リル・ピープ
リル・ピープ(Lil Peep、本名:グスタフ・イライジャ・アール(Gustav Elijah Åhr)、1996年11月1日 - 2017年11月15日)は、アメリカ合衆国のラッパー、歌手、ソングライター、音楽プロデューサー。
Lil Peep | |
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Lil Peep 2016年 | |
生誕 |
Gustav Elijah Åhr グスタフ・イライジャ・アール 1996年11月1日 アメリカ合衆国・ペンシルベニア州アレンタウン |
死没 |
2017年11月15日 (21歳没) アメリカ合衆国・アリゾナ州ツーソン |
死因 | オーバードース |
別名 | Gus / Peep / Lil bo peep / Trap Goo$e |
市民権 |
アメリカ合衆国 スウェーデン |
職業 |
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活動期間 | 2014年 - 2017年 |
音楽家経歴 | |
出身地 | ニューヨーク州ロングビーチ |
ジャンル | |
レーベル |
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共同作業者 |
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公式サイト |
lilpeep |
2016年頃から人気が広がり、エモ・ラップの担い手として知られていたが[1][2][3]、2017年11月15日にフェンタニルの過剰摂取により事故死した[4][5]。
生い立ち
編集1996年11月1日、リル・ピープこと、グスタフ・イラジャ・アールはペンシルベニア州で生まれ、ニューヨーク州ロングアイランドで育った[6]。両親は共にハーバード大学の卒業生でピープがティーンエイジャーの時に離婚した[6]。母リザ・ウーマックは小学校の教師で父は大学教授である[7]。ピープはスウェーデン系、ドイツ系、アイルランド系の家系である[8]。
リル・ピープは、ニューヨーク州ナッソー郡リドビーチにあるロング・ビーチ・ハイスクールに通っていた。頭が良く、成績上位者リストに名前があったにもかかわらずほとんど学校に通わず[9][7]、高校を中退後にオンライン学習によって卒業資格を得た[10]。それから間もなくしてYouTubeやSoundCloudに曲を投稿し始める。
来歴
編集2015年、初のミックステープ『Lli Peep Part One』をリリース、最初の1週間で4000回再生された。その後、初のEP『Feelz』と別のミックステープ『Life Forever』をリリースした[12][13]。
2016年、2つのフルレングス・ミックステープ『Crybaby』と『Hellboy』をリリースした[14]。
2017年5月、ロックバンドのミネラルがリル・ピープの楽曲「Hollywood Dreamin」は、ミネラルの曲「LoveLetterTypewriter」を無許可・クレジットなしでサンプリングしており、著作権侵害であると非難した。これに対してリル・ピープは単にサンプルによって「show some love」を試みているだけだと語った[15]。
2017年6月2日、自身のインスタグラムアカウントでデビューアルバム『Come Over When You're Sober, Pt. 1』を発表。2017年8月11日にリリース予定だったが[16][17]、少し遅れて2017年8月15日にリリースされた[18]。
リル・ピープはアルバムツアー「Come Over When You're Sober」を発表。2017年8月2日に始まり、2017年11月17日に終わる予定だっだが、ピープの死により2日早く終了した[19]。
死後のリリース
編集リル・ピープは多作だった為、生前に完成していたいくつかの曲やプロジェクトが死後になってリリースされた。まずピープの死後24時間以内にビデオフォトグラファーのWiggyが「Sixteen Lines」のオフィシャルビデオをリリースする[20]。
2018年1月12日、マシュメロがコラボレーションした「Spotlight」を公式リリースとなる[21]。1月15日、ジューシー・Jがリル・ピープとウィズ・カリファをフィーチャーした「Got Em Like」を公式リリースする[22]。1月27日、Teddyはコラボレーションした「Dreams&Nightmares」を公式リリースしている。9月19日、同じ時期に亡くなったXXXテンタシオンとの楽曲「Falling Down」をリリース。同曲を収録した2作目のアルバム『Come Over When You're Sober, Pt. 2』は11月9日にリリースされた[23]。
2019年1月31日、生前親しくしていたアイラヴマコーネンとの楽曲「I've Been Waiting」をリリースする[24]。
音楽性
編集リル・ピープの音楽はクラウド・ラップ、サウンドクラウド・ラップ、エモ・ラップ及びLo-Fiラップであるとされている[25][26][27][28]。ニューヨーク・タイムズの音楽評論家であるジョン・カラマニカは、リル・ピープをLo-Fiラップに於けるカート・コバーンだと定義した。また彼の曲は悲観的で魔性のメロディを持つと説明した[29]。オールミュージックはピープの音楽をヒップホップとロックのブレンドであり、トラップ、パンクそしてドリーム・ポップから影響を受けていると説明している[30]。リル・ピープのリリックのテーマにはうつ病、薬物使用、人間関係そして希死念慮に関したことが含まれている。ピープはピッチフォークのSteven J. Horowitzから「エモの未来」と評された[31]。
影響を受けたアーティスト
編集リル・ピープはファーストアルバムのリリース前にカート・コバーン、デヴィッド・ボウイ、フランク・オーシャン、リフ・ラフからのインスピレーションについて言及している。また「ラップ界のカート・コバーン」として知られることを求めていた[6]。他に音楽的影響を受けたアーティストとして、グッチ・メイン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、クリスタル・キャッスルズ、Seshollowaterboyz、Rozz Dyliams、マイ・ケミカル・ロマンス、パニック!アット・ザ・ディスコを挙げている[32]。また、ピープがサンプリングしたアーティストは、ピアス・ザ・ヴェイル、ブランド・ニュー、レディオヘッド、アンダーオース、スリー・デイズ・グレイス、アヴェンジド・セヴンフォールド、スレイヤー、ザ・ポスタル・サーヴィス、オアシス、ザ・マイクロフォンズなどがいる[33][34]。
人物
編集2016年、リル・ピープはスキッド・ロウからエコー・パークのアパートに移り大半の録音、製作をそこで行った[35]。
リル・ピープはトロンボーンとチューバを演奏し[36]、若い頃から音楽やファッションなどに関心を示していた。
薬物
編集リル・ピープは常にコカイン、エクスタシー、ザナックスなどについてリリックやSNSなどで言及していた[37][38]。ピープは自分自身を「productive junkie」と表現し、オーディエンスに薬物使用を避けるようアドバイスしている[39]。
セクシュアリティ
編集2017年8月、バイセクシャルであるとカミングアウトした[40][41]。その後、同じくゲイであることをカミングアウトしたばかりのアイラヴマコーネンとロンドンでコラボアルバムを制作している。Instagramの投稿などから2人は親密な関係であると思われていたが、リルピープの死後にマコーネンはインタビューで、あくまで親友という仲だったと述べている[42]。
突然の死
編集2017年11月15日、リル・ピープのマネージャーがアリゾナ州ツーソンの会場で夜に行われるパフォーマンスに備えてチェックをしている時にツアーバスの中で亡くなっているのが発見された[43]。殺人の疑いはなかった[44]。ピープの死はオーバードースによるものだろうとされた[45]。12月8日、ピマ郡の検死官は検死の詳細を発表した。それによると死因は痛み止めであるフェンタニルとアルプラゾラムのオーバードースによる事故死である[4]。血液検査では大麻、コカイン、鎮痛剤、トラマドールの陽性反応が出た。尿検査では複数の強力なオピオイドであるヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルフォンの反応を見せた。アルコールは検出されなかった[5]。
死に至るまでの一連のインスタグラム投稿でリル・ピープはシロシビン、マジックマッシュルームそして大麻を摂取したと述べていた。もう1つは名前の分からない錠剤を口に落として飲み込み処方された瓶を振っていた。そのビデオの前には、ザナックスの錠剤を6つ摂取したとも述べている。その後の投稿のキャプションには「When I die, you'll love me」とあった[46]。
死の翌日の警察発表では、リル・ピープはコンサートの前、午後5時45分頃に昼寝をしていた。彼のマネージャーは二度ピープの状況を確認したがその時は寝ていて息もしていたが目は覚まさなかった。しかし三度目の確認をした時にはピープは反応せず息もしていなかった。マネージャーは医者の到着前に心肺蘇生を行ったが、その時には既にピープは死んでいた[47]。
追悼
編集ディプロ、ポスト・マローン、ピート・ウェンツ、Marshmello、ゼイン・ロウ、ASAP Nast、リッチ・チガ、プレイボーイ・カーティ、リル・ウージー・ヴァート、ベラ・ソーン、サム・スミス、リル・パンプ、マーク・ロンソン、アイラヴマコーネン、Lil Tracyといったアーティスト達がピープの死を追悼した[48][49]。
2017年11月22日ニューヨーク・タイムズの音楽評論家ジョン・カラマニカはピープに関するポッドキャストを配信して死を追悼した[50]。
グッド・シャーロットはリル・ピープの死を追悼して「Awful Things」のカバーを彼の育った故郷、ロングビーチで披露した[51]。
スリー・デイズ・グレイスはリル・ピープの死を追悼してインスタグラムとツイッターアカウントにピープの曲である「Witchblades featuring Lil Tracy」のリミックスビデオを投稿した。リミックス曲のビートはスリー・デイズ・グレイスの「The Real You」のインストルメンタルをスローダウンさせたものだった。
ディスコグラフィ
編集スタジオ・アルバム
編集- Come Over When You're Sober, Pt. 1 (2017)
- Come Over When You're Sober, Pt. 2 (2018)
ミックステープ
編集- Lil Peep Part One (2015)
- Live Forever (2015)
- Crybaby (2016)
- Hellboy (2016)
EP
編集- Feelz (2015)
- Vertigo (2016)
- California Girls (with Nedarb Nagrom) (2016)
- Teen Romance (2016)
- Castles (with Lil Tracy) (2016)
- Castles II (with Lil Tracy) (2017)
- Goth Angel Sinner (with Fish Narc) (2019)
脚注
編集- ^ “Lil Peep Is Leading The Post-emo Revival” (英語). Hungertv.com. (2017年2月7日) 16 January 2018閲覧。
- ^ Emma Garland (2017年4月10日). “Maybe Lil Peep Really Is The Future of Emo” (英語). Noisey 2018年2月6日閲覧。
- ^ “Tears of a Dirtbag: Rapper Lil Peep Is the Future of Emo” (英語). Pitchfork.com 16 January 2018閲覧。
- ^ a b Sommerfeldt, Chris (December 8, 2017). “Lil Peep died from powerful drug overdose” (英語). New York Daily News. January 26, 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月6日閲覧。
- ^ a b “Lil Peep Died of Toxic Fentanyl-Xanax Overdose: Report” (英語). People.com 16 January 2018閲覧。
- ^ a b c “Who was Lil Peep? Inside the life of the late 21-year-old rapper” (英語). NME. (November 16, 2017) November 16, 2017閲覧。
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- ^ Verrico, Lisa (August 6, 2017). “Interview: Lil Peep” (英語). The Times of London. ISSN 0140-0460 November 16, 2017閲覧。
- ^ “Meet Lil Peep, All-American Reject” (英語). Fader. February 10, 2017閲覧。
- ^ “Lil Peep Has Died at Age 21” (英語). Noisey. (November 16, 2017) November 16, 2017閲覧。
- ^ “Lil Peep @ The Foundry 10/30 | mxdwn.com” (英語). August 10, 2017閲覧。
- ^ “Lil Peep Tour Dates & Tickets” (英語). Stereoboard.com. August 10, 2017閲覧。
- ^ “Meet Lil Peep, The All-American Reject You’ll Hate To Love” (英語). The FADER. August 10, 2017閲覧。
- ^ “Emo Veterans Mineral Accuse Lil Peep Of Ripping Them Off” (英語). Stereogum. (May 5, 2017) July 29, 2017閲覧。
- ^ “Lil Peep Announces Album Title, Shares "no respect freestyle"” (英語). The FADER. August 10, 2017閲覧。
- ^ “Instagram post by @lilpeep Jun 2, 2017 at 10:23am UTC” (英語). Instagram. August 10, 2017閲覧。
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- ^ “Emo-rapper Lil Peep announces ‘Come Over When You’re Sober’ tour News Alternative Press” (英語). Alternative Press. August 10, 2017閲覧。
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- ^ “Marshmello Reveals Lil Peep Collaboration Title and Artwork” (英語). billboard.com. January 11, 2018閲覧。
- ^ “Listen to Juicy J’s New Song "Got Em Like" With Lil Peep, Wiz Khalifa” (英語). pitchfork.com. January 15, 2018閲覧。
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- ^ Brandle, Lars (November 22, 2017). “Remembering Lil Peep” (英語). The New York Times November 22, 2017閲覧。
- ^ Brandle, Lars (December 4, 2017). “GOOD CHARLOTTE HONOR LIL PEEP WITH 'AWFUL THINGS' PERFORMANCE AT RAPPER'S MEMORIAL” (英語). Fuse December 4, 2017閲覧。