コーンフォース試薬(コーンフォースしやく、: Cornforth reagent)または二クロム酸ピリジニウム(にクロムさんピリジニウム、: pyridinium dichromate, PDC)は、化学式が [C5H5NH]2[Cr2O7] で表される二クロム酸ピリジニウムである。名称は1962年にこの試薬を発表したオーストラリアのイギリス人化学者、ジョン・コーンフォースに因む[2][3]。コーンフォース試薬は第一級および第二級アルコールアルデヒドおよびケトンにそれぞれ酸化する強力な酸化剤である。化学構造および機能性は、クロロクロム酸ピリジニウムコリンズ試薬などその他酸化六価クロム化合物と密接に関連している。

コーンフォース試薬
識別情報
CAS登録番号 20039-37-6
日化辞番号 J262.862G
特性
化学式 C10H12N2Cr2O7
モル質量 376.2
外観 橙〜茶色固体[1]
沸点

145–147 °C[1]

への溶解度 可溶[1]
危険性
EU分類 有毒 T有毒
酸化剤 O酸化剤
Rフレーズ R8 R43 R49 R50
Sフレーズ S17 S20 S24 S37 S45 S53 S57
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

現代では六価クロムの毒性の高さからめったに利用されることはない[4]

合成法と化学的性質

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コーンフォース試薬はピリジンに、三酸化クロムの濃縮水溶液をゆっくり添加することにより合成する。この反応は爆発を引き起こす可能性があるため、三酸化クロムは完全に水に溶かし、氷で溶液を冷却する。生成物をろ過し、アセトンで洗浄し、乾燥させると橙色の粉末が得られる。この粉末は空気に対して安定で、吸湿性も無く、pHもほとんど中性であり、取り扱いが容易である(ピリジニウムカチオンの存在により若干酸性である)。

コーンフォース試薬はジメチルホルムアミドジメチルスルホキシド (DMSO) に容易に溶けるが、アセトン、塩素化有機溶媒(ジクロロメタンなど)には溶けず、懸濁液となる[5][4]

出典

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  1. ^ a b c Alfa Caesar (2011年9月22日). “Pyridinium dichromate” (PDF). MSDS. 2011年10月17日閲覧。
  2. ^ Alexander Senning (2007). Elsevier's dictionary of chemoetymology: the whies and whences of chemical nomenclature and terminology. Elsevier. pp. 94. ISBN 0444522395. https://books.google.co.jp/books?id=Fl4sdCYrq3cC&pg=PA94&redir_esc=y&hl=ja 
  3. ^ Cornforth, R.H.; Cornforth, J.W.; Popjak, G. (1962). “Preparation of R- and S-mevalonolactones”. Tetrahedron 18 (12): 1351–4. doi:10.1016/S0040-4020(01)99289-0. 
  4. ^ a b G. Tojo and M. Fernâandez (2006). Oxidation of alcohols to aldehydes and ketones: a guide to current common practice. New York: Springer. pp. 28, 29, 86. ISBN 0387236074. https://books.google.co.jp/books?id=O6USLyDIBOUC&pg=PA86&redir_esc=y&hl=ja 
  5. ^ Steven V. Ley (1992). Oxidation. Elsevier. pp. 272. ISBN 0080405983. https://books.google.co.jp/books?id=s76Dd3brvLMC&pg=PA272&redir_esc=y&hl=ja