メチルホスホン酸ジメチル
メチルホスホン酸ジメチル(メチルホスホンさんジメチル、dimethyl methylphosphonate)は、分子式C3H9O3PまたはCH3PO(OCH3)2で表される有機リン化合物である。無色の液体であり、主に難燃剤として用いられる。
メチルホスホン酸ジメチル | |
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(methoxy-methylphosphoryl)oxymethane | |
別称
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 756-79-6 |
PubChem | 12958 |
ChemSpider | 12418 |
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特性 | |
化学式 | C3H9O3P |
モル質量 | 124.08 g mol−1 |
外観 | 無色液体 |
密度 | 1.145 g/mL at 25 °C |
融点 |
-50 °C, 223 K, -58 °F |
沸点 |
181 °C, 454 K, 358 °F |
水への溶解度 | 徐々に加水分解 |
危険性 | |
主な危険性 | Toxic |
Rフレーズ | R46, R36 |
引火点 | 69 °C (156 °F; 342 K) (closed cup) |
半数致死量 LD50 |
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特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
化学
編集亜リン酸トリメチルとハロメタン(ヨードメタン等)を用いたミカエリス・アルブーゾフ反応により製造が可能である。
化学兵器禁止条約におけるスケジュール2指定物質である。塩化チオニルと反応するとメチルホスホン酸ジクロリドが生成し、これはサリンやソマンなどの神経剤の原料に用いられる。この反応は種々のアミン類によって触媒される[1]。神経ガス検出装置の校正用に、サリンの代替物質として用いることもできる。
用途
編集民間における主な用途は難燃剤である。その他の用途としては、ガソリンの過早着火防止剤、消泡剤、可塑剤、安定剤、柔軟剤、 帯電防止剤、溶媒への添加剤、低温下における作動液などがある。1987年時点での米国における年間生産量は91,000から910,000キログラムだった[2]。有機合成においては触媒または試薬として用いられ、非常に反応性の高いイリドを生成する。
アムステルダムで発生したエル・アル航空1862便墜落事故では、他の化学物質と共に積荷に含まれていた190リットルのメチルホスホン酸ジメチルが放出される結果となった。
脚注
編集- ^ Maier, Ludwig (1990). “ORGANIC PHOSPHORUS COMPOUNDS 90.l A CONVENIENT, ONE-STEP SYNTHESIS OF ALKYL- AND ARYLPHOSPHONYL DICHLORIDES”. Phosphorus, Sulfur, and Silicon and the Related Elements 47 (3-4): 465–470. doi:10.1080/10426509008038002.
- ^ National Toxicology Program. "NTP Toxicology and Carcinogenesis Studies of Dimethyl Methylphosphonate (CAS No. 756-79-6) in F344/N Rats and B6C3F1 Mice (Gavage Studies)." National Toxicology Program technical report series 323 (1987): 1. PMID 12748730