中国共産主義青年団
中国共産主義青年団(ちゅうごくきょうさんしゅぎせいねんだん)とは、中国共産党による指導のもと、14歳から28歳の若手エリート団員を擁する青年組織。略称は共青団(きょうせいだん)。
概説
編集トップの中央書記処第一書記は、賀軍科(2018年6月29日就任)。1920年8月に陳独秀や戴季陶[1]らが中国社会主義青年団として設立する[2]。翌年に発足する中国共産党の基盤を固めるために、下部組織として作られた。1925年の第3回全国代表大会で中国共産主義青年団、1949年4月中国新民主主義青年団と改称。1957年に現在の名称(元の名称)に決定される。団員数は8900万人(2013年末現在)。
青年が共産主義を学習する学校として機能し、実質中国共産党の予備軍とされてきた。直接中国共産党に入党することも可能であるが、将来共産党高級幹部を目指すためには先ず共青団に入団し、共産党に入党するのがエリートコースとされた。共青団が指導する下部組織として中国少年先鋒隊(少先隊)があり14歳以下の少年が所属している。
共産主義青年団中央委員会は、党中央委員会の指導を受け、共産主義青年団の地方各クラスの組織は、同じクラスの党委員会の指導を受けると共に、共産主義青年団の上級組織の指導を受ける。
青年団の県クラスおよび県クラス以下の各クラス委員会の書記、青年団委員会の書記は、党員である場合、同じクラスの党の委員会および常務委員会の会議に列席することができる[3]。
2018年の第18期全国代表大会は第1書記に賀軍科・常務書記を選出した、2017年に前任の第1書記は事実上更迭され、9カ月間にわたりトップが空席となっていた[4]。
2019年4月には共青団は2022年までに学生1000万人超を地方に派遣すると決定して「下放の復活」であるとして物議を醸した[5]。また、予算が大幅に減らされているほか、「反腐敗闘争」を進める党中央の組織から、「貴族化や娯楽化」の現象があると批判され、中央の共青団の幹部を減らすなどの改革案が発表されている[6]。
しかし、共青団は党総書記の習近平から嫌われていると報じられており、2022年10月の中国共産党第二十回大会で李克強や汪洋が党最高指導部の政治局常務委員から外れるなど共青団の影は薄くなった上[7]、首相候補と目された胡春華も政治局員を外されて降格したため党内での影響力はほぼ途絶えたともいわれている[8]。
歴代第一書記
編集- 兪秀松(1920年8月-1922年4月)
- 施存統(1922年5月-1924年12月)
- 劉仁靜(1922年年末)
- 張太雷(1925年1月-1927年4月)
- 任弼時(1927年5月-1928年6月)
- 関向応(1928年7月-1949年3月)
- 馮文彬(1949年4月-1953年6月)
- 胡耀邦(1953年7月-1978年9月)
- 韓英(1978年10月-1982年11月)
- 王兆国(1982年12月-1984年12月)
- 胡錦涛(1984年12月-1985年11月) - 第4世代
- 宋德福(1985年11月-1993年5月)
- 李克強(1993年5月-1998年6月) - 第5世代
- 周強(1998年6月-2006年11月) - 第6世代
- 胡春華(2006年11月-2008年5月) - 第6世代
- 陸昊(2008年5月-2013年3月) - 第6世代
- 秦宜智(2013年3月-2017年9月)
- 賀軍科(2018年6月ー )
団派
編集共青団出身者によってつくられている団派と呼ばれる派閥は、2002年に中国共産党総書記に就任した胡錦濤をトップに徐々にその勢力を拡大している。2006年には省・市党委書記が上海幇、省長・市長兼任の副書記が共青団出身者という構図が多く見られた。トップの上海幇は徐々に共青団出身者にとって代わられている。
団派のイメージは、2012年に令計画が高級スポーツカー運転中の事故で死亡した息子の隠蔽工作を行ったことでダメージを負ったとされる[9]。
2018年には共青団出身者の周強が最高人民法院長に就任している[10]。
しかし、団派は党総書記の習近平から嫌われていると報じられており[7]、2022年10月の中国共産党第二十回大会で李克強や汪洋が党最高指導部の政治局常務委員から外れ、首相候補とされた胡春華も政治局員を外されて降格したため党内での影響力はほぼ途絶えたともいわれている[8]。
有名な共青団出身者
編集関連項目
編集脚注
編集- ^ 范小方・包東波・李娟麗『国民党理論家戴季陶』河南人民出版社 1992年5月 132頁
- ^ 角南篤「中国レポートー中国共産党の人材育成と党学校の役割」『中国科学技術月報』12月号(第3号)、科学技術振興機構、2006年 。
- ^ “中国共産党規約(第十章) 党と共産主義青年団との関係”. 2012年6月2日閲覧。
- ^ “共青団トップ選出=9カ月ぶり空席解消-中国”. AFP (2018年6月29日). 2018年7月28日閲覧。
- ^ “「下放」の再来か…中国、地方部に若者数百万人の派遣検討”. AFPBB (2019年4月13日). 2019年4月21日閲覧。
- ^ “力そがれる共青団”. NHKNEWSWEB特集ページ「徹底解剖!中国共産党大会」 (2017年10月13日). 2018年1月2日閲覧。
- ^ a b 「非主流派重鎮を追放 人事も習氏一強―「共青団」影薄く・中国共産党大会」時事ドットコム/2022年10月23日
- ^ a b 「「エリート」胡春華氏まさかの降格 トップ24人事も習氏集権鮮明に」朝日新聞デジタル/2022年10月23日
- ^ “中国の習近平主席、党内ライバル派閥「抑え込み」で権力確立狙う”. (2016年10月8日) 2019年9月9日閲覧。
- ^ 「中国共産党大会の代表名簿に最高人民法院長の名前」日本経済新聞/2017年9月11日
外部リンク
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