リトル・チベット (トロント)

リトル・チベット: Little Tibet)は、カナダオンタリオ州トロントパークデール英語版周辺に位置するチベット系住民の居住区である。 リトル・チベットは北をクイーン・ストリート英語版、南と西をガーディナー・エクスプレスウェイ英語版、東をアトランティック・アヴェニュー (Atlantic Avenue) に囲まれている。多数の亡命チベット人が居住し、チベット関連の商店・レストランが点在していることで知られる[1]

リトル・チベットの風景
パークデールの地図。リトル・チベットはクイーン・ストリートの南に位置する。

1998年から2008年にかけて約3000人のチベット人が移住したトロントは、北米最大のチベット人コミュニティを擁する[2]。2006年の国勢調査によると、トロント在住のチベット人の半数がパークデールに居住しているという。同じくトロント市内のサウス・エトビコでもチベット人コミュニティが拡大しているが、パークデールのリトル・チベットは依然として北米最大のチベット人街である[2]

トロントのジャーナリストPatrick Cainの調査によると、2005年から2009年にかけてパークデールで産まれた子供のうち、最も多かった名前は「テンジン」(チベット語བསྟན་འཛིན་ワイリー方式bstan 'dzin)であるという[3]

カナダにおける亡命チベット人

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1950年代のチベット動乱以降、多くのチベット人中国の支配するチベットを逃れ、インドネパールへと亡命した[4]カナダのチベット人コミュニティは、インド及びネパールから再移住した人々によって築かれている[5]

1970年から1971年にかけて、228人のチベット人難民がインドからカナダに移住して以来[4]、国内のチベット人コミュニティは拡大を続け、2014年時点では約6000人ものチベット人がカナダで暮らしている[6]。その3分の2はパークデールの位置するグレーター・トロント・エリアに居住している[7]。2000年代には、アメリカ合衆国からカナダへと移住するチベット人も増加した[8]。これはカナダがアメリカより難民認定が容易であり[2][8]、かつ医療社会福祉へのアクセスが良好であると見なされたためである[9]。また、パークデールに存在する大規模なチベット人コミュニティ自体も、彼らを他地域からトロントへと引き寄せる誘因となっている[10]

地方政治

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ブティラ・カルポチェ(2022年)

2018年のオンタリオ州議会選挙英語版では、新民主党ブティラ・カルポチェ英語版パークデール・ハイパーク英語版選挙区から選出された[11]。彼女はネパール生まれのチベット人難民で、18歳の時に家族と共にニューヨークへ移り住んだ[12]。その後、カナダへと再び移住し、2008年にカナダ国籍(市民権)を取得した[12]

カルポチェは2022年のオンタリオ州議会選挙でも再選している[13]

出典

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参考文献

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  • Bentz, Anne-Sophie (2021). “Political Activism in Canada: When Tibetans in Toronto Enter into Local Politics”. South Asia Multidisciplinary Academic Journal 27 (27). doi:10.4000/samaj.7449. 
  • Deng, Diyin (2017). “Not Just Based On Land”: A Study On The Ethnic Tibetan Community in Toronto (MA thesis). The University of Western Ontario.

関連項目

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座標: 北緯43度38分25.0秒 西経79度26分20.0秒 / 北緯43.640278度 西経79.438889度 / 43.640278; -79.438889