ラファエル・ソリアーノ (投手)

ラファエル・ソリアーノRafael Soriano, 1979年12月19日 - )は、ドミニカ共和国サン・ホセ・デ・オコア州サン・ホセ・デ・オコア出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。

ラファエル・ソリアーノ
Rafael Soriano
ワシントン・ナショナルズ時代
(2014年5月18日)
基本情報
国籍 ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国
出身地 サン・ホセ・デ・オコア州サン・ホセ・デ・オコア
生年月日 (1979-12-19) 1979年12月19日(44歳)
身長
体重
6' 1" =約185.4 cm
230 lb =約104.3 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 1996年 アマチュア・フリーエージェントとしてシアトル・マリナーズと契約
初出場 2002年5月10日 ボストン・レッドソックス
最終出場 2015年7月30日 ミルウォーキー・ブルワーズ
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴

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マリナーズ時代

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1996年8月30日にシアトル・マリナーズと契約金5,000ドルで外野手として契約した。この時、マリナーズのスカウトをしていたラモン・デロスサントスはソリアーノのプレイを20分見ただけで獲得を決めた。

1997年はルーキー級アリゾナリーグ・マリナーズで38試合に出場し、12打点7盗塁、打率.269だった。

1998年はルーキー級アリゾナリーグで32試合に出場し、6打点5盗塁、打率.167だった。

1999年から投手へ転向。A-級エバレット・アクアソックスで14試合に登板し、5勝4敗、防御率3.11だった。

2000年はA級ウィスコンシン・ティンバーラトラーズで21試合に登板し、8勝4敗、防御率2.87だった。

2001年はA+級サンバーナディーノ・スタンピードとAA級サンアントニオ・ミッションズでプレー。AA級では8試合に登板し、2勝2敗、防御率3.35だった。

2002年のシーズン前にベースボール・アメリカが選ぶ注目の若手30人に選ばれたが[1]、ビザが下りず3か月入国できなかった[2]。AA級サンアントニオで開幕を迎え、5月8日にメジャーへ昇格。5月10日のボストン・レッドソックス戦でメジャーデビューを果たし、同試合で初セーブを記録する。その後は先発ローテーション入りするも、勝利を挙げることなかった。この年は10試合に登板し、0勝3敗1セーブ、防御率4.56だった。

2003年は中継ぎとして40試合に登板。3勝0敗、防御率1.53だった。

2004年5月11日に右肘の故障で15日間の故障者リスト入りし[3]、8月17日にトミー・ジョン手術を行った。この年は故障で6試合の登板にとどまり、0勝3敗、防御率13.50だった。オフの10月4日に故障者リストから外れた。

2005年4月1日に前年の手術の影響で60日間の故障者リスト入りした[4]。9月5日に故障者リストから外れた[5]。復帰後は7試合に登板し、0勝0敗、防御率2.45だった。

2006年は開幕ロースター入りしたが、7月29日に右肩の故障で15日間の故障者リスト入りした[6]。8月4日に復帰した[7]8月29日ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム戦でブラディミール・ゲレーロの打球が頭部に直撃し入院、翌日の午後には退院した[8]。しかし脳震盪と診断され、残りの30試合を欠場した。この年は53試合に登板し、1勝2敗2セーブ、防御率2.255だった。

ブレーブス時代

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2006年12月7日ホラシオ・ラミレスとの交換トレードでアトランタ・ブレーブスへ移籍した[9]

2007年ボブ・ウィックマンにつなぐセットアッパーとして、8月にウィックマンがDFAとなった後はクローザーを務めた。9月20日にはダン・アグラに報復死球を当てたとして4試合の出場停止処分を受けたが[10]、異議申し立ての結果2試合に軽減された[11]。この年は71試合に登板し、3勝3敗9セーブ、防御率3.00だった。

2008年1月24日にブレーブスと総額900万ドルの2年契約に合意[12]。しかし2008年シーズンは右肘痛の為に3度故障者リストに入り、8月28日に右肘の手術を受けてこの年はわずか14試合の登板に終わった[13]

2009年マイク・ゴンザレスとの左右のWストッパーを務め、自己最多の77試合に登板。1勝6敗27セーブ、防御率2.97だった。オフの11月6日にFAとなったが、12月7日にブレーブスと再契約した。

レイズ時代

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2009年12月11日にジェシー・チャベスとのトレードで、タンパベイ・レイズへ移籍した[14]

2010年5月21日にはDHL デリバリー・マン・オブ・ザ・マンスを受賞し[15]、7月にも受賞した。1シーズンに2度受賞したことは史上初だった[16]。7月には、マリアノ・リベラの代役としてオールスターに初選出された[17]。8月にDHL デリバリー・マン・オブ・ザ・マンスを再び連続受賞し、トレバー・ホフマンジョー・ネイサンに次いで史上3人目となる3度目の受賞となった[18]。8月23日のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム戦では、対戦した3人の打者を三球三振で抑える「イマキュレイト・イニング」を達成した。これは1990年以降でアメリカンリーグの投手として15人目、イマキュレイト・イニングでセーブを挙げたのは史上6人目の記録となった。オフのサイヤング賞の投票では8位に入った。この年は64試合に登板し、3勝2敗、リーグトップとなる45セーブ、防御率1.73だった。オフの11月1日にFAとなった。

ヤンキース時代

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ヤンキース時代(2011年9月8日)

2011年1月18日にニューヨーク・ヤンキースと総額3500万ドルの3年契約を結んだ[19]。ヤンキースにはマリアノ・リベラという不動のクローザーがおり、基本的にはセットアッパーとしての獲得とされた。しかし中継ぎとしては破格の巨額契約であり、オーナーのハル・スタインブレナーの独断で決定されたもので、代理人のスコット・ボラスの手腕の賜物とも言われたが、GMのブライアン・キャッシュマンがメディアに不満を滲ませるほどだった[20]。開幕ロースター入りしたが、5月17日に右肘の故障で15日間の故障者リスト入りし[21]、6月15日に60日間の故障者リストへ異動した[22]。7月29日に復帰[23]。この年は42試合に登板し、2勝3敗、防御率4.12だった。

2012年はシーズン早々に負傷した守護神マリアノ・リベラに代わるクローザーとして69試合に登板し、2勝1敗、42セーブ、防御率2.26だった。オフの10月31日に翌年分の契約を破棄(Opt-out)した上でFAとなり[24]、11月2日にはヤンキースがクオリファイング・オファー(単年1330万ドル)を提示した[25]が、11月9日に拒否した[26]

ナショナルズ時代

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2013年1月17日にワシントン・ナショナルズと総額2800万ドルの2年契約(2015年・1400万ドルの球団オプション付き)に合意した[27][28]。この年は、チームのクローザーとして、68試合に登板し、3勝3敗43セーブ、防御率3.11だった。

2014年オフには球団オプション行使の条件(2年で120の交代完了)を満たせず(2年で106)、FAとなった。

カブス時代

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2015年シーズンが開幕しても所属先が決まらず、5月にはスコット・ボラスとの代理人契約を解除し、オクタゴン・ベースボールアラン・ニーロに切り替えた[29]。6月9日にシカゴ・カブスとマイナー契約を結び、AA級テネシー・スモーキーズに所属した[30]。7月17日にAAA級アイオワ・カブスに昇格した[30]。7月20日にメジャー契約となり25人枠入りしたが[31]、6試合の登板で4失点を喫する。9月1日にDFAとなり、4日に自由契約となる。オフはドミニカ共和国のウィンターリーグに出場した。

ブルージェイズ傘下時代

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2016年2月28日、トロント・ブルージェイズとマイナー契約を結び、同年のスプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[32]。しかし3月20日に引退を表明した[33]

選手としての特徴

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91-94mphの4シームを軸に、スライダーを織り交ぜる。クローザーとして試合を締めると、十字を切った後、ユニフォームのシャツの裾をズボンの外に出す(untucked)という癖があった。

詳細情報

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年度別投手成績

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W
H
I
P
2002 SEA 10 8 0 0 0 0 3 1 0 .000 202 47.1 45 8 16 1 0 32 2 0 25 24 4.56 1.29
2003 40 0 0 0 0 3 0 1 5 1.000 201 53.0 30 2 12 1 3 68 0 0 9 9 1.53 0.79
2004 6 0 0 0 0 0 3 0 0 .000 23 3.1 9 0 3 0 0 3 0 0 6 5 13.50 3.60
2005 7 0 0 0 0 0 0 0 1 ---- 30 7.1 6 0 1 0 1 9 0 0 2 2 2.45 0.96
2006 53 0 0 0 0 1 2 2 18 .333 241 60.0 44 6 21 0 2 65 2 0 15 15 2.25 1.08
2007 ATL 71 0 0 0 0 3 3 9 19 .500 276 72.0 47 12 15 2 2 70 0 0 26 24 3.00 0.86
2008 14 0 0 0 0 0 1 3 0 .000 57 14.0 7 1 9 2 1 16 1 0 5 4 2.57 1.14
2009 77 0 0 0 0 1 6 27 6 .143 307 75.2 53 6 27 4 1 102 0 0 25 25 2.97 1.06
2010 TB 64 0 0 0 0 3 2 45 0 .600 237 62.1 36 4 14 2 1 57 0 0 14 12 1.73 0.80
2011 NYY 42 0 0 0 0 2 3 2 23 .400 164 39.1 33 4 18 2 1 36 0 0 18 18 4.12 1.30
2012 69 0 0 0 0 2 1 42 4 .667 279 67.2 55 6 24 4 1 69 3 0 17 17 2.26 1.17
2013 WSH 68 0 0 0 0 3 3 43 0 .500 277 66.2 65 7 17 2 0 51 3 0 24 23 3.11 1.23
2014 64 0 0 0 0 4 1 32 0 .800 252 62.0 51 4 19 0 2 59 2 0 23 22 3.19 1.13
2015 CHC 6 0 0 0 0 2 0 0 0 1.000 25 5.2 8 2 1 0 0 4 0 0 4 4 6.35 1.59
MLB:14年 591 8 0 0 0 24 28 207 76 .462 2571 626.1 489 62 197 20 15 641 13 0 213 204 2.89 1.08
  • 各年度の太字はリーグ最高

タイトル

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表彰

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記録

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背番号

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  • 39 (2002年 - 2009年)
  • 29 (2010年 - 2015年)

脚注

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  1. ^ All-Time Top 100 Prospects”. Baseball America. April 23, 2012閲覧。
  2. ^ David Andriese (2002年5月24日). “Change of plans lands Soriano in the Show”. seattlepi.com. 2012年9月26日閲覧。
  3. ^ "Mariners place RHP Rafael Soriano on 15-day disable list; recall INF Ramon Santiago" (Press release) (英語). MLB.com (Seattle Mariners). 11 March 2004. 2016年2月29日閲覧
  4. ^ "Mariners claim infielder Wilson Valdez from NY Mets" (Press release) (英語). MLB.com (Seattle Mariners). 1 April 2005. 2016年2月29日閲覧
  5. ^ Jim Street (2005年9月5日). “Notes: Ibanez all about consistency” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  6. ^ "Mariners place pitcher Rafael Soriano on disabled list" (Press release) (英語). MLB.com (Seattle Mariners). 29 July 2006. 2016年2月29日閲覧
  7. ^ "Mariners activate pitcher Rafael Soriano" (Press release) (英語). MLB.com (Seattle Mariners). 4 August 2006. 2016年2月29日閲覧
  8. ^ Corey Brock (2006年8月30日). “Soriano released from hospital Mariners relieved to hear full recovery expected”. MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  9. ^ "Braves acquire right-handed pitcher Rafael Soriano from Mariners" (Press release) (英語). MLB.com (Atlanta Braves). 7 December 2006. 2016年2月29日閲覧
  10. ^ Mark Bowman (2007年9月20日). “Notes: Soriano suspended four games Reliever disciplined for actions during Monday's contest”. MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  11. ^ Mark Bowman (2007年9月28日). “Notes: Soriano's suspension reduced Braves closer's penalty cut to two games, fine to $1,000” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  12. ^ Mark Bowman (2008年1月24日). “Braves reach agreement with Soriano Last of team's arbitration-eligible players gets two-year deal” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  13. ^ Mark Bowman (2008年8月28日). “Soriano has season-ending surgery Reliever should return in '09 after procedure on right elbow” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  14. ^ "Rays acquire Rafael Soriano from Braves" (Press release) (英語). MLB.com (Tampa Bay Rays). 11 December 2009. 2016年2月29日閲覧
  15. ^ Chastain, Bill (2010年6月2日). “Soriano wins reliever award for May”. MLB.com. http://m.rays.mlb.com/news/article/10723596 2016年2月29日閲覧。 
  16. ^ "Rafael Soriano named winner of the Major League Baseball Delivery Man of the Month Award for July" (Press release) (英語). MLB.com (Tampa Bay Rays). 4 August 2010. 2016年2月29日閲覧
  17. ^ “Rafael Soriano to replace Mariano Rivera on A.L. All-Star Roster | MLB.com: Official Info” (英語). MLB.com (Tampa Bay Rays). (2010年7月7日). http://mlb.mlb.com/news/press_releases/press_release.jsp?ymd=20100707&content_id=12027744&vkey=pr_mlb&fext=.jsp&c_id=mlb 2010年9月10日閲覧。 
  18. ^ "Tampa Bay's Rafael Soriano named winner of the Major League Baseball Delivery Man of the Month award for August" (Press release) (英語). MLB.com (Tampa Bay Rays). 2 September 2010. 2016年2月29日閲覧
  19. ^ "Yankees sign RHP Rafael Soriano" (Press release) (英語). MLB.com (New York Yankees). 18 January 2011. 2016年2月29日閲覧
  20. ^ “ヤンキース GMの反対を押し切りボスの判断でソリアーノ獲得”. USA通信. ライブドア. (2011年1月17日). http://news.livedoor.com/article/detail/5284571 2016年2月29日閲覧。 
  21. ^ Bryan Hoch (2011年5月17日). “Soriano placed on 15-day DL by Yankees”. MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  22. ^ Bryan Hoch, Matt Fortuna (2011年6月15日). “Soriano advised to rest before resuming rehab” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  23. ^ Matt Fortuna (2011年7月29日). “Soriano activated, will be eased back” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  24. ^ Bryan Hoch (2012年12月31日). “Soriano opts out of contract with Yankees” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  25. ^ Bryan Hoch (2012年11月3日). “Qualifying offers made to Soriano, Kuroda, Swisher”. MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  26. ^ Anthony DiComo (2012年11月9日). “Soriano rejects offer; Kuroda, Swisher follow” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  27. ^ "Nationals Agree to Terms with Right-Handed Pitcher Rafael Soriano on Two-Year Contract" (Press release) (英語). MLB.com (Whashington Nationals). 17 January 2013. 2016年2月29日閲覧
  28. ^ Bill Ladson (2013年1月17日). “Deal official, Nationals introduce Soriano” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  29. ^ Patrick Mooney (2015年6月5日). “Is Rafael Soriano an answer for Cubs bullpen?” (英語). Comcast SportsNet Chicago. http://www.csnchicago.com/cubs/rafael-soriano-answer-cubs-bullpen 2015年7月21日閲覧。 
  30. ^ a b Jason Lempert (2015年7月16日). “Cubs RP Rafael Soriano promoted to Triple-A on Thursday” (英語). CBS Sports FANTASY (CBS Interactive). http://www.cbssports.com/fantasy/baseball/news/cubs-rp-rafael-soriano-pitching-at-double-a/ 2015年7月21日閲覧。 
  31. ^ Shawn Krest (2015年7月19日). “Cubs recall Rafael Soriano, DFA Edwin Jackson” (英語). CBS Sports FANTASY (CBS Interactive). http://www.cbssports.com/fantasy/baseball/news/cubs-recall-rafael-soriano-dfa-edwin-jackson/ 2016年2月26日閲覧。 
  32. ^ Gregor Chisholm (2016年2月28日). “Blue Jays sign reliever Soriano to Minors deal” (英語). MLB.com. 2016年2月29日閲覧。
  33. ^ Gregor Chisholm (2016年3月20日). “Longtime closer Soriano retires, pens open letter”. MLB.com. 2017年7月4日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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