ロディニア大陸
ロディニア大陸(ロディニアたいりく、Rodinia)とは、プレートテクトニクス理論において、約11億年前から7億5000万年前にかけて存在したと考えられている[1]、世界のほぼ全ての陸塊が集まってできた超大陸である。「ロディニア」という名前はマーク・マクメナミンが1990年に命名、これはロシア語で「故郷」を意味する単語の「ロージナ」(родина, rodina)に由来する[2]。
概要
編集20世紀後半の研究の進歩により、過去の大陸移動の様子が詳しくわかってくると、パンゲア大陸以前にも、超大陸が存在したことが分かってきた。古地磁気を使った研究(古地磁気学)により、過去の大陸移動は約6億年前まで詳細に遡ることが可能で、更なる過去について各大陸の移動ルートを逆算推測し、各地の地層データも踏まえて導き出された超大陸がロディニアである。
1991年、ポール・ホフマンがアメリカの科学雑誌『サイエンス』にロディニア大陸の主要配置について発表した[3]。ロディニアは、後の超大陸パンゲアが形成された地域からほぼ正反対の、現在の太平洋地域に、やや南半球寄りに形成されたと考えられている。ロディニアの大陸配置が地球の全球凍結を引き起こした(南北両極とも海洋なので凍結しやすい)という説もあるが、いわゆるスノーボールアース現象は約7億年前の出来事とされ、ロディニアの大陸分裂が起こってから約5000万年後[4]、というのが現在の通説である。
約7.5億年前にロディニア大陸が分裂をはじめ、その後に関してはゴンドワナ大陸と呼ばれるかなり大きな大陸と、シベリア大陸、ローレンシア大陸、バルティカ大陸と呼ばれる小さな大陸へと分裂したと考えられている。ロディニア分裂後に関しては、各々の大陸が1億年ほどかけて異なる配置に集結し、新たな超大陸パノティアが約6.5億年前にできたとする異説[5]もある。
ロディニアよりも前の時代に関しては、昨今の地質学や古地磁気学データから、約20億年前から18億年前の間にあったコロンビア超大陸の存在が支持されており[6]、大陸移動説に基づいた学術研究が行われている。
生態系
編集3億年前の超大陸パンゲアには多彩な生物がいたが、ロディニア大陸は地上に生命体と呼べるものがいない、岩石だけの大地である。
ロディニアが形成された約10億年前は、海の中でようやく小さな多細胞生物(菌類)が出現するようになった時期であり[7]、陸生生物は当然いなかったと考えられている。また、これまで発見されている最古の陸上植物(の化石)も約4億7000万年前の陰胞子である[8]ため、超大陸ロディニアには原始の植物すら生えておらず、ただ岩石だけの陸塊だったと考えるのが妥当である。
脚注
編集- ^ 「テキサス州と南極大陸は地続きだった?」ナショナルジオグラフィック、2011年8月17日、2018年8月4日閲覧。
- ^ 妻ダイアナと共著『動物の出現 -カンブリア紀の大躍進-』という本で発表。ロシア語で「ロディニア」一族、親戚を意味する名詞であり、「~を生む」という意味の動詞ロディツに由来し、ロディツが元になってロディナ(生誕の地、母国の意味)ができた。(テッド・ニールド 2008年 216ページ)
- ^ テッド・ニールド 2008年 231ページ
- ^ ピーター・ウォード, ジョゼフ・カーシュヴィンク, 梶山あゆみ『生物はなぜ誕生したのか 生命の起源と進化の最新科学』河出書房新社、2016年1月14日、107-111頁。
- ^ Pietro Gaietto「Phylogensesis of Beauty」Lulu.com.(2014年4月25日).p-19.2018年8月4日閲覧。 この資料内では名称がパノティアではなく、パノニア(pannonia)と表記されている。
- ^ Zhao, G.; Sun, M.; Wilde, S. A.; Li, S. (2004年). “A Paleo-Mesoproterozoic supercontinent: Assembly, growth and breakup”. Earth-Science. 4 August 2018閲覧。
- ^ 真柳仁『高校とってもやさしい生物』旺文社、2018年3月26日、210-212頁。
- ^ 西田治文 『化石の植物学 -時空を旅する自然史』東京大学出版会、2017年06月22日。
関連項目
編集参考文献
編集- テッド・ニールド 著、松浦俊輔 訳『超大陸 : 100億年の地球史』青土社、2008年。ISBN 978-4-7917-6442-6。
外部リンク
編集この節の加筆が望まれています。 |