ラファイエット級原子力潜水艦

ラファイエット級原子力潜水艦(ラファイエットきゅうげんしりょくせんすいかんLafayette class submarine)は、アメリカ海軍弾道ミサイル原子力潜水艦(戦略ミサイル原子力潜水艦)(SSBN)。イーサン・アレン級の発展型で9隻が建造された。本級に後続するジェームズ・マディソン級ベンジャミン・フランクリン級も、ラファイエット級が漸進改良された準同型艦級とする分類もある[1]

ラファイエット級原子力潜水艦
USS Lafayette (SSBN-616)
基本情報
種別 弾道ミサイル原子力潜水艦
命名基準 人名
建造所 エレクトリック・ボート
メア・アイランド海軍造船所
ポーツマス海軍造船所
ニューポート・ニューズ造船所
運用者  アメリカ海軍
建造期間 1961年 - 1964年
就役期間 1963年 - 1994年
建造数 9隻
前級 イーサン・アレン級
次級 ジェームズ・マディソン級
要目
基準排水量 7,250 トン
全長 129.5 m
最大幅 10 m
吃水 8.50 m
機関方式 原子力ギアード・タービン方式
原子炉 WH S5W原子炉 1基
推進器 1軸
最大速力 (水上)20ノット (37 km/h)
(水中)25ノット (46 km/h)
潜航深度 396 m
乗員 士官13名 兵員130名
兵装

533mm魚雷発射管×4門
潜水艦発射弾道ミサイル×16基 ポラリスA-2SLBM
ポセイドンC-3SLBM

トライデントI(C-4)SLBM
ソナー BQR-7、BQS-4ソナー
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ジョージ・ワシントン級イーサン・アレン級ジェームズ・マディソン級ベンジャミン・フランクリン級と共に本級は「自由のための41隻 41 for Freedom」と呼ばれ、冷戦下のアメリカの核抑止戦力の構成した。

概要

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最終艦の ダニエル・ウェブスター(SSBN-626) を除く8隻は ポラリス A-2 潜水艦発射弾道ミサイルを装備して建造され、改装によりポラリスA-3を装備した。ダニエル・ウェブスターは当初からポラリスA-3を装備していた[2]。1970年代半ば、本級は全艦がポセイドンC3を搭載するためアップグレードされた。本級のミサイル発射管はジョージワシントン級、イーサンアレン級よりもわずかに大きく、ポセイドンはこれを利用するように設計された[3]。ジェームズ・マディソン級とベンジャミン・フランクリン級とは異なり、本級はトライデントC-4への改装は行われなかった。本級には、ミサイル発射時にトリムをより効果的に管理するための安定化システムが装備されていた。これにより、ミサイルの発射間隔が4分/発から1分/発に短縮された[3]

本級の潜舵はセイルに装備されているが、最終艦のダニエル・ウェブスターは試験的に、船首に設けたミニセイルに潜舵を装備しており、特徴的な外見からOld Funny Finsと呼ばれていた。ポーポイズの影響を低減するための試みであったが、ミニセイルは流体力学的効率を低下させ、艦の全体的な速度低下を招いた。 1970年代半ばオーバーホールでミニセイルは撤去され、潜舵は標準的な配置に改装された[4]

艦齢の増加、オハイオ級の就役、ソビエト連邦の崩壊による戦略パトロールの重要度の低下、第二次戦略兵器制限交渉(SALT II)条約による制約などの理由により、本級は1986年から1992年にかけて退役した。ほとんどの艦は原子力艦再利用プログラムにより解体されたが、ダニエル・ウェブスターは、サウスカロライナ州チャールストン海軍工廠で、ジェームズ・マディソン級サム・レイバーン(MTS-635)とともに、原子力発電訓練のための繫留訓練艦として使用された[5]

SSBN各型の比較
コロンビア級 オハイオ級 フランクリン級 マディソン級 ラファイエット級 アレン級 ワシントン級
船体 水上排水量 不明 16,764 t 7,320 t 6,955 t 5,959 t
水中排水量 20,810 t 18,750 t 8,240 t 7,880 t 6,709 t
全長 170.99 m 170.67 m 129.5 m 125 m 116.3 m
全幅 13.1 m 12.8 m 10 m 10.1 m
吃水 不明 11.1 m 9.4 m 8.69 m 8.4 m 8.1 m
主機 機関 原子炉+IEP 原子炉+蒸気タービン
方式 ターボ・エレクトリック ギアード・タービン
原子炉 BC S1B GE S8G WEC S5W
出力 60,000 shp 15,000 shp
水中速力 24 kt(推定) 21 kt 25 kt 21 kt 22 kt
兵装 水雷 533mm魚雷発射管×4門
SLBM トライデントD5LEP×16基 トライデントC4/D5[注 1]×24基 ポラリスA3[注 2]×16基 ポラリスA2[注 3]×16基 ポラリスA2[注 4]×16基 ポラリスA1[注 4]×16基
同型艦数 未就役(12隻予定) 18隻[注 5] 12隻[注 6] 10隻 9隻 5隻[注 7] 5隻[注 8]


同型艦

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艦番号 艦名 建造所 起工 進水 就役 退役 備考
SSBN-616 ラファイエット
USS Lafayette
エレクトリック・ボート 1961年
1月17日
1962年
5月8日
1963年
4月23日
1991年
8月12日
SSBN-617 アレクサンダー・ハミルトン
USS Alexander Hamilton
1961年
6月26日
1962年
8月18日
1963年
6月27日
1993年
2月23日
SSBN-619 アンドリュー・ジャクソン
USS Andrew Jackson
メア・アイランド海軍造船所 1961年
4月26日
1962年
9月15日
1963年
7月3日
1989年
8月31日
SSBN-620 ジョン・アダムズ
USS John Adams
ポーツマス海軍造船所 1961年
5月19日
1963年
1月12日
1964年
5月12日
1989年
3月24日
SSBN-622 ジェームズ・モンロー
USS James Monroe
ニューポート・ニューズ造船所 1961年
7月31日
1962年
8月4日
1963年
12月7日
1990年
9月25日
SSBN-623 ネイサン・ヘール
USS Nathan Hale
エレクトリック・ボート 1962年
10月2日
1963年
1月12日
1963年
11月23日
1986年
11月3日
SSBN-624 ウッドロウ・ウィルソン
USS Woodrow Wilson
メア・アイランド海軍造船所 1961年
9月13日
1963年
2月22日
1963年
12月27日
1994年
9月1日
SSBN-625 ヘンリー・クレイ
USS Henry Clay
ニューポート・ニューズ造船所 1961年
10月23日
1962年
11月30日
1964年
2月20日
1990年
11月5日
SSBN-626
→MTS-626
ダニエル・ウェブスター
USS Daniel Webster
エレクトリック・ボート 1961年
12月28日
1963年
4月27日
1964年
4月9日
1990年
8月30日
除籍後、係留訓練艦として使用

参考文献

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  • Friedman, Norman (1994). U.S. Submarines Since 1945: An Illustrated Design History. Annapolis, Maryland: United States Naval Institute. ISBN 1-55750-260-9 
  • Gardiner, Robert and Chumbley, Stephen (editors). Conway's All The World's Fighting Ships 1947-1995. Annapolis, USA: Naval Institute Press, 1995. ISBN 1-55750-132-7.
  • Polmar, Norman (1981). The Ships and Aircraft of the U.S. Fleet: Twelfth Edition. ISBN 0-85368-397-2 
  • US Naval Vessel Register - List of SSBN BALLISTIC MISSILE SUBMARINE (NUCLEAR-POWERED) Class vessels
  • 岡部いさく、2021、「原子力潜水艦 その誕生から今日まで」、『世界の艦船』(2021.6(949))、海人社、NAID 40022569881 pp. 69-77
  • この記事はアメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。

脚注

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注釈

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  1. ^ トライデントD5LEPに換装
  2. ^ のちにポセイドンC3に換装(一部の艦はさらにトライデントⅠ C4に換装)
  3. ^ のちにポセイドンC3に換装
  4. ^ a b のちにポラリスA3に換装
  5. ^ 4隻はSSGNに改装
  6. ^ 2隻は後日SSNに艦種変更
  7. ^ 後日SSNに艦種変更
  8. ^ 3隻は後日SSNに艦種変更

出典

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  1. ^ 岡部2021: 71
  2. ^ Polmar 1981: 21
  3. ^ a b Friedman 1984: 199-203,244
  4. ^ Daniel Webster at NavSource.org
  5. ^ Gardiner and Chumbley 1995, p.612.

関連項目

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