ルイーズ・アラネタ・マルコス

フィリピン共和国の弁護士

マリー・ルイーズ・"リザ"・カチョ・アラネタ・マルコス(Marie Louise "Liza" Araneta Marcos, 1959年8月21日 - )は、フィリピン共和国の弁護士、学者。フィリピンの第17代大統領ボンボン・マルコスの妻でファーストレディマニラで生まれ、アテネオ・デ・マニラ大学を卒業後、ニューヨーク大学の大学院課程を修了した。法律家としてフィリピンの様々な大学で教える一方、MOST (Marcos, Ochoa, Serapio & Tan) 法律事務所およびM&A Associatesの設立メンバーとなった。1989年にニューヨーク市でフィリピンの第10代大統領フェルディナンド・マルコスの息子であるボンボン・マルコスと出会い、1993年に結婚した。2022年フィリピン大統領選挙で夫の選挙参謀を務め、当選して第17代大統領となったボンボン・マルコスの大統領職に影響を与える重要人物の一人と見なされている[2]

リザ・アラネタ・マルコス
Liza Araneta Marcos
ルイーズ・アラネタ・マルコス(2022年)

任期 2022年6月30日 -
元首 ボンボン・マルコス
先代 ホセ・ミゲル・アロヨ英語版
個人情報
生年月日 (1959-08-21) 1959年8月21日(65歳)
出生地 フィリピンの旗 フィリピン
マニラ
配偶者
ボンボン・マルコス(結婚 1993年)
子女 サンドロ・マルコス英語版(1994年生)
ジョセフ・シモン(1995年生)
ウィリアム・ビンセント・"ビニー"(1997年生)[1]
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家系および教育

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1959年8月21日にフィリピンのマニラで生まれた[3]。父マニュエル・L・アラネタ・ジュニアはイロイロ市で生まれて西ネグロス州バゴ英語版で育ったバスケットボール選手で、1948年ロンドンオリンピックのフィリピン代表だった[1]。母はミラグロス・A・カチョである[1]。両親は共にスペイン系で、父方のアラネタ家はバスク地方にルーツがある[4][5]。父マニュエルは、第5代大統領マニュエル・ロハスの息子の妻ジュディ・アラネタ・ロハスの従兄弟にあたるためロハス家とのつながりがあり[1][6]、母ミラグロスは、末妹ロサリオ・A・カチョが第11代大統領コラソン・アキノの長兄ペドロ・コジャンコと結婚しているため、コジャンコ家とつながりがある[1]。なおルイーズは、映画監督ポール・ソリアノの父ジェリク・ソリアノの従姉妹にあたり、2015年のポール・ソリアノと女優トニ・ゴンザガ英語版の結婚式では、夫ボンボン・マルコスと共にプリンシパル・スポンサー(後見人)を務めている[7]

ルイーズは1981年にアテネオ・デ・マニラ大学で学際的研究の学士号を取得し、1985年に同大学で法学士号を取得した[1]。アテネオ大学卒業後、ニューヨーク大学に入学し、刑事訴訟法の大学院課程を修了した[1]

法律家として

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ニューヨーク大学を卒業後、法律家としてフィリピンの様々な大学で教えた。1996年から1998年まではマニラにあるFar Eastern大学の法学部で、1998年から2006年までは北イロコス州にあるNorthwestern大学の法学部で法律を教えた[1]。2006年に大学の職を一時的に退き、MOST (Marcos, Ochoa, Serapio & Tan) 法律事務所の創立メンバーになり、その後2019年1月にMOSTを辞めて、自分の法律事務所であるM&A Associatesを創立した[1]

大学には2010年に戻り、Pamantasan ng Lungsod ng Maynila(マニラ市立大学)で教授になり、2014年まで務め、2014年から2018年までバギオにあるセントルイス大学で、2018年から2020年まで北イロコス州にあるMariano Marcos State University (MMSU) で教授として教えた。MMSUでは法学部の副学部長も務め、世界的に流行した新型コロナウイルス[8]感染防止対策としてオンライン授業を行う対応に当たった[9][1]

ファーストレディー

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2022年6月30日の大統領就任式の後に中華人民共和国国家副主席である王岐山ボンボン・マルコス大統領とファーストレディのルイーズ・アラネタ・マルコスを表敬訪問した。

2022年フィリピン大統領選挙で、ルイーズは夫ボンボン・マルコスの選挙参謀を務め、縁戚である映画監督ポール・ソリアーノと共に選挙広告を制作した[10][11]。2022年5月9日に大統領選挙の投票が行われ、ボンボン・マルコスが圧勝し[12]、6月30日に第17代大統領に就任した。同時に大統領夫人ルイーズ・アラネタ・マルコスはフィリピン共和国のファーストレディになった[13]。前代および前々代大統領のファーストレディーはいなかったため、第14代大統領グロリア・アロヨの夫でファーストジェントルマンであったホセ・ミゲル・アロヨがルイーズの前任者に当たる[14]。ルイーズはボンボン・マルコスの大統領職に影響を与える重要人物の一人と見なされている[2]

2024年11月23日には夫ボンボンと副大統領を務めるサラ・ドゥテルテの関係悪化を背景に、サラより殺害予告を受けている[15]

私生活

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1989年にニューヨーク市で共通の友人を介してボンボン・マルコスと出会った。ボンボン・マルコスの父フェルディナンド・マルコスは1965年から1986年まで20年に及ぶ長期政権をしいたフィリピンの第10代大統領で、マルコス大統領夫妻とその一族は1986年のエドゥサ革命[16]でフィリピンから脱出してアメリカに亡命していた[17][18]。ルイーズとボンボン・マルコスは1993年4月17日にイタリアのフィエーゾレにある聖フランチェスコ教会で結婚した[19]。夫婦には子供が3人いて、1994年生まれの息子サンドロ・マルコス英語版は、父ボンボンが大統領に当選した2022年の大統領選挙と同時に行われた下院議員選挙で初当選した[20][21][22]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j About the First Lady”. President of the Philippines. August 11, 2022閲覧。
  2. ^ a b Robbles, Raisa (14 March 2022). “Marcos Jnr’s wife emerges from shadows as Philippine election race heats up” (英語). South China Morning Post. https://www.scmp.com/week-asia/politics/article/3170309/philippine-election-bongbong-marcos-wife-emerges-shadows-talk 12 May 2022閲覧。 
  3. ^ Resume of Senator Ferdinand "Bongbong" R. Marcos, Jr.”. 元老院 (フィリピン). 14 May 2022閲覧。
  4. ^ “Clan of Marcos Jr.'s wife join Leni-Kiko volunteer events in Bacolod, Iloilo”. Rappler. (30 April 2022). https://www.rappler.com/nation/elections/clan-liza-marcos-araneta-join-leni-kiko-volunteer-events-bacolod-iloilo/ 14 May 2022閲覧。 
  5. ^ Genealogist, Filipino. “First Lady Liza Araneta Marcos and the House of Araneta” (英語). 2022年8月4日閲覧。
  6. ^ Araneta family tree explained: Here’s how Liza Marcos, Mar Roxas are related - Bilyonaryo Business News” (英語) (2022年6月1日). 2022年8月4日閲覧。
  7. ^ “Meet the man behind BBM’s ads: Direk Paul Soriano”. Manila Bulletin. (23 April 2022). https://mb.com.ph/2022/04/23/meet-the-man-behind-bbms-ads-direk-paul-soriano/ 13 May 2022閲覧。 
  8. ^ フィリンピンでの流行についてはen:COVID-19 pandemic in the Philippinesを参照。
  9. ^ Cos, Wena (9 July 2022). “PH finally has a first First Lady again after 2 decades”. ABS-CBN News. https://news.abs-cbn.com/spotlight/07/09/22/ph-finally-has-a-first-first-lady-again-after-2-decades 10 July 2022閲覧。 
  10. ^ Robbles, Raisa (14 March 2022). “Marcos Jnr’s wife emerges from shadows as Philippine election race heats up” (英語). South China Morning Post. https://www.scmp.com/week-asia/politics/article/3170309/philippine-election-bongbong-marcos-wife-emerges-shadows-talk 12 May 2022閲覧。 
  11. ^ “Paul Soriano, the creative behind the BBM win”. Manila Bulletin. (13 May 2022). https://mb.com.ph/2022/05/13/paul-soriano-the-creative-behind-the-bbm-win/ 
  12. ^ 焦点:悪名高い「王朝」が復権、比選挙でマルコス氏圧勝”. Reuters (2022年5月10日). 2022年5月10日閲覧。
  13. ^ “Number one adviser incoming First Lady Liza Araneta Marcos seen to play key role”. ABS-CBN News. (27 June 2022). https://www.gmanetwork.com/news/topstories/nation/836197/number-one-adviser-incoming-first-lady-liza-araneta-marcos-seen-to-play-key-role/story/?fbclid=IwAR2fR9c_MgYdtqV3Qw5zwHigI7sgSWgMIhowtViRvVcHpxoIb4dazb9YlW0&fs=e&s=cl 27 June 2022閲覧。 
  14. ^ en:First Ladies and Gentlemen of the Philippines参照。
  15. ^ “比副大統領「私が殺されたらマルコスを殺せ」 脅威受け大統領警護強化”. AFPBB News. フランス通信社. (2024年11月23日). https://www.afpbb.com/articles/-/3550433 2024年12月18日閲覧。 
  16. ^ フィリピン市民革命、ピープルパワー革命。
  17. ^ イメルダ マルコスコトバンク。2022年8月27日閲覧。
  18. ^ Bhagwat, Medha (27 June 2022). “Who Is Louise Araneta-Marcos? Philippines New First Lady Will Remain Number One Adviser to Bongbong Marcos” (英語). International Business Times. Agence France-Presse (IBTimes Co., Ltd.). https://www.ibtimes.sg/who-louise-araneta-marcos-philippines-new-first-lady-will-remain-number-one-adviser-bongbong-65461 27 June 2022閲覧。 
  19. ^ “Bongbong takes a bride”. Manila Standard (Kamahalan Publishing Corp.): p. 4. (April 19, 1993). https://news.google.com/newspapers?id=EehMAAAAIBAJ&sjid=3QoEAAAAIBAJ&pg=6809%2C2611836 October 10, 2021閲覧. "Rep. Ferdinand (Bongbong) Marcos II wed his fiancee, Louise 'Lisa' Araneta Saturday [April 17] at the Church of St. Francis in Siesoleママ〕, Italy." 
  20. ^ “Marcos Jr aims to fulfil family’s ‘destiny’ as Philippines president” (英語). The Guardian. (9 May 2022). https://www.theguardian.com/world/2022/may/10/ferdanand-marcos-jr-bonbong-philippines-president-promises-unity 14 May 2022閲覧。 
  21. ^ 岩崎健太朗(バンコク)「マルコス氏が約6割の得票で圧勝 「独裁」元大統領の長男 フィリピン大統領選」『東京新聞』(2022年5月10日)。2022年8月27日閲覧。
  22. ^ マルコス大統領の長男、サンドロ・マルコス議員が下院の与党院内総務代行に」『日刊まにら新聞』(2022年7月28日)。2022年8月27日閲覧。