モダイオラス
モダイオラス(英: modiolus)は様々な口筋が合流する顔面部の結節状組織である[1][2]。口角結節(こうかくけっせつ)[2]、口角筋軸[1][2]とも。
概要
編集モダイオラスは小臼歯の頬側部に位置する結節で、口輪筋、頬筋のほかに口角下制筋、口角挙筋、大頬骨筋、小頬骨筋、上唇挙筋、下唇下制筋、上唇鼻翼挙筋などの筋や頬小帯の繊維の一部が収縮して厚く結節状となる部位である[2][3][4]。モダイオラスの位置には個人差・人種差があり、アフリカ形・コーカソイドでは唇交連の高さかそれより上方に位置し、アジア形では下方に位置する傾向がある[5][6]。
歯科、特に義歯などの作製においては、この部分が義歯の頬側床翼(前部)形態に関係し、義歯の維持安定と口角部の機能・審美性に重要な部分とされており[4]、診査のひとつとされることが多い。
脚注
編集出典
編集- ^ a b "口の周囲の筋は ... 左右の口角で口角筋軸 modiolus muscle に合流している。" Drake 2011, p. 860 より引用。
- ^ a b c d "モダイオラス(口角結節) 頰筋,笑筋,口角下制筋,下唇下制筋など多くの表情筋が口角部に集まる。この部位をモダイオラス(口角結節・口角筋軸)と呼ぶ" 髙木. (2023). 咀嚼・嚥下に役立つ筋群の形態と機能. 歯科学報, 123(2): 139-141.
- ^ 秋本和宏、下山和弘、戸原玄「口唇と頬の構造と機能訓練 II.機能訓練」『老年歯科医学』第23巻第2号、日本老年歯科医学会、2008年、pp. 140-144、ISSN 0914-3866。
- ^ a b 権田悦通、羽生哲也、藤井弘之、藤井輝久、柳生嘉博 著「4章 総義歯補綴治療に必要な形態的事項」、権田悦通 編『最新総義歯補綴学』(第2版)医歯薬出版、1999年3月20日、40-41頁。ISBN 4-263-45428-6。
- ^ "口角筋軸は人種、国、個人によって位置が違い、特に付録表5-1のように韓国人や日本人のような黄色人種にはC型が、黒人はA型が、白人はB型が多い。" 權. (2008). 顔表情ロボットにおける駆動ユニットの分類に関する研究 : アニマトロニクスのためのムービングユニットの提案. 九州大学大学院芸術工学研究院博士論文.
- ^ "In individuals of Caucasian or African descent, the presence of compact modiolus structures ... is notable, primarily situated at or above the level of the oral commissures. Conversely, in East Asian populations, including Koreans, the modiolus typically positions itself approximately 11 mm laterally and about 9 mm inferiorly from the corners of the mouth." 以下より引用。Hong, Gi‐Woong (2024). “Why do marionette lines appear? Exploring the anatomical perspectives and role of thread‐based interventions”. Skin Research and Technology 30 (4). doi:10.1111/srt.13676. PMC PMC10993050 .
参考文献
編集- Drake, Richard (2011). グレイ解剖学 (原著第2版 ed.). エルゼビア・ジャパン. ISBN 978-4860347734