交響三章 (三善晃)

三善晃作曲の管弦楽曲

交響三章(こうきょうさんしょう)(:Trois Mouvements Symphoniques )は三善晃日本フィルハーモニー交響楽団の邦人作品に対する委嘱シリーズ第4作として作曲した管弦楽曲である。演奏時間は約25分。

初演

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1960年10月14日渡邉暁雄指揮日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会により行われた。

編成

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ピッコロフルート持ち替え)、フルート2(ピッコロ持ち替え)、オーボエ2、コーラングレクラリネット2、バスクラリネットファゴット2、コントラファゴットホルン4、トランペット4、トロンボーン3、チューバティンパニタムタム(大・小)、スネアドラムタンブリンバスドラムウッドブロック、合わせシンバル、吊りシンバル木魚トライアングルヴィブラフォングロッケンシュピールチューブラーベルシロフォンカスタネットチェレスタピアノハープ弦五部

構成

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全体は緩-急-緩の3つの楽章より構成されている。

三善は、『遠方より無へ』において、7つの断片的楽想(動機)を挙げているが、これらは「主題」ではないと述べている。7つの動機は、様々な形で変形されることにより、作品の旋律的・和声的な側面を構成している[1]

7つの動機

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  • 動機1:第1楽章冒頭に現れる[2]。チェロ、ヴィオラにより提示される「H-C-F」という音列と、チェロ、コントラバス、ピアノにより提示される「C-Es-Ges」という縦軸の和音からなる。
  • 動機2:第1楽章、練習番号3に現れる[2]。フルートにより提示される「Des-B-A-As-C-D-Cis-Es-C-H」という音列からなる旋律である。
  • 動機3:第1楽章、練習番号8に現れる[2]。ヴァイオリン、ヴィオラにより提示される「A-C-Gis-A-B」というリズミカルな音形である。
  • 動機4:第2楽章冒頭に現れる[2]。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンにより提示される「H-C-F-Fis-E-G-Gis-Dis-A-D-Fis」という旋律である。
  • 動機5:第2楽章、練習番号1に現れる[2]。2本のフルートにより提示される、「F-EF-E」という同一音形のリズミカルな反復で始まる2声の旋律である。
  • 動機6:第2楽章、練習番号8に現れる[2]。チェロとヴィオラにより提示される「D-Es-A-B-Fis-G-Des-C-H-F-Ges-Des-C」という音列からなる旋律である。
  • 動機7:第3楽章冒頭に現れる[2]。フルート、ホルン、トランペットにより受け渡される「音色旋律」と、ファゴットによる対旋律との組合せからなる旋律(変奏曲の主題)である。

第1楽章

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ABAの三部形式。A部分は弦楽器を中心に陰鬱な雰囲気をつくり、B部分では打楽器を多用しクライマックスを形成する。回帰するA部分では弦楽器と木管楽器とが対話し、チェロとヴィブラフォンが奏でるロ音上に静かに終結する。

第2楽章

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特定の形式に当てはまらない急速な楽章。変拍子を多用しており、スケルツォ的な性質を持つ。性格の異なる動機4、5、6が様々に変形される。

第3楽章

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変奏曲。前半部分では精緻な変奏が展開され、後半部分では速度を速めて高揚してゆく。第2楽章にも似た雰囲気のクライマックスを形成すると、急速に音量と楽器の数を減じ、細かくディヴィジされた弦楽器とフルートを中心に、静かな終結へと向かう。この楽章は吹奏楽でもよく演奏される。

出典

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  • 《交響三章》フルスコア(音楽之友社)
  • フルスコアに付属の長木誠司による楽曲解説。

脚注

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  1. ^ 《交響三章》フルスコアに付属の長木誠司による楽曲解説より。
  2. ^ a b c d e f g 同上。