乳酸カルシウム(にゅうさんカルシウム、: calcium lactate)はカルシウムの乳酸塩で、化学式C6H10CaO6で表される化合物。チーズ熟成中の細菌活動により結晶化するが、工業的には乳酸炭酸カルシウムから作られ、食品添加物医薬品に用いられる。

乳酸カルシウム
calcium lactate
識別情報
CAS登録番号 814-80-2 チェック
PubChem 13144
ChemSpider 12592 チェック
UNII 2URQ2N32W3 チェック
E番号 E327 (酸化防止剤およびpH調整剤)
特性
化学式 C6H10CaO6
モル質量 218.22 g/mol
外観 白色の粉末
密度 1.494 g/cm3
融点

>200℃

への溶解度 可溶
溶解度 エタノールに易溶
酸解離定数 pKa 6.0-8.5
関連する物質
関連物質 乳酸ナトリウム
乳酸カリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

用途

編集

医療用では制酸薬やカルシウム剤として、低カルシウム血症や骨粗鬆症の治療、妊婦や発育期の児童のカルシウム補給に用いられる。様々なpHで吸収されるため、食後でなくても服用可能だが、高カルシウム血症腎結石の患者は禁忌である[1]虫歯予防のため、洗口液にも添加される。

食品用では、ベーキングパウダーの原料となる他、虫歯予防のためシュガーレス食品などに添加される。キシリトールガムに添加された乳酸カルシウムはエナメル質の再石灰化を促す[2]メロンなどのカットフルーツの食感維持のために添加される。塩化ナトリウムも同様の効果を持つが、乳酸カルシウムでは味の変化を抑えることができる[3]E番号E327

脚注

編集
  1. ^ 乳酸カルシウム「エビス」添付文書情報(イーファーマ)
  2. ^ Suda, R.; T. Suzuki, R. Takiguchi, K. Egawa, T. Sano, K. Hasegawa (2006). “The Effect of Adding Calcium Lactate to Xylitol Chewing Gum on remineralization of Enamel Lesions”. Caries Research 40 (1): 43–46. doi:10.1159/000088905. 
  3. ^ Luna-Guzman, Irene; Diane M. Barrett (2000). “Comparison of calcium chloride and calcium lactate effectiveness in maintaining shelf stability and quality of fresh-cut cantaloupes”. Postharvest Biology and Technology 19: 16–72. doi:10.1016/S0925-5214(00)00079-X.