上東門
平安京大内裏の門
上東門(じょうとうもん)は、平安京大内裏の外郭門のひとつである。いわゆる外郭十二門の一つには数えないが、他の門同様に用いられ、左衛門府が警固を担当した。
概要
編集大内裏の東面、陽明門の北。大宮大路に面し、土御門大路に向かう。他の門とは異なり、単に築地を切り開いただけのもので屋根がないため「土御門」と呼ばれた。
源雅信の邸宅で娘婿である藤原道長が継承した邸宅は北側で上東門から伸びる土御門大路に通じていたことから、上東門殿(第・院)とも土御門殿(邸・院)とも呼ばれ、後に道長の長女(雅信の外孫)である藤原彰子が里邸として用いたことから、女院号を「上東門院」と号した[1]。
『枕草子』「五月の御精進のほど」 (三巻本九十九段、能因本百四段)には、屋根がないため雨が降ると難渋したことから「この土御門しも、かうべもなくしそめけんと、けふこそいとにくけれ」と書かれている。
脚注
編集- ^ 野口孝子「『殿』と呼ぶ心性-平安貴族社会の邸宅表記-」初出:日本歴史学会(編)『日本歴史』第762号、吉川弘文館、2011年11月。所収:野口孝子『平安貴族の空間と時間-藤原道長の妻女と邸宅の伝領-』清文堂出版、2024年6月、209-210頁。ISBN 978-4-7924-1533-4。