ユダヤ砂漠
ユダヤ砂漠(ユダヤさばく、英語: Judaean Desert / Judean Desert、ヘブライ語: מִדְבַּר יְהוּדָה Midbar Yehuda、アラビア語: صحراء يهودا Sahraa' Yahuda)は、エルサレム東方から死海へと下っていく途中の、イスラエルとヨルダン川西岸地区にまたがるところにある砂漠。ネゲヴの北東部からベイト・エルの東方へ広がるこの砂漠は、急崖(エスカープメント)を伴う段丘をもつことが特徴となっている。砂漠の末端は、死海やヨルダン渓谷に落ちる急崖となっている。深く狭い峡谷 (ravine) の発達も見られ、西部では 366メートル (1,201 ft)、東部でも 183メートル (600 ft) の深さになるところもある[1]。ユダヤ砂漠は、東側のユダヤ山地とともに、特別な形状の構造をもっている。

この砂漠は、ヤシモン(ヘブライ語: יְשִׁימוֹן Yeshimon)とも呼ばれることがあるが、これは「砂漠」、「荒野」という意味であるとともに、「ユダ族の荒野」ないし「ユダヤの荒野」などの意にもとれる[2]。
位置と気候
編集ユダヤ砂漠は、エルサレムの東方にあり、死海へと下っていくところにある。周辺のおもな都市地域には、エルサレムのほかに、ベツレヘム、グーシュ・エツヨン、エリコ、ヘブロンがある。
ユダヤ地方の降水量は、西方の丘陵地で 400–500ミリメートル (16–20 in)、中央部の西エルサレムで 600ミリメートル (24 in)、東エルサレムで 400ミリメートル (16 in) に減少し、東部では雨蔭効果のために 100ミリメートル (3.9 in) 程度まで下がる。ケッペンの気候区分は、西部の地中海性気候から東部の砂漠気候へと変化し、中間には細長いステップ気候の地域が広がる。
ユダヤ帯水層
編集エルサレムのヘブライ大学の調査によると、ユダヤ砂漠の地下には、ユダヤ帯水層という水脈が存在しており、この帯水層はユダヤ山地に発し、北東方向へ死海に向かって流れ、ツキム (Tsukim)、カネ (Kane)、サマル (Samar)、エン・ゲディの泉で地表にも現れる。降雨を集めるこの帯水層には、毎年およそ1億立方メートルほどの水が流れている[3]。
考古学
編集観光
編集ユダヤ砂漠には、観光地として、古代の要塞跡であるマサダがあるほか、急峻な峡谷へ降りてゆくハイキングなどが観光客を集めている[5]。
ギャラリー
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エン・ゲディのヤイル山 (Mount Yair) から見たユダヤ砂漠。
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ユダヤ砂漠の中の丘陵。
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エルサレム郊外、マアレ・アドゥンミームから見たユダヤ砂漠。
脚注
編集- ^ Elisha Efrat (1988). Geography and Politics in Israel Since 1967. Routledge (Taylor & Fancis)
- ^ “Judean Wilderness”. BiblePlaces.com. 2015年9月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月28日閲覧。
- ^ “There's Water Under the Desert -- But It's Hardly Being Used”. Phys.org. 2020年11月20日閲覧。
- ^ Google Japan (2011年9月27日). “砂漠からウェブへ、死海文書オンラインコレクション”. Google Japan. 2020年11月20日閲覧。
- ^ AFP (2016年12月14日). “滑落した息子救おうと父親が犠牲に、息子も死亡し臓器提供 イスラエル”. AFPBB News. 2020年11月20日閲覧。