ヤブコウジ属
サクラソウ科の常緑小低木
ヤブコウジ属(ヤブコウジぞく、学名; Ardisia、和名漢字表記:藪柑子属)は、サクラソウ科の属の1つ[3]。
ヤブコウジ属 | ||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Ardisia Sw.[1] | ||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||
Ardisia tinifolia Sw.[1] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ヤブコウジ属(藪柑子属)[2] | ||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||
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特徴
編集常緑の高木から低木、また草状の小低木まである。葉は単葉で多くは互生、ときに対生、輪生し、縁は全縁、鋸歯または波状の歯牙がある。花序は円錐状、散房状または散状となり、茎先または葉腋につく。花は両性花であるが一部が雄性で、5数性ときに4数性、色は白色または帯紅色で小型である。萼は5深裂する。花冠は5裂し基部でわずかに合着し、花冠裂片は片巻き状に右回りに並ぶ。雄蕊は5個あり花筒の基部につき、花冠裂片と対生する。雌蕊は1個で花冠と同じ長さかやや長い、子房は上位につき1室ある。果実は液果様の核果で、球形または扁球形となり、多くは紅色に熟し、1個の大型の種子が入る[5]。
分布
編集世界に約400-500種あり[6]、インドから東南アジアにかけて、東アジア、太平洋諸島、熱帯アメリカ、オーストラリアに分布する[5]。日本には8種ほど知られる[5]。
種
編集和名(別名)、学名はYistによる。
日本に分布する種
編集- マンリョウ Ardisia crenata Sims – 常緑小低木で高さ30-100cmになる。7月に枝先に白い花を10数個つけ、果実は11月頃赤く熟し4月頃まで残る。本州(関東地方以西)、四国、九州、琉球諸島に分布し、常緑樹林内に生育する。名前が「万両」と縁起がいいため、庭木や鉢植えとして栽培され、正月の飾りに使われる。国外では朝鮮半島、中国大陸、台湾、東南アジア、インドに分布する[2][5]。
- カラタチバナ Ardisia crispa (Thunb.) A.DC. - 常緑小低木で高さ20-70cmになる。7月に葉腋に白い花を10数個つけ、果実は11月頃赤く熟し4月頃まで残る。本州(福島県以西・新潟県以西)、四国、九州、琉球諸島に分布し、常緑樹林内に生育する。マンリョウ(万両)に対してヒャクリョウ(百両)とも言われ、庭木や鉢植えとして栽培さる。国外では中国大陸、台湾に分布する[2][5][7][8]。
- シナヤブコウジ(別名:シナタチバナ、シナマンリョウ) Ardisia cymosa Blume - 常緑小低木で高さ25-40cmになる。4-6月に葉腋に白い花を3-5個つけ、果実は紅色から熟して黒色なる。奄美大島、徳之島に分布する。国外では中国大陸南部、台湾に分布する[5]。絶滅危惧II類(VU)(環境省)。
- ヤブコウジ Ardisia japonica (Thunb.) Blume - 常緑小低木で高さ10-20cmになる。7-8月に前年枝の葉腋に白い花を下向きに2-5個つけ、果実は10-11月頃赤く熟す。北海道(奥尻島)、本州、四国、九州に分布し、丘陵地林内の木陰にふつうに生育する[2][5]。マンリョウ(万両)やヒャクリョウ(百両、カラタチバナ)に対してジュウリョウ(十両)とも言われ[9]、庭木や鉢植えとして栽培され、正月の飾りに使われる。国外では朝鮮半島、中国大陸、台湾に分布する[2][5]。
- ツルコウジ Ardisia pusilla A.DC. - 常緑小低木で茎は横に這い、斜上して高さ10-15cmになる。6-8月に枝の鱗片葉の腋に白い花を下向きに2-4個つけ、果実は12月頃赤く熟す。本州(千葉県以西)、四国、九州、琉球諸島に分布し、低山、丘陵地の木陰に生育する。国外では朝鮮半島、中国大陸、台湾、フィリピンに分布する[2][5][7]。
- シシアクチ Ardisia quinquegona Blume - 常緑低木または小高木で高さ2-5mになる。5-6月に枝の上部の葉腋に白い花を10数個つけ、果実は11月頃黒く熟し翌年の春まで残る。九州(屋久島・種子島)から琉球諸島に分布し、常緑樹林内に生育する。国外では中国大陸、台湾、インドシナ半島に分布する[2][5]。
- モクタチバナ Ardisia sieboldii Miq. - 常緑低木または高木で高さ2-8mになり、大きなものは10mに達する。5-7月に枝の上部に葉腋から花序をだし、白い花を多数つける。果実は12月頃黒紫色に熟し翌年の春まで残る。四国(南部)、九州、琉球諸島、小笠原諸島に分布し、常緑樹林内に生育する。国外では中国大陸南東部、台湾に分布する[2][5][7]。
- オオツルコウジ Ardisia walkeri Yuen P.Yang - つる性常緑小低木で茎は横に這い、斜上して直立し高さ10-30cmになる。ヤブコウジとツルコウジの中間的な形状を示すが、ツルコウジのように匍匐した枝に葉はつけない。5-7月に鱗片葉の腋に白い花を2-6個つけ、果実は赤く熟す。本州(千葉県以西)、伊豆諸島、九州、奄美諸島に分布し、暖地の照葉樹林の林床に生育する[5][7]。絶滅危惧IB類(EN)(環境省)。
その他、アジアに分布する主な種、栽培種
編集- トンロクヤブコウジ Ardisia brevicaulis Diels
- ヒイラギマンリョウ Ardisia cornudentata Mez
- コウトウタチバナ Ardisia elliptica Thunb.
- ヒカゲコウジ Ardisia maclurei Merr.
- トウランアクチ Ardisia obtusa Mez
- オオマンリョウ Ardisia polysticta Miq.
- コビトマンリョウ Ardisia violacea (T.Suzuki) W.Z.Fang et K.Yao
ギャラリー
編集脚注
編集- ^ a b Ardisia, Tropicos
- ^ a b c d e f g h 『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)山溪ハンディ図鑑5』pp.174-179
- ^ 大場『植物分類表』p.177
- ^ ヤブコウジ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f g h i j k l 『日本の野生植物 木本II』pp.158-161
- ^ Ardisia, Flora of China
- ^ a b c d 『新牧野日本植物圖鑑』pp.551-552
- ^ 『改訂新版 日本の野生植物 4』p.190
- ^ 『新装版山溪フィールドブックス13 樹木(秋冬編)』p.50
参考文献
編集- 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本II』、1989年、平凡社
- 茂木透、石井英美他『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)山溪ハンディ図鑑5』、2001年、山と溪谷社
- 永田芳男著『新装版山溪フィールドブックス13 樹木(秋冬編)』、2006年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
- 大場秀章編著『植物分類表(初版第3刷訂正入)』、2011年、アボック社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- Ardisia, Tropicos
- Ardisia, Flora of China
関連項目
編集- センリョウ Sarcandra glabra - センリョウ科センリョウ属の常緑低木。十両(ヤブコウジ)、百両(カラタチバナ)、万両(マンリョウ)はヤブコウジ科ヤブコウジ属であるが、千両はセンリョウ科センリョウ属である。