ミヤマウグイスカグラ

スイカズラ科の変種

ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽、学名: Lonicera gracilipes var. glandulosa)は、スイカズラ科スイカズラ属落葉低木ヤマウグイスカグラを分類上の基本変種とする変種[3][4][5][6]

ミヤマウグイスカグラ
栃木県日光市 2021年5月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: マツムシソウ目 Dipsacales
: スイカズラ科 Caprifoliaceae
: スイカズラ属 Lonicera
: ヤマウグイスカグラ
Lonicera gracilipes
変種 : ミヤマウグイスカグラ
L. gracilipes var. glandulosa
学名
Lonicera gracilipes Miq. var. glandulosa Maxim. (1886)[1]
シノニム
和名
ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)[3]

直立する低木で、樹皮が縦に裂ける。は中実。子房に腺毛が目立ち、その基部のは線形で1-2個あり、腺毛がある。花柄は長さ1-2cmで細く、毛と腺毛が生える。花冠は漏斗状でバラ紅色、先が5裂し、腺毛が多く、下向きに咲く。の表面に腺毛と毛が、裏面に毛が生え、葉柄にも腺毛が生える[3][4][5][6]

特徴

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高さは2mになり、よく分枝する。の樹皮は灰褐色になり、縦に裂ける。若いは帯赤褐色で、褐色の毛と腺毛が生え、中実になる。は対生し、葉身は長さ3-6cm、幅2-4cmの広楕円形から卵状楕円形、倒卵形で、質は薄い。葉の表面には不明瞭な腺点と毛があり、裏面に毛が生える。葉柄は長さ2-5mmになり、腺毛が生える[3][4][5][6]

花期は4-5月。葉腋から長さ1-2cmになる細い花柄を伸ばし、その先に1個、まれに2個のを下向きにつける。子房の基部に1個または2個のがあり、線形でふつう1個だけ長く、ときに葉状になる。子房は1個、2室あり、ときに2個つくことがあり、その場合互いに離れてつく。片は目立たない。花冠は漏斗状で、長さ12-20mm、バラ紅色になる。花冠筒部は細く、長さ10-12mm、上部は5裂し、裂片はほぼ同じ大きさになる。雄蕊は5個あり、花冠裂片より短い。雌蕊は1個、花柱に毛がある。果実は長さ1-1.5cmになる楕円形の液果で、6月に赤く熟し、甘みがあり食用になる。各部に腺毛が多く、特に若い枝、葉柄、花柄、子房、萼片に多い[3][4][5][6][7]

分布と生育環境

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日本固有種[8]。本州の東北地方北陸地方山陰地方、四国、九州に分布し[5]、山地に生育する[3][5][6]

名前の由来

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和名ミヤマウグイスカグラは、「深山鶯神楽」の意で[3]牧野富太郎 (1895)が「みやまうぐひすかぐら」と新称した[9]

種小名(種形容語)gracilipes は、「細長い柄の」の、変種名 glandulosa は、「腺のある、腺質の」の意味[10]

種の保全状況評価

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国(環境省)のレッドデータブックレッドリストでの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は、次の通りとなっている。千葉県-最重要保護生物(A)、高知県-絶滅危惧IB類(EN)、鹿児島県-絶滅危惧I類[11]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ ミヤマウグイスカグラ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ ミヤマウグイスカグラ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e f g 城川四郎 (2001)「スイカズラ科」『山溪ハンディ図鑑5 樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』p.406
  4. ^ a b c d 『原色日本植物図鑑 木本編I(改訂版)』p.9
  5. ^ a b c d e f 五百川裕 (2017)「スイカズラ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』p.420
  6. ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1222
  7. ^ ミヤマウグイスカグラ、岡山理科大学
  8. ^ 奥山雄大 (2011)「スイカズラ属」『日本の固有植物』pp.133-134
  9. ^ T. Makino「本邦植物ノ新和名」『植物学雑誌 (The Botanical Magazine)』第9巻第102号、東京植物学会、1895年、314頁、doi:10.15281/jplantres1887.9.102_296 
  10. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』pp.1494-1495
  11. ^ ミヤマウグイスカグラ、日本のレッドデータ検索システム、2025年2月4日閲覧

参考文献

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