一海 知義(いっかい ともよし、1929年5月15日 - 2015年11月15日)は、日本中国文学者神戸大学名誉教授河上肇研究で著名。

略歴

編集

奈良県奈良市生まれ。1953年京都大学文学部卒、吉川幸次郎の門下生の一人、同じ吉川門下の筧久美子筧文生夫妻とは友人で共著も多い。

神戸大学教授を務め、1993年に定年後は神戸学院大学教授、2000年退職。古典漢文のみでなく、近世・近代日本の漢詩文の校訂も行い、特に河上については著作多数。2007年『正伝 後藤新平』校訂で毎日出版文化賞特別賞受賞。2015年11月15日午前11時50分、急性心不全のため神戸市の自宅で死去[1]。86歳没。

著書

編集
  • 『中国詩文選7 史記』筑摩書房 1973/平凡社ライブラリー(改訂版)2010
  • 『漢詩一日一首』平凡社 全2巻 1976、新版1982/平凡社ライブラリー 全4巻 2008
  • 『河上肇詩注』岩波新書(黄版)1977
  • 『河上肇と中国の詩人たち』筑摩書房 1979
  • 『漢語の知識』岩波ジュニア新書 1981、改版 2011
  • 『河上肇そして中国 尽日魂飛万里天』岩波書店 1982
  • 『読書人漫語』新評論 1987
  • 『知っているようで知らない漢字』講談社 1991/講談社+α文庫 1995
  • 『典故の思想』藤原書店 1994
  • 『一語の辞典 風』三省堂 1996
  • 『漱石と河上肇 日本の二大漢詩人』藤原書店 1996
  • 陶淵明-虚構の詩人』岩波新書 1997
  • 『漢詩入門』岩波ジュニア新書 1998
  • 『詩魔-二十世紀の人間と漢詩』藤原書店 1999
  • 『閑人侃語』藤原書店 2002
  • 『論語語論』藤原書店 2005
  • 『漢詩逍遥』藤原書店 2006
  • 一海知義著作集』(全11巻)、藤原書店 2008-2010
    1. 陶淵明を読む。詩文集の全訳・解説
    2. 陶淵明を語る。評伝・作品研究
    3. 陸游と語る
    4. 人間河上肇
    5. 漢詩人河上肇
    6. 文人河上肇
    7. 漢詩の世界I
    8. 漢詩の世界II
    9. 漢詩の世界III
    10. 漢字の話
    11. 漢語散策
  • 『漢詩放談』藤原書店 2016
  • 『ことばの万華鏡』藤原書店 2017

共著・編著

編集
  • 『漢詩の散歩道 正・続』日中出版 1974-1976、新版 1987
  • 『河上肇 学問と詩』杉原四郎 新評論 1979
  • 『河上肇 芸術と人生』杉原四郎 新評論 1982
  • 『河上肇 人と思想』杉原四郎 新評論 1986
  • 『漢語の散歩道』筧久美子筧文生 かもがわ出版 1997
  • 『何でもわかる漢字の知識百科』阿辻哲次森博達共編 三省堂 2002
  • 『一海知義の漢詩道場』岩波書店 2004
  • 『漢語四方山話』筧久美子・筧文生 岩波書店 2005
  • 『漢字・漢語・漢詩、雑談・対談・歓談』加藤周一 かもがわ出版 2005
  • 『漢語いろいろ』筧久美子・筧文生 岩波書店 2006
  • 『続 一海知義の漢詩道場』岩波書店 2008
  • 『漢語的不思議世界 空巣老人と男人婆』筧文生・林香奈 岩波書店 2009

校訂・翻訳・編纂

編集

脚注

編集
  1. ^ 神戸大名誉教授・一海知義氏 産経新聞 2015年11月19日