ラマヌジャン・スコーレムの定理
ラマヌジャン・スコーレムの定理(ラマヌジャン・スコーレムのていり、英: Ramanujan-Skolem's theorem)またはラマヌジャン・ナーゲルの定理(ラマヌジャン・ナーゲルのていり、英: Ramanujan-Nagell's theorem)はディオファントス方程式の一つの解に関する定理で、次の不定方程式
- 2n − 7 = x2
の自然数解が存在するのは n = 3, 4, 5, 7, 15 のときだけであるというもの。(n, x) = (3, 1), (4, 3), (5, 5), (7, 11), (15, 181) である。
シュリニヴァーサ・ラマヌジャンが予想し、ナーゲル (Trygve Nagell) が1948年に(元の証明はノルウェー語で発表されたが、1961年に英語版の論文が発表された)、トアルフ・スコーレムが1959年に証明した。
一般化
編集一般に 与えられた正の整数 D に対して
は有限個の解しかもたない。ロジェ・アペリー は 7 以外の正の整数 D に対して、この方程式は多くても2つの正の整数解しかもたないことを示したが[1]、Beukersは2つの正の整数解をもつのは
の場合に限ることを示し、さらに n < 435 + 10 log |D| / log 2 (これは D が負の場合にも成り立つ)となることを示した[2]。
Lebesgue–Nagell 方程式
編集一般に、任意の整数 A, D に対して、不定方程式
の整数解 x, y, n の個数は有限個で、原理的に計算可能である[3]。M. Lebesgue (アンリ・ルベーグとは別人)は1850年に
の整数解は x = 0, y = 1 しかないことを示した。これにちなんで上記の形の方程式を Lebesgue–Nagell 方程式とよぶ。フェルマーの最終定理の証明にも用いられたモジュラー性の理論を用いて Bugeaud, Mignotte, Siksek はこの不定方程式を A = 1, 1 ≤ D ≤ 100 に対して解いた[4]。特に元のラマヌジャン・ナーゲルの方程式の直接の拡張である方程式
の自然数解は x = 1, 3, 5, 11, 181 のみである。
脚注
編集参考文献
編集- Roger Apéry (1960). “Sur une équation diophantienne”. C. R. Acad. Sci. Paris 251: 1263–1264.
- F. Beukers (1981). “On the generalized Ramanujan-Nagel equation I”. Acta Arith. 38: 389–410 .
- M. Lebesgue (1850). “Sur l’impossibilité, en nombres entiers, de l’équation xm = y2 + 1”. Nouv. Ann. Math. Sér. 1 9: 178–181 .
- T. Nagell (1948). “Løsning till oppgave nr 2”. Norsk Mat. Tidsskr. 30: 62–64.
- T. Nagell (1961). “The Diophantine equation x2 + 7 = 2n”. Ark. Mat. 4: 185–187. doi:10.1007/BF02592006.
- T. N. Shorey; A. J. van der Poorten; R. Tijdeman; A. Schinzel (1976). "Applications of the Gelʹfond-Baker method to Diophantine equations". Transcendence theory: advances and applications (Proc. Conf., Univ. Cambridge, Cambridge, 1976). Academic Press. pp. 59–77.
- T. N. Shorey; R. Tijdeman (1986). Exponential Diophantine equations. Cambridge Tracts in Mathematics. 87. Cambridge University Press. doi:10.1017/CBO9780511566042. ISBN 9780511566042
- Yann Bugeaud; Maurice Mignotte; Samir Siksek (2006). “Classical and modular approaches to exponential Diophantine equations II. The Lebesgue–Nagell equation”. Compos. Math. 142: 31–62. doi:10.1112/S0010437X05001739 .