ロックンロール・オールナイト
「ロックンロール・オールナイト」 (英語: Rock and Roll All Nite) は、アメリカ合衆国のロックバンド、キッスの楽曲。1975年3月19日にリリースされた3枚目のスタジオ・アルバム『地獄への接吻』の収録曲。同年4月にシングル・カットされた。さらに翌年発表されたライヴ・アルバム『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』に収録されたライヴ・バージョンが大ヒットした。
「ロックンロール・オールナイト」 | ||||||||
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キッス の シングル | ||||||||
初出アルバム『地獄への接吻』 | ||||||||
B面 | ゲッタウェイ | |||||||
リリース | ||||||||
録音 | エレクトリック・レディ・スタジオ(ニューヨーク) | |||||||
ジャンル | ||||||||
時間 | ||||||||
レーベル | カサブランカ | |||||||
作詞・作曲 | ||||||||
プロデュース |
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チャート最高順位 | ||||||||
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キッス シングル 年表 | ||||||||
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キッスの象徴ともいえる代表曲で、コンサートのほとんどを締めくくってきた。
解説
編集1974年10月、2枚目のアルバム『地獄のさけび』の発表に合わせて始まった"Hotter Than Hell Tour"でロサンゼルスに滞在中、ジーン・シモンズとポール・スタンレーによって書かれた。本曲はスレイドの「クレイジー・ママ」にインスパイアされ[2]、スタンレーがコーラス部分、シモンズがヴァース部分を書き、未完成のままお蔵入りした曲"Drive Me Wild"からパーツを流用して完成させた。
同ツアーが1975年2月に終了すると、カサブランカ・レコードの社長ニール・ボガートはメンバーに対し、チャートアクションで苦戦する『地獄のさけび』に代わる新作を速やかにレコーディングするよう要請した。彼はキッスには「ロックンロール賛歌」のようなレパートリーが必要だと考えていた。
メンバーとボガートは、コーラス部分のレコーディングの際、キッスのロードクルー、居合わせたスタジオ・ミュージシャン、ピーター・クリスの妻など大人数のエキストラを連れ込み、歌と手拍子で曲を盛り上げさせた。ロード・クルーの何人かはジャケットのジッパーを上げ下げして効果音にした[3]。
パーソネル
編集- ジーン・シモンズ - リード・ヴォーカル、ベース
- エース・フレーリー - ギター、コーラス
- ポール・スタンレー - リズム・ギター、コーラス
- ピーター・クリス - ドラムス
チャート・アクション
編集1975年4月2日、同じく『地獄への接吻』の収録曲「ゲッタウェイ」をB面収録曲にしてシングル・カットされ[4]、ビルボードシングルチャートにおいてそれまでの自己最高であった「キッシン・タイム」[5]の79位を抜いて57位まで上がった。
ライヴでの演奏
編集「ロックンロール・オールナイト(ライヴ)」 | ||||
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キッス の シングル | ||||
初出アルバム『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』 | ||||
B面 | ロックンロール・オールナイト(スタジオ) | |||
リリース | ||||
ジャンル | ||||
時間 | ||||
レーベル | カサブランカ | |||
作詞・作曲 | ||||
プロデュース | エディ・クレイマー | |||
チャート最高順位 | ||||
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キッス シングル 年表 | ||||
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『地獄への接吻』の発表に合わせて1975年3月に始まった"Dressed to Kill Tour"ではアンコールに演奏された。同年10月に発表されたライヴ・アルバム『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』からシングル・カットされたライヴ・バージョン[6][注釈 1]が12位まで上昇し、キッスがヒットチャートのTop20に送り込んだ初のシングルとなった[7]。
『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』の発表に合わせて1975年9月に始まった"Alive! Tour"の途中から、本曲の最後にスタンレーがギターを破壊するようになった。
1980年代に始まったノーメイク時代にも本編の最後やアンコールに演奏され、『アライヴ3』(1993年)にも収録されている。1996年には『キッス・アンプラグド』からシングル・カットされたアコースティック・ライヴ・バージョンがビルボードのメインストリーム・チャート(Hot Mainstream Rock Tracks)で13位まで上昇した[8]。
2002年ソルトレークシティオリンピックの閉会式では、エース・フレーリーが脱退する前の最後の演奏として披露された。
オリジナルとの違い
編集- オリジナルにはギター・ソロはないが、"Dressed to Kill Tour"からは16小節にわたるギター・ソロが挿入されるようになった[注釈 2]。
- オリジナルのエンディングはフェイド・アウト処理されているが、"Dressed to Kill Tour"からは多くの場合、シングルB面に収録された「ゲッタウェイ」のエンディング部分のフレーズをつなげて曲を終わらせる。
- オリジナルと『地獄の狂獣』ではイントロはドラムのフロアの連打からスタートするが、『アライヴ3』ではハイハットのカウントからスタートする。
- オリジナルと『地獄の狂獣』ともサビは4回繰り返し×3であるのに対し、『アライヴ3』では1回目のサビは2回繰り返すだけですぐ2コーラス目に入るため、1回目のサビにはドラムのビートだけをバックにした部分がない。
収録アルバム
編集- 『地獄への接吻』 - オリジナル
- 『地獄の狂獣 キッス・ライヴ』 - ライヴ
- 『ダブル・プラチナム』 - オリジナル
- 『キッス・キラーズ』 - ライヴ
- 『グレイテスト・キッス』 - オリジナル(リミックス)
- 『アライヴ3』 - ライヴ
- 『キッス・アンプラグド』 - Kiss Unplugged – ライヴ(アコースティック・ヴァージョン)
- You Wanted the Best, You Got the Best!! - ライヴ
- 『グレイテストKISS』 - ライヴ
- The Box Set - オリジナル&ライヴ
- The Very Best of Kiss - ライヴ
- 『アライヴIV~地獄の交響曲』 - ライヴ(メルボルン交響楽団との共演)
- The Best of Kiss: The Millennium Collection - ライヴ
- 『KISS・ゴールド』 - ライヴ
- Kiss Chronicles - オリジナル
- Kiss Alive! 1975-2000 box set - ライヴ(シングル・エディット・ヴァージョン)
- Kiss Alive 35
- 『地獄烈伝 〜ニュー・レコーディング・ベスト〜』 - ニュー・レコーディング
- アルバム『地獄の軍団』(1976年)に収録された「デトロイト・ロック・シティ(Detroit Rock City)」の開始前の小芝居で、コーラス部分がカーラジオから流れてくる設定で使用された。
カバー・バージョン
編集- ポイズン - 『映画「Less Than Zero」サウンドトラック』(1987年)収録
- トード・ザ・ウェット・スプロケット - 『トリビュート -KISS MY ASS-』(1994年)収録
- ザ・サマー・セット - Punk Goes Classic Rock(2010年)収録
脚注
編集注釈
編集- ^ B面収録曲はオリジナル。
- ^ 『キッス・アンプラグド』(1996年)では、エース・フレーリーとブルース・キューリックがソロを8小節ずつ分け合っている。
出典
編集- ^ “spreadit.org music”. February 7, 2009閲覧。
- ^ “Kiss Founder Gene Simmons Says Band’s ‘Heart and Soul Lies in England’”. ultimateclassicrock (2011年11月9日). 2014年3月31日閲覧。‘‘Rock and Roll all Nite‘ is a direct bastard child of Slade’s ‘Mama Weer All Crazee Now.’(「『ロックンロール・オールナイト』は、スレイドの『クレイジー・ママ』の"私生児"なんだよ」)」とシモンズが述べる箇所がある。
- ^ Leaf, David and Ken Sharp. KISS: Behind the Mask: The Official Authorized Biography, Warner Books, 2003. ISBN 0-446-53073-5
- ^ “Discogs”. 2025年2月2日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2025年2月2日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2025年2月1日閲覧。
- ^ "The Complete KISS Singles Chart Action, 1974-". The KISSFAQ. Retrieved July 13, 2006.
- ^ “Billboard singles chart history-Kiss”. 2009年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月18日閲覧。