レベッカ・マッキノン
レベッカ・マッキノン(Rebecca MacKinnon, 1969年9月16日 - )は、アメリカ合衆国のジャーナリスト、ブロガーである。CNNの元記者で北京支局長[1]、のちには東京支局長[1]を務めた。CNNを離れた後は、グローバル・ボイス・オンラインの共同設立者に名を連ね[2]、2011年現在は、権威主義国家によるインターネット上の検閲に対抗する組織、Global Network Initiative(GNI)の理事[3]、及び報道の自由を擁護する団体である、ジャーナリスト保護委員会(Committee to Protect Journalists, CPJ)の理事[4]をそれぞれ務め、シンクタンクの新米国研究機構(New America Foundation, NAF)のバーナード・シュワルツ・シニア・フェロー[5]の肩書きを持つ[6]。
レベッカ・マッキノン | |
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生誕 |
1969年9月16日(55歳) アメリカ合衆国・カリフォルニア州バークレー |
2007年に彼女が書いたカリキュラム・ヴァイティーによると、語学に関して、北京官話は流暢に話せるが、日本語は「過去の遺物」(survival)となっており、ロシア語とフランス語は学業として修得したものであるとのことである[7]。
2012年に、「インターネットの自由を守るための世界規模の闘争」(The Worldwide Struggle for Internet Freedom)との副題が付いた"Consent of the Networked"(意味は、『ネットワーク化された社会における合意形成』)という書籍を刊行する予定である[8]。
生い立ち
編集1969年、バークレー生まれ。彼女が3歳になった時、大学教授を務める父スティーヴン・R・マッキノン(Stephen R. MacKinnon)がアリゾナ州立大学で中国史を教えることとなり、一家はアリゾナ州テンピに引っ越した。その後両親の学術研究のため、彼女は小学生の間、デリー、香港、及び北京でほとんど過ごすこととなり、その後、中高一貫校に通うためアリゾナに戻った。1987年にテンピ・ハイスクールを卒業し、ハーバード大学に入学、その後1991年に政治学を優の成績で修め、学士号を得た(B.A. magna cum laude in Government)。卒業後はフルブライト奨学生となり台湾へ渡り、同時にニューズウィーク誌のストリンガー(記事単位で取材契約を請け負う特派員)として取材活動も行っていた。
CNN
編集彼女は1992年にCNNの北京支局長補佐として同入社、その後出世し、1997年からはプロデューサー/特派員として、そして1998年からは北京支局長を務めた[9]。2001年、彼女は東京支局長となった[1]。この間、世界的に有名な政治指導者らにインタビューを行っており、小泉純一郎[10][11]、ダライ・ラマ14世[12]、パルヴェーズ・ムシャラフ、及びモハンマド・ハータミーらとの会見がその一例である。
近況
編集2004年の春季からは、ハーバード大学、ケネディ・スクール・オブ・ガバメントの付属機関であり、公共政策学を専門に扱うJoan Shorenstein Center on the Press, Politics and Public Policyに所属し、そのフェローを務めていた[13]。
同年夏季から2006年12月まで、ハーバード・ロー・スクールの付属機関であり、サイバースペースにおけるメディア・政策研究を担うバークマン・センターのリサーチ・フェローを務めた[14]。バークマン・センター在籍中に行った彼女のプロジェクトの一つが、イーサン・ザッカーマンと共同で立ち上げた、グローバル・ボイス・オンライン(Global Voices Online)という市民ジャーナリズム・プロジェクトである[15]。
2007年1月から2009年1月までは、香港大学ジャーナリズム及びメディア研究センター(香港大學新聞及傳媒研究中心)に在籍した[16]。
2009年2月から2010年1月までは、ジョージ・ソロス設立のオープン・ソサエティ財団からグラントが支給される、オープン・ソサイエティ・フェロー(Open Society Fellow)に採用され、この間研究執筆活動を行った[17]。
その後にあたる2010年2月、プリンストン大学のCenter for Information Technology Policyに客員フェローの肩書きで入所し[18]、インターネット時代における自由の将来像について述べる書籍を執筆している[19]。また同年9月からは新米国研究機構のフェローも務める[5]。
脚注
編集- ^ a b c “CNN Programs - Anchors/Reporters - Rebecca MacKinnon”. edition.cnn.com. 2004年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月27日閲覧。
- ^ “About”. Global Voices. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “Board of Directors”. Global Network Initiative. 2010年7月17日閲覧。
- ^ “Rebecca MacKinnon, Ahmed Rashid, and María Teresa Ronderos join CPJ board - Committee to Protect Journalists”. CPJ. 2010年7月17日閲覧。
- ^ a b “Rebecca MacKinnon”. NAF. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “From her own blog”. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “Rebecca MacKinnon”. rconversation.blogs.com. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “Consent of the Networked”. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “CNN Appoints Rebecca MacKinnon Beijing Bureau Chief”. Time Warner (1998年3月30日). 2010年7月17日閲覧。
- ^ “Q & A: Koizumi talks security and shoguns”. articles.cnn.com. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “人道か、国益か、企業利益か - アメリカのグローバルTVの優先順位”. www.jamco.or.jp. 2011年12月28日閲覧。
- ^ “Dalai Lama, China talk unity”. edition.cnn.com. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “Spring 2004 Fellows - Joan Shorenstein Center on the Press, Politics and Public Policy”. hks.harvard.edu. 2010年7月17日閲覧。
- ^ “Rebecca MacKinnon | Berkman Center”. cyber.law.harvard.edu. 2010年7月17日閲覧。
- ^ MacKinnon, Rebecca (2009年12月22日). “We are Global Voices. Five years on.”. Global Voices. 2010年7月17日閲覧。
- ^ “Journalism and Media Studies Centre, The University of Hong Kong - Rebecca MacKinnon”. jmsc.hku.hk (2009年4月27日). 2010年7月17日閲覧。
- ^ “Rebecca MacKinnon | Open Society Fellowship”. soros.org. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “Emeritus Fellows - Center for Information Technology Policy at Princeton”. citp.princeton.edu. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “Event for her”. citp.princeton.edu (2010年2月11日). 2010年7月17日閲覧。
- ^
外部リンク
編集(記載なき限り、英語)
- レベッカ・マッキノンの著作およびレベッカ・マッキノンを主題とする文献 - ドイツ国立図書館の蔵書目録(ドイツ語)より。
- RConversation - 彼女のブログ。
- curriculum vitae - 2007年1月時点での彼女の履歴書。
- 所属組織等
- Rebecca MacKinnon(Berkman Center) - Berkman Center for Internet & Society
- Journalism and Media Studies Centre in University of Hong Kong
- Rebecca MacKinnon (Fellow, 2009-2010) - Open Society Fellowship(ソロス出資の財団によるフェローシップ)
- Emeritus Visting Fellows(過去の客員研究員), Center for Information Technology Policy - 2009年から2011年まで在籍。
- Board of Directors(GNI) - 2011年現在、Global Network Initiativeの学術研究者代表理事を務める。
- Board of Directors(CPJ) - 2011年現在、Committee to Protect Journalistsの理事を務める。
- 講演、発表資料等
- レベッカ・マッキノン - TEDカンファレンス
- レベッカ・マッキノン「インターネットを取り戻そう!」の講演映像 - TEDカンファレンス、2010年7月、14分52秒。
- レベッカ・マッキノン「テロとの闘いで、権利を犠牲にする必要はない」の講演映像 - TEDカンファレンス、2010年6月、11分56秒。
- rmackinnon Presentations - SlideShareにて公開されている彼女の講演資料。
- Censorship by Chinese Blog-hosting Companies - 中華人民共和国政府及びその意向を受けたネット企業によるブログの検閲について。
- 中国の検閲2.0:企業によるブロガーの検閲 - 2009.3、日本語訳。
- ブロガー部隊? - 2004.11、日本語訳。
- China, the Internet, and Google (PDF, 194 KiB)
- 中華人民共和国の人権状況を監視する、米国政府の中国に関する連邦議会行政委員会(CECC)へ提出を予定していた彼女の証言書(testimony)。この中で彼女は、中華人民共和国政府が「網絡評論員」(internet commentator, ネット・コメンテーター)と呼ばれるプロパガンダ要員を共青団等から募集し、SNSなどを利用して中国共産党及び中華人民共和国政府の印象操作(米語でいうアストロターフィング、「偽草の根運動」)を行っていたと主張する。彼らはコメント1回5毛(0.5元)で仕事を請け負ったため、五毛党と揶揄される(p. 8)。
- 中国政府、ネット工作員を28万人配備:「グリーンダムたん」も登場 - 2010.3 日本語版WIRED
- 中華人民共和国の人権状況を監視する、米国政府の中国に関する連邦議会行政委員会(CECC)へ提出を予定していた彼女の証言書(testimony)。この中で彼女は、中華人民共和国政府が「網絡評論員」(internet commentator, ネット・コメンテーター)と呼ばれるプロパガンダ要員を共青団等から募集し、SNSなどを利用して中国共産党及び中華人民共和国政府の印象操作(米語でいうアストロターフィング、「偽草の根運動」)を行っていたと主張する。彼らはコメント1回5毛(0.5元)で仕事を請け負ったため、五毛党と揶揄される(p. 8)。
- Stop the Great Firewall of America, Firewall Law Could Infringe on Free Speech - 2011.11 ニューヨーク・タイムズ - DNSを政府がブラックアウト可能にするためのオンライン著作権侵害防止法案(SOPA)の議決に際し、政府による検閲の是非をグレート・ファイアウォールと絡めて述べた彼女のop-ed。