リーマン和(リーマンわ、英語: Riemann sum)とは、
実数区間
上で、
なる数列があるとし、
代表点
と数列の有限差分
が
を満たし、
区間
上で定義された実数値連続函数
があるとき、
![{\displaystyle \sum _{k=1}^{n}f(\xi _{k})\Delta x_{k}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/4063b9459e375d5733fea3a2d4221b693829c048)
のことである。
この
での極限が、リーマン積分
![{\displaystyle \int _{a}^{b}f(x)dx=\lim _{n\to \infty }\sum _{k=1}^{n}f(\xi _{k})\Delta x_{k}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/0ea71cec274d0393f6cd2a195e3114adbda1061a)
である[1]。
ニュートンとライプニッツがそれぞれ別々に、微分と積分の逆演算性を発見した。
最初にリーマン和を左リーマン和
と右リーマン和
の形で導入したのはオイラーであるが、
それは「積分の定義」としてではなく「積分の近似式」としてであった。
以後、ラクロワ、ポアソンを経て、コーシーが、積分の定義とし採用する。
コーシーよりも前の積分は、微分の定義に依存したニュートン・ライプニッツ以来の逆微分であり、微分と独立に定義されたものではなかった
[2]
[3]。
"Euler は積分を微分の逆演算として定義しているが,Cauchy は定積分をまず定義した後,
を定理として導いた.こうした発想の逆転も Cauchy に負う.[4]"
これによって、微分の存在とは無関係に積分が定義できるようになった。
![{\displaystyle 0\leq x\leq 2}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/552a24764ecf04dfa89ed17f186678d779bdc73d)
における
![{\displaystyle y=x^{2}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/ad1108c4c9ee8ac7de90b77f9bd27415b13b6bf1)
の右リーマン和
例えば、 で のとき
等差数列 をとると、
左リーマン和と右リーマン和は、それぞれ、
-
-
となる[5]。
等比数列 をとると、
左リーマン和と右リーマン和は、それぞれ、
-
-
となる。
は で単調増加函数なので、等差数列か等比数列かに拘わらず、左リーマン和と右リーマン和の間で
-
の関係が成り立つ。
連続函数の左リーマン和と右リーマン和は、 の極限で収束するので、
-
が得られる。
で のとき
等比数列 をとると、
左リーマン和と右リーマン和は、それぞれ、
-
-
となる[6]。
は で単調減少函数なので、左リーマン和と右リーマン和の間で
-
の関係が成り立つ。
連続函数の左リーマン和と右リーマン和は、 の極限で収束するので、
-
が得られる。
- ^ 『リーマン論文集』足立恒雄・杉浦光夫・長岡亮介編訳
- ^ 二キフォロスキー著、馬場良和訳『積分の歴史 - アルキメデスからコーシー, リーマンまで -』現代数学社, 1993, pp.190 - 191
- ^ 安部齊『微積分の歩んだ道』森北出版, 1989, pp.194 - 195
- ^ 岩波『数学辞典』第四版, p.106
- ^ 遠山啓『微分と積分 - その思想と方法 -』日本評論社, 1970, pp.180 - pp.181
- ^ 遠山啓『微分と積分 - その思想と方法 -』日本評論社, 1970, pp.182 - pp.183