中心傍小葉(ちゅうしん ぼう しょうよう、英:Paracentral lobule)は、大脳の内側面にある脳回中心溝の周辺の、帯状溝縁溝中心傍溝とで囲まれた領域のこと[1]中心傍回(ちゅうしんぼうかい、英:Paracentral gyrus)とも呼ばれる。中心前回中心後回の内側面側への延長にあたり、体性感覚および運動出力と関わる情報処理において様々な役割を担っていると考えられている。

脳: 中心傍小葉
左大脳半球の内側面。オレンジ色の所が中心傍小葉
右大脳半球の内側面。中心傍小葉は中央やや上、中心溝の周りに丸くラベルされている。中心傍小葉は前頭葉(黄色)と頭頂葉(ピンク色)の二つの脳葉にまたがる。
名称
日本語 中心傍小葉
英語 Paracentral lobule
ラテン語 lobulus paracentralis
略号 PCL, Lpc
関連構造
上位構造 前頭葉頭頂葉
画像
Digital Anatomist 内側
関連情報
Brede Database 階層関係、座標情報
NeuroNames 関連情報一覧
グレイ解剖学 書籍中の説明(英語)
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文献によってはこの領域は単に、中心前回中心後回の内側部分、として分類されている[2]

解剖

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グレイによる大脳皮質の機能分類。中心傍小葉を、中心溝より前を運動野(赤色)、より後ろを感覚野(青色)として描いている。
 
同じくグレイ。こちらは外側面。中心傍小葉は一般に運動皮質(赤色、主に中心前回)と体性感覚皮質(青色、中心後回)の内側面への延長と捉えられている。

中心傍小葉は前方で上前頭回と、後方で楔前部と、下方で帯状回とそれぞれ接する。また半球上縁(大脳半球の一番てっぺんの部分)を挟んで、外側面の脳回である中心前回および中心後回と接する。

中心傍小葉は中心溝を挟んで前部と後部に分けられる。

前部と後部の区分は中心溝を目印として行われるが、内側面から中心溝が見えない場合には、この区分はしばしば細胞構築学的に行われる(つまり顕微鏡で各部の皮質の層構造を見て、その差と類似性に基づいて区分けを行う)。

参考画像

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関連する脳溝

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関連するブロードマン領野

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出典

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  1. ^ a b 有国 富夫 "頭頂野の入出力構造" Equilibrium Research Vol.62, No.4(2003) pp.284-301 PDF
  2. ^ J. Rademacher, et. al. "Human Cerebral Cortex: Localization, Parcellation, and Morphometry with Magnetic Resonance Imaging" Journal of Cognitive Neuroscience Volume 4, Issue 4 (Fall 1992) pp. 352-374 PDF#5p
  3. ^ 井上芳郎「統合・基礎神経学 - 神経系の構造を中心に」『北海道大学大学院医学研究科・脳科学専攻 神経機能学講座・分子解剖学分野』、井上芳郎、1990年。 
外側面 外側溝内部 内側面 - 上部
脳底部 - 眼窩面 脳底部 - 側頭葉下面 内側面 - 下部