ヨーロッパクサリヘビVipera berus) は、爬虫綱有鱗目クサリヘビ科クサリヘビ属に分類されるヘビ。

ヨーロッパクサリヘビ
ヨーロッパクサリヘビ
ヨーロッパクサリヘビ Vipera berus
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
: クサリヘビ科 Viperidae
: クサリヘビ属 Vipera
: ヨーロッパクサリヘビ V. berus
学名
Vipera berus
(Linnaeus, 1758)[1][2]
シノニム

Coluber berus Linnaeus, 1758[1][2]
Vipera nikolskii
Vedmederya, Grubandt & Rudayeva, 1986[1][2]

和名
カラフトクサリヘビ[3]
ヨーロッパクサリヘビ[3][4]
英名
Adder
Northern viper
[1][2]

分布

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ユーラシア大陸の北部地域に広く分布し、グレートブリテン島アイルランド島では確認されていない)、フランスイタリアの北部地域から、東ヨーロッパロシアスカンジナビア半島中央アジアモンゴルを経て、東はサハリン北朝鮮中国北部にまで達する。

本種は最も北に生息するクサリヘビで、スカンジナビア半島では北緯60度の北極圏付近にも見られる。

形態

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全長65 - 90センチメートル[4]。背面に暗色の鎖状の斑紋が入る。

オスの体色は灰色で、メスの体色は褐色[4]

本種の毒は、アスプクサリヘビに比べるとそれほど強くはなく、現地ではそれほど恐れられていない。死者も極めてまれである。 その主成分は出血毒で、神経毒は少ない。そのため、咬まれると激痛と共に患部が腫れあがる。毒は強くないとは言えども、一刻も早い治療が必要である。

分類

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以下の分類はThe Reptile Database(Uetz et al.,2016)に従う[2]

Vipera berus berus (Linnaeus, 1758)
Vipera berus bosniensis Boettger, 1889
Vipera berus nikolskii Vedmederya, Grubandt & Rudayeva, 1986
Vipera berus sachalinensis Zarevsky, 1917

生態

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標高2,700メートル以下にある開けた森林や低木林・草原・湿原などの様々な環境に生息する[1]。また、アルプス山脈など、標高の高い地域でも見られる。夜行性

小型哺乳類、トカゲなどを食べる[4]

繁殖形態は胎生。3 - 18頭の幼蛇を産む[1]

人間との関係

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農地開発などによる生息地の破壊、ペット用の採集などにより生息数は減少している[1]

日本ではくさりへび科(クサリヘビ科)単位で特定動物に指定されている[5]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h Jelka Crnobrnja Isailovic, Milan Vogrin, Claudia Corti, Paulo Sá-Sousa, Marc Cheylan, Juan M. Pleguezuelos, Ljiljana Tomović, Bogoljub Sterijovski, Ulrich Joger, A. Westerström, Bartosz Borczyk, Benedikt Schmidt, Andreas Meyer, Roberto Sindaco, Dušan Jelić. 2009. Vipera berus. The IUCN Red List of Threatened Species 2009: e.T157248A5059709. Downloaded on 05 September 2017.
  2. ^ a b c d e Vipera berus. Uetz, P. & Jirí Hošek (eds.), The Reptile Database, http://www.reptile-database.org, accessed 29 Dec 2016.
  3. ^ a b 鳥羽通久 「スタイネガー (1907) に掲載された日本とその周辺地域産のヘビ類を見直す」『爬虫両棲類学会報』第2007号 2巻、日本爬虫両棲類学会、2007年、182-203頁。
  4. ^ a b c d 太田英利 「ヨーロッパクサリヘビ」『小学館の図鑑NEO 両生類・はちゅう類』、小学館2004年、138頁。
  5. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)環境省・2017年9月5日に利用)

関連項目

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