ローン・サバイバー
『ローン・サバイバー』(原題: Lone Survivor)は、2013年公開のアメリカ合衆国の映画。ピーター・バーグ監督。
ローン・サバイバー | |
---|---|
Lone Survivor | |
監督 | ピーター・バーグ |
脚本 | ピーター・バーグ |
原作 |
マーカス・ラトレル パトリック・ロビンソン |
製作 |
ピーター・バーグ サラ・オーブリー ランドール・エメット ノートン・ヘリック バリー・スパイキングス アキヴァ・ゴールズマン マーク・ウォールバーグ スティーヴン・レヴィンソン ヴィタリー・グレゴリアンツ |
製作総指揮 |
ジョージ・ファーラ サイモン・フォーセット ブレイデン・アフターグッド ルイス・G・フリードマン アディ・シャンカル レミントン・チェイス ステパン・マーティローシアン マーク・ダモン ブラント・アンダーセン ジェフ・ライス |
出演者 |
マーク・ウォールバーグ テイラー・キッチュ エミール・ハーシュ ベン・フォスター エリック・バナ |
音楽 |
エクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ スティーブ・ジャブロンスキー |
撮影 | トビアス・A・シュリッスラー |
編集 | コルビー・パーカー・Jr. |
配給 |
ユニバーサル・ピクチャーズ ポニーキャニオン=東宝東和 ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ |
公開 |
2013年11月12日(AFI映画祭[1]) 2014年1月10日(全米公開) 2014年3月21日 |
上映時間 | 121分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 |
英語 パシュトー語 |
製作費 | $40,000,000[2] |
興行収入 |
$139,509,475[3] 2億7800万円[4] |
アメリカが誇る精鋭特殊部隊ネイビー・シールズによるアフガニスタンにおけるターリバーン指導者暗殺作戦中に起きた、ネイビー・シールズ史上最大の悲劇といわれるレッド・ウィング作戦を、実際に作戦に参加し、ただ一人奇跡の生還を果たした元隊員マーカス・ラトレルの手記『アフガン、たった一人の生還』を原作に映画化。
あらすじ
編集2005年6月、アフガニスタン山岳地帯でアメリカ軍が、現地の武装集団を率いるターリバーンの幹部の排除・殺害を目的としたレッド・ウィング作戦を実行する。アメリカ海軍特殊部隊ネイビー・シールズのマイケル・マーフィ大尉ら4名の隊員はCH-47 チヌーク輸送ヘリコプターから、ロープで険しい山岳地帯に降り立つ。
彼ら偵察チームの目的は現地を偵察し、無線連絡により味方の攻撃チームを誘導し、可能であれば目標を殺害することである。徒歩で目標地点に到達した彼らは、山中で山羊飼いと接触してしまう。彼らを拘束するも電波状態が悪く前線基地との連絡が取れない中、指揮官のマーフィは戦闘規則に従い、ターリバーンに察知されることを覚悟の上で山羊飼いを解放して作戦を中止することを決める。
それから1時間とたたないうちに彼らは山中で100名を超えるターリバーンに囲まれ、交戦状態に陥る。精鋭部隊であるシールズの4名は徹底的に戦うが、元来の任務が偵察のため、手にした武器は小火器のみであり、AK-47自動小銃やPKM機関銃、RPG-7で武装するターリバーン側の猛烈な攻撃に圧倒されて負傷し、時には仲間を背負って逃げ、時には断崖から転がり落ちるように飛び降りて、後退を重ねる。
この交戦でマーフィ大尉ら偵察チームの3名が死亡する。死の直前に高地で身を晒して衛星電話で決死の連絡を試みたマーフィ大尉の要請に応え、エリック・クリステンセン少佐率いるシールズの救援部隊が2機のCH-47 チヌーク輸送ヘリコプターで現地に到着するが、彼らを護衛すべきAH-64 アパッチ攻撃ヘリコプターは別地域で作戦を行っている部隊の支援に出動しており、同行していなかった。護衛無しでホバリングを行ったCH-47の一機はターリバーン側のRPG-7によって降下寸前の救出チームもろとも撃墜され、別の一機は帰投する。
深手を負い、たった一人生き残ったマーカス・ラトレル一等兵曹は、偶然遭遇した現地人のグーラーブ親子に救われ、彼らの村に匿われる。後を追って来たターリバーンはラトレルを村の広場に引き出して処刑しようとするが、村人らは数世紀にわたり守られてきた部族の掟である「パシュトゥーンワーリー」に従ってラトレルを守ることを決め、ターリバーンを追い返す。救援を求めるため、一人の村人がラトレルが書いた地図を手にアメリカ軍基地へ徒歩で向かっている間、村は多数のターリバーンからの猛烈な攻撃に晒される。村の中で混戦が繰り広げられる中、ようやくアメリカ軍の救援部隊がAH-64やAC-130 ガンシップなどの近接航空支援の元に到着する。
この戦闘にも生き残ったラトレルは村人たちに感謝の言葉を残してヘリで基地へ搬送され、緊急手術の結果ようやく一命を取り留める。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替
- 危険な思いをしながら本部へ連絡したが切羽詰まった状況から上手く伝えられず、銃撃されて失敗する。
- 足を撃たれ、所持品を奪われて殺された。
- マシュー・アクセルソン二等兵曹 - ベン・フォスター(加瀬康之)
- 愛称はアクス。
- エリック・クリステンセン少佐 - エリック・バナ(山野井仁)
- マーカスたちが衛星電話で連絡したことを疑問に思っていた。
- 現地人。
- シェーン・パットン二等兵曹 - アレクサンダー・ルドウィグ(小林親弘)
- 挨拶の際にはダンスを披露した。
- ハスラート海兵隊軍曹 - ジェリー・フェレーラ(増元拓也)
- アフマド・シャー - ユセフ・アザミ
- タリバンのリーダー。
- タラク - サミー・シーク
- シャーの右腕。
オリジナルモデル
編集- Michael Patrick "Murph" Murphy : 海軍大尉。
- SEAL・SDVチーム所属。没(29歳)。
- レッドウィング作戦に偵察狙撃班として参加。多数のタリバン兵と交戦し戦死。
- その際、敵に包囲された状況で、自らの命を犠牲としながらも、救援を求めるため本部との無線連絡を確立し要請した功績から名誉勲章を受勲。
- アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦61番艦に彼の名前が付けられた。
- Marcus Luttrell : 退役海軍一等兵曹。
- SEAL・SDVチーム所属。
- 2005年レッドウィング作戦に偵察狙撃班として参加。多数のタリバン兵と交戦しチームは全滅。多数の骨折と榴散弾による重傷を負いながらも敵の追跡を回避し地元の村民Mohammed Gulabの助けを借りて、6日後にアメリカ軍に救出され、同作戦唯一の生存者となる。その功績が称えられ、海軍十字章と名誉負傷章が贈られ、2007年に海軍を医療除隊。
- 2010年、ローン・サバイバー財団を設立。
- 2012年、自叙伝「Lone Survivor」を出版
- Matthew Axelson : 海軍二等兵曹。
- SEAL・SDVチーム所属。没(29歳)。
- レッドウィング作戦に偵察狙撃班として参加。多数のタリバン兵と交戦し戦死。
- Danny Dietz : 海軍二等兵曹。
- SEAL・SDVチーム所属。没(25歳)。
- レッドウィング作戦に偵察狙撃班として参加。多数のタリバン兵と交戦し戦死。
- Erik S. Kristensen : 海軍少佐。
- Shane E. Patton : 海軍二等兵曹。
- Daniel R. Healy : 海軍上等兵曹
- Jeffery A. Lucas : 海軍一等兵曹
- Michael M. McGreevy, Jr. : 海軍大尉。
- James E. Suh : 海軍二等兵曹
- Jeffrey S. Taylor : 海軍一等兵曹
- Jacques J. Fontan : 海軍上等兵曹。
興行収入
編集『ローン・サバイバー』は米国とカナダで1億2509万5601ドルの興行収入[7] を記録した。[2]国際興行収入29,707,311ドルと合わせて、この映画は全世界興行収入合計1億5,480万2,912ドルを記録した。
日本では、202スクリーンで公開され、7万3人を動員し、8,580万1,300円を稼ぎ出した。週末興行収入ランキングは初登場8位となった[8]。
評価
編集批評家から本作は高く評価された。映画批評集積サイトRotten Tomatoesには204件のレビューがあり、批評家支持率は75%、平均点は10点満点で6.6点となっている[9]。また、Metacriticには、44件のレビューがあり、加重平均値は60/100となっている[10]。
受賞
編集賞 | ||||
---|---|---|---|---|
賞 | カテゴリ | 対象 | 結果 | |
第86回アカデミー賞[11] | 音響編集賞 | ウィリー・ステイトマン | ノミネート | |
録音賞 | アンディー・コヤマ、ビュー・ボーダーズ、デヴィッド・ブラウンロー | ノミネート | ||
第85回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞[12] | トップ10 | 入賞 | ||
第17回ラスベガス映画批評家協会賞[13] | アクション映画賞 | 受賞 | ||
第19回クリティクス・チョイス・アワード[14] | アクション映画賞 | 受賞 | ||
アクション映画男優賞 | マーク・ウォールバーグ | 受賞 | ||
第20回全米映画俳優組合賞[15] | スタント・アンサンブル賞 | 受賞 | ||
アメリカ音響効果監督組合賞[16] | 音響効果賞: Sound Effects & Foley in a Feature Film | ウィリー・ステイトマン | ノミネート | |
音響効果賞: Dialogue & ADR in a Feature Film | ウィリー・ステイトマン | ノミネート | ||
第18回サテライト賞[17] | 脚色賞 | ピーター・バーグ | ノミネート | |
全米脚本家組合賞[18] | 脚色賞 | ピーター・バーグ | ノミネート | |
第40回サターン賞[19] | アクション・アドベンチャー映画賞 | ノミネート | ||
監督賞 | ピーター・バーグ | ノミネート | ||
メイクアップ賞 | ハワード・バーガー、ジェニー・ケルマン、ピーター・モンターニャ | ノミネート |
テレビ放送
編集回 | 放送日 | 放送時間(JST) | 放送局 | 放送枠 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2021年5月28日 | 金曜13:40 - 15:40 | テレビ東京 | 午後のロードショー | 地上波初放送、関東ローカル |
その他
編集劇中、ネイビー・シールズ隊員役としてマーカス・ラトレル本人と本作監督ピーター・バーグが出演している。
ラトレルの命を救った現地人のグーラーブは、敵兵を匿った裏切り者として、その後約10年間に渡りターリバーンから報復として命を狙われ、巻き込まれた甥が命を落とすなど、逃亡生活を続けた。2022年現在はアメリカの移民弁護士の助力により、家族と共にアメリカに移住している[20]。
日本では2022年7月11日放送の『世界まる見え!テレビ特捜部』にてラトレルとグーラーブの話題を扱った番組が放送された[21][22]。その放送内容によると、当初は友情を分かち合ったグーラーブとラトレルだったが、本映画が製作され、PRのためにアメリカに招待されたグーラーブが渡米し映画を観たところ、描かれている内容が自分の記憶と大きく食い違っている事に激怒し、ラトレルとも絶縁してしまったとのこと。
関連項目
編集- アフガニスタン紛争 (2001年-2021年)
- 戦争ポルノ
- 『アフガン』 - 2005年のロシアの戦争映画
- 『ブラックホーク・ダウン』 - 2001年のアメリカの戦争映画
- サバイバル映画 - 映画ジャンルについて、関連映画のリスト付き
脚注
編集- ^ Gray, Tim (12 November 2013). “Awards Watch: 'Lone Survivor' Delivers K.O. Punch at AFI Fest | Variety”. Variety 29 July 2023閲覧。
- ^ Lone Survivor (2013) - Box office - business
- ^ “Lone Survivor”. Box Office Mojo. January 27, 2014閲覧。
- ^ 「キネマ旬報」2015年3月下旬号 94頁
- ^ “プロダクション・ノート”. ユニバーサル・ピクチャーズ. 2013年12月13日閲覧。 p25–28
- ^ Cheney, Alexandra (November 17, 2013). “On the Horizon: The Making of 'Lone Survivor'”. ウォール・ストリート・ジャーナル. ダウ・ジョーンズ. December 8, 2013閲覧。
- ^ “Lone Survivor”. Box Office Mojo. July 7, 2023閲覧。
- ^ “『アナと雪の女王』30億円突破でV2!100億円超えも視野の大ヒット!【映画週末興行成績】”. シネマトゥデイ. 2014年3月28日閲覧。
- ^ “Lone Survivor (2013)”. 2014年3月14日閲覧。
- ^ “Lone Survivor”. 2014年3月14日閲覧。
- ^ “Oscars winners 2014: the full list”. デイリー・テレグラフ. 2014年3月14日閲覧。
- ^ “NATIONAL BOARD OF REVIEW ANNOUNCES 2013 AWARD WINNERS”. 2014年3月14日閲覧。
- ^ “Las Vegas Film Critics Awards”. Awards Daily. 2014年3月14日閲覧。
- ^ “Critics' Choice Movie Awards 2014: The winners list”. エンターテインメント・ウィークリー. 2014年3月14日閲覧。
- ^ “Stunt Performers from "Lone Survivor" and "Game of Thrones" are Recipients of the Honors for Outstanding Action Performances by Film and Television Stunt Ensembles | Screen Actors Guild Awards”. Screen Actors Guild Awards. SAG-AFTRA (January 18, 2013). January 19, 2013閲覧。
- ^ “'Gravity' and '12 Years a Slave' lead MPSE Golden Reel Awards nominations”. Hitfix. 2014年3月14日閲覧。
- ^ Pond, Steve (December 2, 2013). “’12 Years a Slave’ Tops Satellite Award Nominations”. The Wrap. The Wrap News Inc.. December 2, 2013閲覧。
- ^ Pond, Steve (January 3, 2014). “Writers Guild Nominations: 'Her,' 'Nebraska,' 'August: Osage County' Have the Write Stuff – TheWrap”. 'The Wrap'. The Wrap News Inc.. January 3, 2014閲覧。
- ^ “‘Gravity,’ ‘The Hobbit: The Desolation of Smaug’ Lead Saturn Awards Noms”. バラエティ. 2014年3月14日閲覧。
- ^ "michael wildes secures safe passage for hero mohamed gulab, who saved navy seal marcus luttrell" (Press release). Wildes & Weinberg, P.C. 2023年4月9日閲覧。
- ^ WEBザテレビジョン https://thetv.jp/program/0000805432/919/
- ^ 価格.comテレビ紹介情報 https://kakaku.com/tv/channel=4/programID=188/episodeID=1577829/[リンク切れ]