九七式印字機
九七式印字機(きゅうななしきいんじき)は、機械式暗号の一種であり、日本陸軍の電動機械式暗号機、機密兵器通信機材九七式印字機のことである。九二式印字機の後継機種として高等司令部間の通信に用いた。
海軍の九七式印字機、および外務省の“九七式欧文印字機”については、次の各項目を参照のこと。
これらおよびその他の日本の暗号機全体については、日本の機械式暗号を参照のこと。
概要
編集日本陸軍の九七式印字機について、概要を示す。
- 九七式印字機は本体と整流器(交流100V - 直流24V)、蓄電池および他の付属品から構成される。
- 本体は打鍵盤、作動機、印字機、筐体、台板から構成され、自重は約42kg。
- 鍵文字を4つの鍵輪に設定し、平文を打鍵すると暗号文が印字される。
- 入出力文字は打鍵部の外観から判断して仮名文字である。
- 外務省や海軍の九七式と異なり、プラグボードが存在しない。
- 換字機構はエニグマ暗号機と同様の鼓胴式である。
- 九二式と同様に、陸軍は九七式に全幅の信頼は置いていなかった。
歴史
編集暗号機開発に係わった民間人
編集昭和20年当時、第五陸軍技術研究所では「暗号機及暗号解読機ノ研究」として民間研究者を研究嘱託とした(括弧内は嘱託任命年)
参考文献
編集- 「通信戦の回顧と通信戦施策に関する一考察」、仲野好雄、昭和30年
- 日本無線史第9巻、「陸軍無線史」、電波監理委員会、1951年
- 昭和14年 陸機密大日記 第2冊: 軍事機密受第四四〇号 陸軍省兵器局機械課 九七式印字機取扱法配賦ノ件(陸軍省と朝鮮、台湾、満州国および中国遠征軍の司令部に配布)
- 昭和15年 陸機密大日記 第3冊: 軍事機密受第五一七号 陸軍技術本部 通信器材九七式印字機假制式制定ノ件(印字機の外観写真あり)
- 昭和15年 密大日記 第15冊: 軍事機密受第八一六号 機械課 九二式印字機処理ニ関スル件
関連項目
編集外部リンク
編集- 国立公文書館 アジア歴史資料データベース、防衛庁防衛研究所の文献がオンライン閲覧可能。