ハーフパイプ

スケートボードなどのスポーツで用いられる構造物、またそれを利用した競技種目
ヴァート・ランプから転送)

ハーフパイプ(halfpipe)とは、スケートボードインラインスケートBMXで使用される代表的なセクション(構造物)。雪上に設置した物をスノーボードスキーでも使用し、そのまま競技種目名にもなっている。

ハーフパイプの断面

名前通り円筒を半分にして横に倒した形状をしており、水平な底面ボトム、円弧状の斜面トランジション、頂上の水平部分デッキからなる。またデッキの縁の部分をリップと呼ぶ。競技者はこの中をブランコのように往復し、両側の壁の頂上付近や、空中に飛び出している間に様々な技を繰り出す。

X Gamesなどの大会ではスケートボードでバート(Vert)と呼び、スノーボード・スキーではスーパーパイプと呼ぶこともある。

他に、マリオカート8・8DX・Wiiで配置されている加速機能のことも呼ぶ。

スケートボード、BMX、インラインスケート用

編集
 
ヴァートランプ
 
ミニランプ

鉄や木の骨組に合板鉄板スケートライトなどの板を張って作られ、主にスケートパーク内に設置される。ほとんどのものはリップ部分にコーピングと呼ばれる鉄パイプが埋め込まれ、リップを保護しつつ、技も掛け易くしている。大きさによりヴァートランプとミニランプに分けられる。フィート(約30cm)単位で設計されている事が多い。

ヴァートランプ
ヴァーチカルランプとも。ヴァートまたはヴァーチカルと呼ばれる競技に使われるハーフパイプ。ボトムからデッキまで3~4mと巨大で、デッキへは脇にかけられた梯子や階段で登る。走行面は頂上付近では垂直(Vertical、バーチカル)な壁となっており、これがvertの名前の由来である。
ストリートスタイルが主流となって以降ヴァートランプを設置するスケートパークは減少したが、日本でも以下の場所では確認されている。
  • 東京 Murasaki Park 東京(13ft) [1]
  • 富山 桜ヶ池公園スケートパーク(10ft)
  • 兵庫 "g"スケートパーク(13ft) [2]
  • 神奈川 鵠沼海浜公園スケートパーク(11ft)
  • 島根 Dr.Mega Ramp(12ft)
  • 愛知 Hi-5(11ft)
  • 福岡 ADAPT(11ft)
  • 静岡  JACK OCEAN SPORTS(11ft)
  • 熊本 X land(10ft)
  • 福島 スカイピアあだたらアクティブパーク(13ft)
  • 茨城 AXIS(10ft)
ミニランプ
小型のハーフパイプ。最大でも高さは2m程度で、両側の立ち上がりも比較的緩くヴァートランプのような垂直面は無い。60cmほどの特に小さいものはミニミニランプとも呼ばれる。バンク(平らな斜面)などと並びスケートパーク内の一般的なセクションで、異なる高さのものが複数配置されている場合もある。

亜種

編集

以下の3種はハーフパイプではないが、そのバリエーションとしてとらえることができる。

クォーターパイプ
ハーフパイプを半分に切った片側のみのセクション。大きさや垂直部分の有無にかかわらず、この形状の物はすべてクォーターパイプと呼ぶ。スケートパークでは他のセクションに向かう為の「発射台」となる他、ミニランプ代わりにも使われている。
スパイン / ボルケーノ
二つのクォーターパイプが背中合わせになった火山(ボルケーノ)型のセクション。コーピングは一本と二本の場合がある。ジャンプランプの一種だが、ハーフパイプと組み合わされている場合もある。
ボウル
名前の通りサラダボウルのような形状。ハーフパイプの壁が360度全方向にある形とも言える。上から見て必ずしも円形ではなく、楕円形の物、さらに複雑な形状の物もある。

スノーボード、スキー用

編集
 
スノーボードのハーフパイプ
 
ハーフパイプ
 
ハーフパイプの図

スノーボードスキー用のハーフパイプは雪を固めて作られる。雪上では速度を維持し辛いので、緩い斜面に作られた長いハーフパイプを往復しながら徐々に下っていく。かつては手掘りで深さ1m程度だったハーフパイプも、現在のオリンピックでは雪上車で作られた全長120-130メートル、深さ3-5メートル前後(年々大きくなる傾向がある)のコースを使用する。Xゲームズではさらにリップからボトムまでが深い5.5m近くのパイプが使用される。

2014年4月と2015年3月には2つのパイプを並べた競技大会「Red Bull Double Pipe」が行われた。

ハーフパイプのあるスキー場

編集

競技としてのハーフパイプ

編集

1998年長野オリンピックからスノーボードが、2014年ソチオリンピックからスキーがそれぞれ正式種目となる。左右のリップを往復し、5-7回のジャンプをする。採点は全体的印象、回転、標準技、技の大きさなどを50点満点方式で採点されるが、毎年微妙なルール変更が行われ競技者を悩ませる。正式種目化に伴い、選手たちはスノーボード協会がある国においても、各国のスキー連盟に所属する必要が生まれた。これは強い反発心を生み、当時世界最高の競技者であったテリエ・ハーコンセンらが大会出場を拒否することとなった。

また、他の競技がワールドカップを世界最高の舞台とするのと異なり、ワールドカップには出場しない有能な選手がX Gamesに出場し、世界最高の大会になっている。

クォーターパイプはオリンピック種目にはなっていないが、テリエ・ハーコンセンが主催する、ザ・アーキティック・チャレンジ(The Arctic Challenge)では、ボトムからリップまでの高さが9mのクォーターパイプを使用するなど、大会も多く行われている。なお、この種目でテリエ・ハーコンセンはリップから9.8mの高さに到達し、世界記録に認定されていたが、スキーヤーのサイモン・デュモント(Simon Dumont)に35フィート(約11m)でこの記録を塗り替えられている(2009年2月現在)。

スキーは2014年ソチオリンピックから正式種目になった。

エアの技

編集

スノーボードハーフパイプ選手

編集
男子
女子

スキーハーフパイプ選手

編集
男子
女子

関連項目

編集