介護ハラスメント
介護ハラスメント(かいごハラスメント)とは、介護施設や在宅ケア (訪問介護や訪問看護) における介護士・ヘルパー・看護師など介護側に対する、サービス利用者又は利用者親族による各種ハラスメントや暴力など他害行為 (他者への加害) の総称[1][2][3][4][5]。
令和3年度に厚生労働省は、介護事業側に介護に関するパワーハラスメント及びセクシャルハラスメントなどのハラスメント対策を必要な措置を講ずることを義務づけた。 カスタマーハラスメントには、防止のための方針明確化等を推奨とした[1]。
概要
編集介護の仕事をさらに過酷にしているのが、セクハラやパワハラなど介護ハラスメントを行う利用者、不合理苦情行為や過度なサービス要求をする親族である。「モンスター高齢者(シルバーモンスター)」を中心に「モンスタークレーマー、モンスターペイシェント」、加害親族側に立つ家族「モンスターファミリー」の存在が介護業界全体に悪影響を与えている[2][6][7][8]。
介護側への加害に対する矮小化問題
編集日本では、介護職員が利用者、利用者の家族からの暴力や嫌がらせが多発してるが、処罰が皆無であり、サービス提供側の被害への注目は少なく、矮小化されている。東京新聞の取材に応じた女性は、「暴力やセクハラは日常茶飯事。」であり、我慢が当たり前として不本意に被害を耐えさせられてきたと語っている。他の介護職員も同じような経験をしていたものの、「殴られても蹴飛ばされても、それも仕事でしょ、という風潮がまかり通っている。」と語っている[4]。現場では、認知機能が低い利用者 (認知症患者・精神疾患患者・知的障害者) による加害だと更に抗議しづらい状況にある[4][9]。介護業界が2018年に約7万8000人を対象にした調査した際に、回答者(2411人)の74.2%が利用者やその家族から暴力や嫌がらせを受けた経験があった[4]。
介護側の不満や批判として、介護側による「高齢者(利用者側)への虐待」はマスコミに大きく取り上げられるが、ヘルパーなど介護側に対する高齢者等利用者側のハラスメント行為は黙認され、表面化することは少ないことが指摘されている[2]。
加害とハラスメント事例
編集2023年時点で、介護側のみが利用者や家族の暴力・暴言・ハラスメントといった悪事に耐えさせられている現実がある[10]。
- 殴打(顔面だと前歯を折られるケース)
- 身体の性的部位を触る。(胸や尻などへの痴漢行為)
脚注
編集- ^ a b “介護現場におけるハラスメント対策”. www.mhlw.go.jp. 2023年11月7日閲覧。
- ^ a b c “「陰部は手で洗って」浴室に行くと態度が豹変!高齢者の介護ハラスメント、卑劣な実態”. 週刊女性PRIME (2017年10月17日). 2023年11月7日閲覧。
- ^ “高齢者からの『介護ハラスメント』卑劣な実態(週刊女性PRIME)”. LINE NEWS. 2023年11月7日閲覧。
- ^ a b c d “蹴られ、かみつかれ、押し倒され…介護現場で絶えない暴力、セクハラ 右腕に後遺症残す元職員が語った:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2023年11月7日閲覧。
- ^ 日本放送協会. ““密室”で横行するハラスメント 訪問在宅ケアからのSOS”. NHK クローズアップ現代 全記録. 2023年11月7日閲覧。
- ^ “「モンスター高齢者」事例集、席を譲られてキレる・20代介護士にセクハラ…”. ダイヤモンド・オンライン (2019年11月29日). 2023年11月7日閲覧。
- ^ “介護現場で急増する「モンスターファミリー」への対応策とは?”. Dearie(ディアリー) あしたの介護へ. 2023年11月7日閲覧。
- ^ “介護業界を悩ませる「モンスターファミリー」とは?問題を大きくしない解決ポイント | 日本ケアコミュニケーションズ” (2023年3月30日). 2023年11月7日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “「介護ハラスメント被害」についてお悩み・体験談 - チエノバ(2018年10月4日放送) - みんなの声 | NHKハートネット”. NHK福祉情報サイト ハートネット. 2023年11月7日閲覧。
- ^ a b “【介護ハラスメント】“暴力”動画拡散で波紋 現役職員明かす“現実”…暴力・嫌がらせ・セクハラ「前歯を折られたことも…」(FNNプライムオンライン)”. Yahoo!ニュース. 2023年11月7日閲覧。