ミント(女無天、英語: mint)は、シソ科ハッカ属ミント属メンタ属)の総称。多くの種は多年草だが、一年草の種も存在する。ユーラシア大陸原産。名称は、ギリシャ神話で植物に変身したニンフであるメンテー(Μίνθη)に由来する。

ミント
ホースミントの花と葉
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
: ハッカ属 Mentha
学名
Mentha L.
和名
ハッカ
英名
Mint
  • 本文参照

別名メンタ[1]和名ハッカ(薄荷)だが[2]、この名はミントの1種ニホンハッカを意味することもある。ハーブの一種で、葉は爽快な冷涼感のある風味があり、ハーブティーデザートに利用される。

特徴

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地中海沿岸ヨーロッパアジア東部の原産で[2]、北半球の温帯に多く、南アフリカオーストラリアにも分布し[3]、様々な種が世界中に広く分布している[4]。栽培されているミント類には、ニホンハッカ(ハッカ)、ペパーミント(セイヨウハッカ)、スペアミント(ミドリハッカ)、マルバハッカ(アップルミント)、ペニーロイヤルミントなどがある[3]

草丈は、匍匐性種は3 - 100センチメートル (cm) 、立性種は50 - 100 cmとさまざまである[1]は白色または淡いピンク色で、は十字に対生することが多い[1]。繁殖力が旺盛であり、零れ種と地下茎により繁殖する。畑地に地植えすると駆除が容易ではなくなり、雑草扱いされることもある。全草に精油分が含まれ[1]、種によって香りの成分が異なるが、葉は爽快感のあるスッキリとした香りがあるのが特徴である[4]ハーブとして世界中で広く使われており、主成分メントールの清涼感ある香りが特徴のペパーミントと、精油成分カルボンの甘い香りのスペアミントが代表的な種で、主に香辛料野菜として広く利用されている[4]

栽培

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春に植え付ければ、冬以外は収穫できる丈夫なハーブで[5]、半日陰でも育つ[1]。種まきの適期は4 - 10月ごろ[1]。夏場の過湿にはやや弱い性質があり、蒸れや病気を防ぐため込み入った茎や葉を間引きながら育てるとよいとされる[1]。2年目以降の株は、梅雨期前に刈り込んで風通しをよくする[5]。ミントの栽培は容易で、鉢植えで栽培もできる[6]。交雑しやすいため、露地栽培のときは株を離して植えるとよいといわれる[6]。原産地ではハーブというより、数が増えすぎるので、雑草として扱われている。

種まきは、育苗箱筋まきし、本葉が出始めたら育苗ポットに鉢上げする[5]。ポットで苗を育て、本葉4 - 5枚で、株間30センチメートル (cm) あけるようにして定植する[5]。定植から10日後からぼかし肥鶏糞などで追肥を行い、伸びた茎葉の先端を摘んで収穫する[5]。多年草のため、株を3年に1度くらいに、根茎を15 cmくらいに切って株分けし、更新するとよいとされる[5]

利用

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カクテルのモヒート

用途が広く、葉は料理菓子の香りづけのために、ハーブティー入浴剤としても利用される[1]。生葉を潰して打撲のときの湿布薬にも利用できる[1]

食用

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主なは6 - 9月とされる[4]。葉は、爽快味および冷涼感を与えるメントールに富むため、ハーブとして料理に添えたり、肉料理魚料理ソースカクテルや菓子、ハーブティー、薬用酒などの材料となる[4]。東南アジアのタイベトナムでは麺料理サラダに一般的に使われていて、西アジアのトルコでは豆のスープにも使われている[4][2]。アフリカのモロッコでは、緑茶と生のミントを混ぜた茶を飲む。精油はハッカ油、メントールの結晶はハッカ脳の名称で市販され、かつて北海道北見市が世界的な産地であったことから、北海道内の土産屋の定番商品となっている。ミント特有の成分メントールには、気分転換やリラックスさせる効果があり、ガムなどのスーッとする清涼感ある香りに使われている[2]

香料

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精油(エッセンシャルオイル)は香料として食品や歯磨き粉に添加されたり、アロマテラピーや消臭や虫除けに用いられる[7]。ミントから精油を取るには、ミントの全草を蒸気釜に隙間無く充填し、釜内に高圧水蒸気を吹き込む。排出される蒸気を冷却した後、水と分離した上澄みのオイル部分を採取する(水蒸気蒸留)。

医療用途

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伝統医療民間療法でも用いられており、漢方薬(生薬名:薄荷葉(はっかよう))としても清涼、解熱、発汗、健胃などの目的で用いられる[7]。ペパーミントの香りの主成分であるメントールには、強壮作用や消化促進作用があるほか、鎮痛作用があることから湿布薬などにも用いられている[4]。また殺菌効果も知られており、ハーブティーにして風邪食中毒の予防に利用されている[4]

科学的研究では、ハッカ油は過敏性腸症候群(IBS)の症状を改善しうる(may improve)と報告されている[7]。消化不良も改善しうるとの研究結果があるがエビデンスは限定される[7]

かつて、ミントはデザイナーフーズ計画のピラミッドで3群に属しており、3群の中でも、キュウリ、オレガノ、タイム、アサツキと共に3群の中位に属するが、癌予防効果のある食材であると位置づけられていた[8]

種類

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変種が出来やすく600種を超えると言われるほど多種多様な種があるが、主にペパーミント系とスペアミントなどに分けられる。

ペパーミント系とスペアミント系

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ペパーミント
 
スペアミント

ペパーミント系は香りが強く、メントールの含有量も多い。東アジア原産のニホンハッカ(和種薄荷(わしゅはっか))もここに含まれる。気分をリフレッシュさせるようなスッキリした香りで、ハーブティーや料理のほか[4]チューインガムキャンディに多く用いられる。

スペアミント系の香りは比較的弱く、甘くさわやかな香りがある。葉は丸みがある[4]。比較的クセがないため、料理や菓子に使いやすい[4]。チューインガム、歯磨き粉などにも用いられる。スペアミントの香りの主体はl-カルボンである。日本には江戸時代にオランダハッカが渡来した。

初摘みミント

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その年、花が咲く前最初に刈り取ったミントをいう。雑味が少なくフレッシュな香りが特徴的。およそ6月から9月の間に花が咲くので、収穫時期はそれと同じくらいか少し前。花が咲くとエネルギーがそこに注力し、香りが弱くなってしまうことからこの概念が生まれた。初摘みミントを使ったチューインガム[9]、お酒、香りを楽しむオイル[10]餃子[11]などが商品化されている。

主な種

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ニホンハッカ
 
アップルミント

主な雑種

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  • Mentha × gracilis - ジンジャーミント (Ginger Mint) - 茎は赤紫色を帯び、葉腋に淡ピンク色の花をリング状につける。ショウガのような香りがする。[1]
  • Mentha × piperita - ペパーミント、セイヨウハッカ (Peppermint) - メントールを豊富に含み、強い清涼感がある。鎮静作用や消化を助ける働きがある。[1]
  • Mentha × rotundifolia (M. longifolia × M. suaveolens) - マルバハッカ(M. suaveolensもマルバハッカという)(False Apple-mint)
  • Mentha × smithiana (M. aquatica × M. arvensis × M. spicata) - Red Raripila Mint
  • Mentha × villosa (M. spicata × M. suaveolens; syn. M. cordifolia) - ケンタッキーカーネルミント、ボールズミント
  • Mentha × villosonervata (M. longifolia × M. spicata) - Sharp-toothed Mint

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 神蔵嘉高 1997, p. 14.
  2. ^ a b c d 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 176.
  3. ^ a b 農文協編 2004, p. 315.
  4. ^ a b c d e f g h i j k 主婦の友社編 2011, p. 261.
  5. ^ a b c d e f 金子美登 2012, p. 161.
  6. ^ a b 神蔵嘉高 1997, p. 13.
  7. ^ a b c d Peppermint Oil (Report). アメリカ国立補完統合衛生センター. April 2012. D365。
  8. ^ 大澤俊彦、「がん予防と食品」『日本食生活学会誌』 2009年 20巻 1号 p.11-16, doi:10.2740/jisdh.20.11
  9. ^ ロッテ - GREEN GUMロッテグリーンガム、2014年5月16日閲覧。
  10. ^ マイナビニュースマイナビニュース、2014年5月19日閲覧。
  11. ^ R25R25、2014年5月16日閲覧。
  12. ^ 神蔵嘉高 1997, p. 15.

参考文献

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関連項目

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