ユーロビジョン・ソング・コンテスト2022
ユーロビジョン・ソング・コンテスト2022こと第66回ユーロビジョン・ソング・コンテスト(英語: Eurovision Song Contest 2022、フランス語: Concours Eurovision de la chanson 2022)は、2022年5月にイタリアのトリノで開催されたユーロビジョン・ソング・コンテストである。オランダのロッテルダムで開催された2021年大会でイタリア代表のマネスキンが優勝したことにより、イタリアが2022年大会の主催権を獲得した[6]。本大会はパラスポーツ・オリンピコを会場とし、準決勝は5月10日と12日に、決勝は5月14日に行われた[7]。
ユーロビジョン・ソング・コンテスト 2022 The Sound of Beauty | |
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日程 | |
準決勝1 | 2022年5月10日 |
準決勝2 | 2022年5月12日 |
決勝 | 2022年5月14日 |
主催者 | |
会場 | イタリア・トリノ パラスポーツ・オリンピコ |
司会 | |
総監督 | Martin Österdahl |
主催放送局 | イタリア放送協会 |
開会演技 |
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幕間演技 |
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参加者 | |
参加国数 | 40 |
復帰 | アルメニア モンテネグロ |
撤退 | ロシア |
参加国
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投票 | |
投票方式 | 各国が出場者に対して、1点~8点、10点、12点を2回投票する。1つは審査員票、もう1つは視聴者票である。 |
優勝曲 | ウクライナ カールシュ・オーケストラ『Stefania』 |
ユーロビジョン・ソング・コンテスト | |
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本大会には、アルメニアとモンテネグロが復帰し、前回大会に出場したロシアを除く40か国が参加した。
大会の結果、ウクライナの6人組ヒップホップグループ、カールシュ・オーケストラの「Stefania」が優勝した。ウクライナの優勝は、2016年大会以来6年ぶり3回目である。視聴者票の得点は439点で、これは2017年大会で優勝したポルトガルのサルヴァドール・ソブラルが獲得した376点を上回る最高得点である。
2021年大会で現行の投票システムになってから初めて無得点という屈辱を味わったイギリスは、審査員票で1位となり、視聴者票を含めた得点で2位に入った。イギリスが2位に入ったのは1998年大会以来24年ぶりである。一方、2019年大会と2021年大会でいずれも25位と低迷しているドイツは、審査員票で無得点となるなど2016年大会以来の最下位に終わった。
開催地
編集イタリアでの開催が明確になった時点から、多くの都市が開催地としての意欲を示したため、イタリア放送協会(RAI)と欧州放送連合(EBU)は2021年7月7日に開催都市としての条件を発表した[8]。
- 開催都市の周辺には90分以内に到着できる国際空港がある。
- 開催施設の周辺のホテルには2000以上の客室が確保できる。
- 開催施設は以下の条件を満たさなければならない。
- 空調設備が付く屋内にあり、周辺とは明確に隔たっている。
- メインホールで約8000〜10000人の観客を収容できる(ユーロビジョン・ソング・コンテストの特性を考慮すると、通常のコンサートの最大収容人数の70%に相当する)。
- セットを収容する能力と、高レベルの放送を行うための必要なすべての要件を備えるメインホールを有する。
- メインホールに簡単にアクセスできる十分なスペースがあり、報道陣専用のスペース、代表団のスペース、更衣室、アーティスト待機用のスペース、スタッフ用のスペース、接客のスペース、観客向けのスペースなどの区割りを実現できる。
- ユーロビジョン・ソング・コンテストのある週の7週間前から終了後の1週間までは、主催者が独占的に利用できる。
2021年7月13日、イタリア放送協会はボローニャ、ジェノバ、フィレンツェ、ミラノ、ローマ、トリノ、トリエステ、アレッサンドリア、マテーラ、ペーザロ、リミニ、ビテルボ、アチレアーレ、ベルティノーロ・ディ・ロマーニャ、イェーゾロ、パラッツォーロ・アクレイデ、サンレーモの計17都市が出願したことを発表した[9]。8月4日、候補地はアチレアーレ、アレッサンドリア、ボローニャ、ジェノバ、ミラノ、パラッツォーロ・アクレイデ、ペーザロ、リミニ、ローマ、サンレーモ、トリノの11都市に絞られた[10]。8月24日にはさらにボローニャ、ミラノ、ペーザロ、リミニ、トリノの5都市に絞られた[11]。
2021年10月8日、開催地がトリノのパラスポーツ・オリンピコに選定された[7]。決勝は5月14日に決められた[7]。
出場国
編集過去に参加歴のあるアンドラ[13]、スロバキア[14]、ルクセンブルク[15]、モナコ[16]、ボスニア・ヘルツェゴビナ[17]は不参加を表明した。また、ベラルーシは欧州放送連合の会員資格停止により出場できなくなり[18]、ロシアもウクライナに対する侵攻により、欧州放送連合から脱退し出場できなくなった[19]。
準決勝の組分け
編集1組 | 2組 | 3組 |
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4組 | 5組 | 6組 |
ポストカード
編集各国のポストカードは「レオ」というドローンがイタリア各地を飛び回し、参加アーティストの映像を放映する形である[21][22][23]。
参加者と結果
編集2021年大会と同じく新型コロナウイルス感染症の流行下での開催であるため、バッキングボーカルの事前録音が許可されるようになった[24]。
再出場のアーティスト
編集ブルガリア代表のインテリジェント・ミュージック・プロジェクトのメンバーであるストヤン・ヤンクロフは、エリツァ・トドロヴァ & ストヤン・ヤンクロフとして2007年大会と2013年大会に参加している[25]。モルドバ代表のズドブ・シ・ズドゥブ & アドバホフ兄弟として出場するズドブ・シ・ズドゥブは、2005年大会と2011年大会に当該バンド単独で参加している[26]。イタリア代表のマフムード & ブランコとして出場するマフムードは、ソロアーティストとして2019年大会に参加している[27]。ウクライナ代表のカールシュ・オーケストラのメンバーであるイホール・ディデンチュクは、ゴー・エーのメンバーとして出場した2021年大会に続いて2年連続での出場を果たしている[28]。
さらに、デンマーク代表のレッディのメンバーでドラム担当のイーハン・ハイダーは、2012年大会に出場したソルーナ・サマイのバックバンドメンバーとして参加している[29]。
準決勝1
編集2022年5月10日21:00(CEST)に開催[30]。準決勝1には17か国が出場し、10か国が決勝に進出した。出場国以外にイタリアとフランスは投票に参加した[30]。
ロシアは撤退前、くじ引きで準決勝1の後半に決められた。
準決勝2
編集2022年5月12日21:00(CEST)に開催[30]。準決勝2には18か国が出場し、10か国が決勝に進出した。出場国以外にドイツ、スペインとイギリスは投票に参加した[30]。
決勝
編集事件
編集ロシアのウクライナ侵攻による影響
編集ウクライナの国内予選
編集ウクライナの国内予選は2022年2月12日に開催し、アリーナ・パシュを代表として選出した。しかし、彼女は過去にロシア占領下のクリミアに渡航したことが発覚したため、同月16日に棄権を表明した[36]。2月22日、次点のカールシュ・オーケストラが代わりに選出された[37]。
ロシアの出場停止
編集ロシアによるウクライナ侵攻当日の2月24日、ウクライナ国営テレビ(UA:PBC)が欧州放送連合に対し、全ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社とロシア第一チャンネル両放送局の会員資格の剥奪を求めていた。その後、主催側はロシアにもウクライナにも参加資格があると表明したが[38]、これに対し、北欧を中心とした国の放送局および参加者らが異議を示した[39]。2月25日、欧州放送連合は今回のロシアの参加を取り止めると表明した[19]。
ウクライナ代表の参加
編集ロシアによるウクライナ侵攻によりウクライナでは、18歳から60歳の男性の出国を原則禁止する総動員令が出されており、男性からなるカールシュ・オーケストラのメンバーの出国の可能性が疑問視されていたが、4月2日のUA:PBCの発表によると特例的に出国の許可が得られた[40][41]。
親ロシア派によるサイバー攻撃
編集2022年5月11日、イタリアのいくつかのサイトが親ロシア派のハッカー集団『キルネット』のサイバー攻撃により被害を受け[42][43]、ユーロビジョン・ソング・コンテスト関連のサイトもその対象になっていた。ホームページと投票プラットフォームには影響がなかったと見られる[44]。
イスラエルの撤退示唆
編集2022年4月12日、イスラエルの放送局・イスラエル公共放送協会(KAN)はイスラエル総保安庁のメンバーがストライキを行なっていたため、イスラエル代表の安全を保証することができないとして撤退を示唆した[45]。しかし、同月末にイスラエル公共放送協会はイスラエル総保安庁と協定を結んでいたため、出場可能になった[46]。
舞台設備の不具合
編集この大会で舞台全体は「昇る太陽」のテーマを取っており、太陽の部分はもともと動けるようにデザインされたが、リハーサルの段階で太陽がモーターの不具合によりうまく動けなくなった[47][48]。
北マケドニアの国旗
編集5月8日の「ターコイズ・カーペット」イベントで、北マケドニア代表のアンドレア・コエフスカは写真を撮る時、ポーズを取るために手持ちの北マケドニアの国旗を投げた。これに対し、同国のEBU加盟放送局マケドニアラジオ・テレビは非難声明を出し、アンドレアの行為は法律違反とし、撤退の可能性も示唆した[49]。アンドレアは翌日に謝罪のビデオを公表した[50]。
投票の結果
編集準決勝2でのアゼルバイジャン、ジョージア、モンテネグロ、ポーランド、ルーマニア、サンマリノの6カ国の審査員による投票の結果はEBUにより「不規則な投票パターン」に分類されたためすべて却下され、代わりに同様な投票履歴を持つ国々の投票パターンから類推した結果を使った[51][52]。ベルギーのフラマン語放送局VRTによると、これらの国の放送局は互いに高得点を与えるという事前協定を結んだことがリークされた[53]。
決勝でも「技術的な原因」により、アゼルバイジャン、ジョージア、ルーマニアの3カ国の審査員による投票の結果は現地からの発表ではなく、総監督のマルティン・オステルダールにより発表された[54]。しかし、発表された結果は現地の審査員による投票の結果とは違うと見られる。ルーマニアの審査員はもともと12点をモルドバに、ジョージアとアゼルバイジャンの審査員はもともと12点をウクライナに与えたが、現場での発表はルーマニアの12点がウクライナに、ジョージアとアゼルバイシャンの12点がイギリスにそれぞれ与えた。このため、これらの国とモンテネグロの放送局はEBUに事情の説明を求めた[55][56][57][58]。
5月19日、EBU側は詳細な調査結果を発表した[59]。
司会者の不在
編集各国の審査員投票を発表した時に、司会者のラウラ・パウジーニは約20分間欠席した。そのため、投票の進行とグリーンルームでの歌手へのインタビューはアレッサンドロ・カッテランとミーカの2人が担当するようになった。パウジーニはのち、SNSで低血圧により医者のアドバイスで休憩をとったと説明した[60]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “Italo-Disco Interval: Dardust, Benny Benassi + Sophie & The Giants 🇮🇹” (英語). Eurovision.tv (2022年4月22日). 2022年5月7日閲覧。
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