リトルプリンス 星の王子さまと私
『リトルプリンス 星の王子さまと私』(リトルプリンス ほしのおうじさまとわたし、原題:The Little Prince、フランス語:Le Petit Prince)は、2015年にフランスで製作されたアニメーション映画作品である。
リトルプリンス 星の王子さまと私 | |
---|---|
The Little Prince | |
監督と原語版・日本語版吹替キャスト | |
監督 | マーク・オズボーン |
脚本 |
イリーナ・ブリヌル ボブ・ペルシケッティ |
原作 |
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 『星の王子さま』 |
製作 |
ディミトリ・ラッサム アトン・スマシュ アレクシス・ヴォナルブ |
製作総指揮 | マーク・オズボーン |
出演者 |
ジェフ・ブリッジス マッケンジー・フォイ レイチェル・マクアダムス ジェームズ・フランコ ベニチオ・デル・トロ マリオン・コティヤール ポール・ジアマッティ |
音楽 |
ハンス・ジマー リチャード・ハーヴェイ |
主題歌 |
松任谷由実 「気づかず過ぎた初恋」(日本語吹き替え版) |
撮影 | クリス・カップ |
編集 |
キャロル・クラヴェッツ・エイカニアン マシュー・ランドン |
製作会社 |
オン・アニメーション・スタジオ オレンジ・スタジオ M6 Aime ワイルド・バンチ Lucky Red |
配給 |
パラマウント映画 ワーナー・ブラザース映画 |
公開 |
2015年7月29日 2015年11月21日 |
上映時間 | 110分[1] |
製作国 |
フランス イタリア |
言語 | 英語 |
製作費 | $77,500,000[2] |
興行収入 | 6億5500万円[3][4] |
概要
編集第68回カンヌ国際映画祭・非コンペティション部門招待作品[5]。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの『星の王子さま』を原作とするが、内容は同作の後日談が9歳の少女の目を通して描かれるものになっている[6]。
また、本作はCGアニメとストップモーション・アニメによって制作されており、シーンによってアニメ手法が使い分けられている(主人公の女の子が暮らす現実世界のシーンはCGアニメ、女の子が想像する星の王子の世界のシーンはストップモーション・アニメで描かれている)[7]。
あらすじ
編集とある街に暮らす女の子は名門校の入学試験に合格するために、母親から与えられた厳しいスケジュールのもとで、夏の間、勉強漬けの毎日を送っていた。しかしある日、彼女は隣に住んでいる年老いた飛行士と出会い、彼がかつて砂漠で不時着した時に出会ったという「星の王子さま」の物語を聞かされる。女の子はその物語に夢中になり、飛行士と仲良くなるが、そのことを快く思わない母親に叱られてしまう。それでも彼女は物語の続きを聞くため、こっそりと飛行士に会いに行っていたが、物語の悲しい結末を知ってしまい困惑する。そして夏の終わりが近付いたある日、飛行士は病気にかかり入院してしまう。女の子はその夜、意を決して王子さまに会いに行こうとするが…。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹き替え
- 飛行士 - ジェフ・ブリッジス(津川雅彦[8])
- 女の子 - マッケンジー・フォイ(鈴木梨央[8])
- お母さん - レイチェル・マクアダムス(瀬戸朝香[8])
- キツネ - ジェームズ・フランコ(伊勢谷友介[9])
- ヘビ - ベニチオ・デル・トロ(竹野内豊[9])
- バラ - マリオン・コティヤール(滝川クリステル[9])
- 教授 - ポール・ジアマッティ(壌晴彦)
- ビジネスマン - アルバート・ブルックス(土師孝也)
- うぬぼれ男 - リッキー・ジャーヴェイス(ビビる大木[10])
- 王様 - バッド・コート(坂口芳貞)
- 星の王子 - ライリー・オズボーン(池田優斗[11])
- ミスター・プリンス - ポール・ラッド(宮野真守)
スタッフ
編集- 監督 - マーク・オズボーン
- 脚本 - イリーナ・ブリヌル、ボブ・ペルシケッティ
- ストーリー統括 - ボブ・ペルシケッティ
- キャラクター・デザイン - ピーター・デ・セヴ
- 美術 - ルー・ロマーノ
- 共同美術 - セリーヌ・デルモ
- CGキャラクター監修 - 四角英孝
- CGアニメーション監修 - ジェイソン・ブース
- CG照明監修 - アデル・アバダ
- ストップ・モーション・クリエイティブ監督 - ジェイミー・カリリ
- ストップ・モーション美術/キャラクター・デザイン - アレックス・ユーハス
- ストップ・モーション・アニメーション主任 - アンソニー・スコット
- 編集 - キャロル・クラヴェッツ・エイカニアン、マシュー・ランドン
- 音楽 - ハンス・ジマー
- 共同音楽 - リチャード・ハーヴェイ
- 日本語吹き替え版主題歌 - 松任谷由実「気づかず過ぎた初恋」(EMI Records)[12]
- 日本配給 - ワーナー・ブラザース映画
製作
編集2013年6月5日に、ジェフ・ブリッジス、マッケンジー・フォイ、レイチェル・マクアダムス、ジェームズ・フランコ、ベニチオ・デル・トロ、マリオン・コティヤール、ポール・ジアマッティら[13]、同年9月12日にアルバート・ブルックスが声優キャストとして参加することが発表された[14]。2014年12月10日にはハンス・ジマーが本作の音楽を手掛けるとされていたが[15]、最終的にはジマーとリチャード・ハーヴェイによる共同作曲となった[16]。
本作の企画・ストーリーボードの制作はフランス・パリで行われ、アニメーション・ライティング・色調整・製作の最終段階はカナダ・モントリオールで行われている[17]。
本作で使用される音楽は、ハンス・ジマーとリチャード・ハーヴェイが共同で作曲しており、フランスのポップ歌手であるカミーユが歌で参加している[18]。
公開
編集本作は2015年5月22日、第68回カンヌ国際映画祭で非コンペティション部門招待作品としてワールドプレミアで上映された後、7月29日にパラマウント映画の配給によりフランスで公開された。アメリカでは同社の一部門であるパラマウント・ヴァンテージによる配給となり[17]、ドイツおよび日本ではワーナー・ブラザースの配給により公開される[17]。その他、イギリス・オーストラリア・ニュージーランドではワインスタイン・カンパニーにより配給される予定となっている[19]。
アメリカでは、2016年3月18日に公開が予定されていたが、直前に配給元のパラマウント・アメリカが公開取りやめし、配給撤退したことが判明した[20]。
評判
編集興行収入
編集2015年9月20日現在、本作はフランス国内で1210万ドル[21]、全世界で6520万ドルの興行収入を記録した[3]。特にフランスでは公開初週での興行収入が330万ドルとなり、自国の興行収入ランキングで2位を記録。同時期に公開されたディズニー映画『ベイマックス』よりも12%上回る結果となった[22]。第2週では前回より41%下がった140万ドルとなり、2週併せての総収入は550万ドルとなった[23]。
ブラジルでは興行収入ランキングで、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』に次いで初登場2位を記録したが[24]、第2週ではトップに躍進した後3週連続で維持し続けた[25]。10月5日現在での興行収入は2700万レアル(714万ドル)となり[26]、同月18日では映画館への来場者数が200万人を超えた[27]。
中国では10月16日に公開され、公開初週での興行収入は1090万ドル、興行収入ランキングにおいては『アントマン』に次いで3位を記録[28][29]。その後10日間で2090万ドル[30]、第3週では2400万ドルに達した[31]。
批評
編集アメリカの映画批評集積サイトRotten Tomatoesは、サイトに寄せられたレビューを基に90%の支持率を本作に与えた[32]。Metacriticでも好意的なレビューが寄せられ、本作に与えた加重平均値は70/100となっている[33]。
受賞
編集年 | 映画賞 | 賞 | 結果 |
---|---|---|---|
2017 | 第15回視覚効果協会賞[34] | 長編アニメーション映画・視覚効果賞 | 未決定 |
派生作品
編集日本国内の関連書籍
編集- 小説
- リトルプリンス 星の王子さまと私 (著:五十嵐佳子、2015年10月5日発売、集英社みらい文庫)
- リトルプリンス 星の王子さまと私(著:イリーナ・ブリヌル、翻訳:酒井紀子、2015年10月29日発売、竹書房文庫)
- 絵本
- 絵本 星の王子さま(原作:サン=テグジュペリ、監督:マーク・オズボーン、訳:堀あいえ、2015年9月19日発売、徳間書店)
- リトルプリンス 星の王子さまと私 おはなし絵本(著:五十嵐佳子、2015年10月5日発売、集英社)
- リトルプリンス 星の王子さまと私 ストーリーブック(2015年10月23日発売、河出書房新社)
- 英語ストーリーブック リトルプリンス 星の王子さまと私(2015年11月15日発売、ジャパンタイムズ)
- リトルプリンス 星の王子さまと私(2015年11月24日発売、宝島社)
- その他
- 「星の王子さま」ほわほわブランケット付き! 映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』Official Book(2015年11月7日発売、カドカワムック)
- リトルプリンス 星の王子さまと私 アートブック(著:ラーミン・ザヒド、翻訳:富永晶子、2015年12月14日発売、宝島社)
脚注
編集- ^ “The 2015 Official Selection”. Cannes (2015年4月15日). 2015年11月4日閲覧。
- ^ “Soumache, Rassam Launch ON Entertainment”. Variety (2014年1月16日). 2015年11月4日閲覧。
- ^ a b “The Little Prince (2015)”. The Numbers. 2015年11月4日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』2016年3月下旬号 45頁
- ^ “津川雅彦、75歳で初カンヌ!マリオン・コティヤールらとレッドカーペットに!【第68回カンヌ国際映画祭】”. シネマトゥデイ (2015年5月23日). 2015年6月23日閲覧。
- ^ “「星の王子さま」のその後がアニメ化!勉強漬けの9歳の少女が主人公!究極のハイブリッドアニメの全ぼう明らかに”. シネマトゥデイ (2014年12月15日). 2015年6月23日閲覧。
- ^ “Wild Bunch boards Little Prince”. Screen Daily (2014年5月5日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ a b c “リトルプリンス 星の王子さまと私:鈴木梨央&津川雅彦に聞く”. MANTANWEB (2015年11月23日). 2021年6月22日閲覧。
- ^ a b c “竹野内豊、名作アニメで初声優 決め手は「安定感のある声」”. ORICON (2015年7月1日). 2015年7月1日閲覧。
- ^ “ビビる大木、アニメ声優に初挑戦!『星の王子さま』でうぬぼれ男役に”. シネマトゥデイ (2015年6月23日). 2015年6月23日閲覧。
- ^ “子役・池田優斗、“星の王子”役で声優デビュー”. ORICON (2015年9月2日). 2015年9月4日閲覧。
- ^ “松任谷由実、『星の王子さま』楽曲制作のためフランスへ!洋画主題歌を初担当”. シネマトゥデイ (2015年9月3日). 2015年9月4日閲覧。
- ^ “James Franco, Rachel McAdams, Jeff Bridges Among Voice Stars for 'Little Prince' (Exclusive)”. The Hollywood Reporter (2013年6月5日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “Albert Brooks Lends Voice To ‘The Little Prince’”. Deadline (2013年9月12日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “Hans Zimmer to Score ‘The Little Prince’”. Film Music Reporter. 2015年11月6日閲覧。
- ^ “The Little Prince (2015)”. Soundtrack.Net (2014年12月10日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ a b c “The Little Prince Press Kit”. Wild Bunch International Sales. 2015年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月6日閲覧。
- ^ “Review: Patience pays off for refreshing animated tale 'The Little Prince'”. HitFix (2015年6月4日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “Harvey Weinstein reveals 'Southpaw' Cannes slot offer”. Screen Daily (2015年5月14日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “「星の王子さま」初アニメ映画化、米公開直前に取りやめ…配給が突然撤退”. シネマトゥデイ (2016年3月14日). 2016年3月14日閲覧。
- ^ “‘Scorch Trials’ Heats Up $43.2M; ‘Everest’ Scales $28.8M – Intl Box Office Final”. Deadline (2015年9月21日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “‘Rogue Nation’ Puts Cruise In Control At $64.5M Offshore; Sets Career & ‘M:I’ Franchise Bests – Intl Box Office Final”. Deadline (2015年8月3日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “‘Rogue Nation’ Flies Higher In 2nd Frame With $65M; ‘Fantastic Four’ No. 2 With $33.1M Bow – Intl Box Office Update”. Deadline (2015年8月10日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “Bilheterias Brasil: O Pequeno Príncipe não consegue tirar Missão Impossível da liderança”. Adorocinema (2015年8月24日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “Bilheterias Brasil: Na segunda semana de exibição, O Pequeno Príncipe assume a liderança”. Adorocinema (2015年8月31日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “Comédia brasileira "Vai Que Cola" estreia no topo das bilheterias do país”. UOL (2015年10月5日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “Bilheterias de filme O Pequeno Príncipe”. Adorocinema. 2015年11月6日閲覧。
- ^ “‘The Little Prince’ Launches in China with $10.8 Million”. Cartoon Brew (2015年10月20日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “China Box Office: 'Ant-Man' Goes Big With $43M Debut”. The Hollywood Reporter (2015年10月20日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “China Box Office: 'Ant-Man' Stays Strong, 'Pan' Flops Hard on Debut”. The Hollywood Reporter (2015年10月27日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “China Box Office: ‘The Witness’ Sees Victory Over ‘Ant-Man’”. Variety (2015年11月2日). 2015年11月6日閲覧。
- ^ “The Little Prince (2015)”. Rotten Tomatoes. 2015年11月6日閲覧。
- ^ “The Little Prince”. Metacritic. 2015年11月6日閲覧。
- ^ “「ローグ・ワン」視覚効果協会賞で7部門ノミネート!”. 映画.com. (2017年1月12日) 2017年1月12日閲覧。
- ^ “「リトルプリンス 星の王子さまと私」とりぼんがコラボ、読み切りマンガを掲載”. 映画ナタリー (2015年10月1日). 2015年10月1日閲覧。
外部リンク
編集- 日本語公式サイト
- The Little Prince - IMDb
- リトルプリンス 星の王子さまと私 - YouTubeプレイリスト