リルン氷河
概説
編集この氷河は、ネパールのランタン国立公園内にあり、同公園内における最高峰であるランタンリルン山(山頂の標高は約7234 m)から流れ出している[2]。この山から大体東の方向へとリルン氷河は流れ出して、2002年時点で、標高約5000 mを下回った辺りから氷河の融解が始まり、おおよそ標高4000 m付近まで流れ降っていた[3]。ただし、地球温暖化の影響を受けて、氷の量は急速に減りつつある[4]。なお、氷河の融解が始まる標高よりも下流側には、氷河のすぐ横にサイドモレーン(ラテラルモレーン、または、側堆石)が見られる[5]。そして、この氷河の下流部はティル(氷河が削り取った岩石片。デブリとも呼ばれる。)によって、その表面が覆われている(つまり氷が見えない状態にある)[1][2]。
氷の減少
編集近年リルン氷河は、地球温暖化の影響を受けて氷の減少が続いている。特に1990年代に入ってからヒマラヤ地域の氷河は後退傾向にあり、さらに2001年以降(21世紀に入って)、氷河の後退速度(氷の減少速度)は加速する傾向が見られる。そして、2012年現在、リルン氷河もまた氷の量が少なくなりつつある状況にあって、氷河の氷の厚さが薄くなってきており、氷が薄くなる速度が加速してきている状態にある[4]。
リルン氷河と生物
編集これはリルン氷河に限ったことではないものの、リルン氷河の下流部のように、その表面がティル(デブリとも言う)に覆われている氷河の場合、氷河の内部の水(氷河内部水)のある場所や、氷河表面の池(氷河上湖)などに生物が生息していることが判明した[2]。
出典
編集- ^ a b 内藤望、門田勤、藤田耕史、坂井亜規子、中尾正義 (2002年) 『Surface lowering over the ablation area of Lirung Glacier, Nepal Himalayas.』 p.41
- ^ a b c デブリカバー氷河の生態系
- ^ 内藤望、門田勤、藤田耕史、坂井亜規子、中尾正義 (2002年) 『Surface lowering over the ablation area of Lirung Glacier, Nepal Himalayas.』 Bulletin of glaciological research. p.41、p.42
- ^ a b 縫村崇行、藤田耕史、岡本祥子、竹中修平、保科優、永井裕人 (2012年) 「現地測量とリモートセンシングによるネパールヒマラヤ、リルン氷河の氷河表面の高度変化量」『雪氷研究大会講演要旨集』 雪氷研究大会(2012・福山) セッションID: A1-7,
- ^ 内藤望、門田勤、藤田耕史、坂井亜規子、中尾正義 (2002年) 『Surface lowering over the ablation area of Lirung Glacier, Nepal Himalayas.』Bulletin of glaciological research. p.42