状況

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2007年1月15日午後7時50分頃、京都精華大学マンガ学部1年生の男性(当時20歳)が自転車で大学から帰宅する途中、京都市左京区岩倉幡枝町歩道で自転車に乗った男と鉢合わせしたところ口論になり、男に小型の刃物(幅約1 - 2センチ)で胸や腹など全身十数か所を刺された[3]。午後7時52分、事件現場に到着した京都市消防局救急隊員によって病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された[3]。現場は京都精華大学の南東およそ600メートル、叡山電鉄木野駅から南に約100メートルの閑静な住宅街で、夜間は人通りが少ない[3]

第一発見者の通行人が発見した時には被害者には意識があり、刺されたことを伝えて通報を頼んでいた[4]。その後に到着した下鴨警察署員に「犯人は面識のない人だった」と回答していた[5]

被害者は明るい性格でクラスのリーダー的な存在で、知人らは「これまでにトラブルがあるようなことは聞いたこともない」と話している[4]

司法解剖の結果、死因は失血死と判明し、被害者には心臓や肺に達する複数の致命傷があった他、背中にも傷が確認された[6][7]。現場近くの歩道の約1.5メートル下の畑には被害者が履いていたスニーカーとは別に、もう1人分の足跡が残っており、2人が激しく動き回り、争ったような形跡が見られた[6]

第一発見者が事件現場を自転車で通過したとき、20 - 30歳位の不審な男が畑に背を向け車道に座り込み、その後ろの畑に人が倒れているのを目撃[6][8]。気になったので30秒後に現場に戻ると、男の姿は既になく、代わりに被害者が歩道に這い上がって携帯電話を横に助けを求めていた[8]。男は被害者の大学生に向かい大声で「アホ」「ボケ」などの暴言を繰り返し、興奮していた[9]

男が興奮していた理由は不明だが、当時被害者は自転車で歩道の右側を走っており、男は左側を走っていたところで鉢合わせになり、自転車の通行を巡って口論になったとみられ、そこで激昂し殺害に至ったのではないかとみられている(歩道の約1.5メートル下にある畑の側にはガードレールが設置されていなかった。さらに街灯の少ない夜道のため、自転車ですれ違う際、畑に転落する危険もあった[10][6]

捜査経過

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2007年2月15日、京都府警は犯人の似顔絵を公開、情報提供を求めた[11]。その後、新たに寄せられた目撃証言を元に別の似顔絵を公開した[注 1][12]

2007年12月14日、第5回捜査特別報奨金制度の対象となった[13][14]。制度適用を受け、被害者の指導講師らは漫画冊子[注 2]を作成し、京都駅などで配布して情報提供を呼びかけた[15]

現在も警察庁の捜査特別報奨金制度対象事件となっており、京都府警は犯人とみられる男の情報提供を求めている[16](警察庁「捜査特別報奨金に関する広告(令和6年12月7日)」)。

犯人とみられる人物

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京都府警察が発表した、目撃証言と遺留品から判断した男の特徴は以下の通り[17]

  • 年齢:20 - 30歳位
  • 身長:170 - 180センチメートル
  • 髪:センター分け(ボサボサ)
  • 服:上下黒っぽい服装
  • その他:黒っぽい色の「ママチャリ」風の自転車(軽快車)に乗っていた。
  • 態度:興奮していて顔や上半身を左右に振り、言葉尻に「アホ、ボケ」を連発し、目の焦点が合っていない。
  • 靴の大きさ:28 - 29センチメートルの外国製登山靴(遺留品ではないが、畑に残された足跡で判明)

脚注

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注釈

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  1. ^ 現場南側を自転車で通りかかった京都市内の大学職員の目撃情報より、2月に公開した似顔絵よりも詳細に作成した[6]
  2. ^ 前半部分は京都府警の情報をベースに犯人の特徴や仕草などを描写している。後半部分では被害者の人柄を紹介している[15]

出典

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  1. ^ 京都府警察/左京区岩倉幡枝町における大学生殺人事件
  2. ^ 「息子、大きな存在だった」 精華大生刺殺事件15年で母が手記 - 産経ニュース
  3. ^ a b c 路上で刺され、男子大学生死亡 殺人容疑で捜査 京都」『朝日新聞』2007年1月16日。オリジナルの2007年1月17日時点におけるアーカイブ。2024年10月4日閲覧。
  4. ^ a b 朝日新聞』2007年1月16日 朝刊 1社会31頁「全身刺され大学生死亡 京都・左京、大学近くの路上【大阪】」(朝日新聞大阪本社
  5. ^ 『朝日新聞』2007年1月16日 夕刊 1社会11頁「不審な若い男姿消す 直前、近くで言い争い 京都・路上刺殺【大阪】」(朝日新聞大阪本社)
  6. ^ a b c d e 歩道で襲い畑を追い回す? 足跡残る 京都の大学生刺殺」『朝日新聞』2007年1月17日。オリジナルの2007年1月20日時点におけるアーカイブ。2024年10月4日閲覧。
  7. ^ 読売新聞』2007年1月17日 全国版 大阪朝刊 社会39頁「精華大生刺殺 直前、若い男と口論 通行トラブルきっかけ?/京都府警調べ」(読売新聞大阪本社
  8. ^ a b 毎日新聞』2007年1月18日 大阪朝刊 社会面27頁「京都・大学生刺殺:近くで自転車押収 畑に多量の血痕」(毎日新聞大阪本社
  9. ^ 『朝日新聞』2007年12月14日 朝刊 2社会34頁「教え子の無念、漫画で訴え 指導の教師、小冊子作成 京都精華大生刺殺事件【大阪】」(朝日新聞大阪本社)
  10. ^ 『読売新聞』2007年1月22日 全国版 大阪夕刊 夕社会13頁「京都・精華大生刺殺1週間 脇道逃走、現場に土地鑑? 複数証言も犯人像絞れず」(読売新聞大阪本社)
  11. ^ 『朝日新聞』2007年2月16日 朝刊 1社会27頁「容疑者の似顔絵公開 京都・左京区の大学生刺殺【大阪】」(朝日新聞大阪本社)
  12. ^ 『朝日新聞』2007年3月2日 朝刊 1社会39頁「目撃情報を元に別の似顔絵公開 京都・大学生刺殺【大阪】」(朝日新聞大阪本社)
  13. ^ 『読売新聞』2007年12月15日 全国版 大阪朝刊 社会39頁「精華大生刺殺事件 漫画冊子で情報求める 公費懸賞金制度適用受け、母親ら配布」(読売新聞大阪本社)
  14. ^ 『毎日新聞』2007年12月14日 東京朝刊 総合面28頁「警察庁:公費で懸賞金、東京・世田谷殺人など指定 新たに3事件対象に」(毎日新聞東京本社
  15. ^ a b 『読売新聞』2007年12月14日 京都 大阪朝刊 京市内35頁「京都精華大生刺殺 「情報を」漫画で呼びかけ 指導講師が作成=京都」(読売新聞大阪本社)
  16. ^ 京都精華大生刺殺から16年「風化させない」…遺族ら法要、同級生漫画家は友を「描き続けるよ」」『読売新聞』2023年1月24日。オリジナルの2024年12月8日時点におけるアーカイブ。2024年12月8日閲覧。
  17. ^ 京都府警察/左京区岩倉幡枝町における大学生殺人事件

 

関連項目

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外部リンク

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