ミヤマウグイスカグラ
ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽、学名: Lonicera gracilipes var. glandulosa)は、スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木。ヤマウグイスカグラを分類上の基本変種とする変種[3][4][5][6]。
ミヤマウグイスカグラ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Lonicera gracilipes Miq. var. glandulosa Maxim. (1886)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)[3] |
直立する低木で、樹皮が縦に裂ける。枝は中実。子房に腺毛が目立ち、その基部の苞は線形で1-2個あり、腺毛がある。花柄は長さ1-2cmで細く、毛と腺毛が生える。花冠は漏斗状でバラ紅色、先が5裂し、腺毛が多く、下向きに咲く。葉の表面に腺毛と毛が、裏面に毛が生え、葉柄にも腺毛が生える[3][4][5][6]。
特徴
編集高さは2mになり、よく分枝する。幹の樹皮は灰褐色になり、縦に裂ける。若い枝は帯赤褐色で、褐色の毛と腺毛が生え、中実になる。葉は対生し、葉身は長さ3-6cm、幅2-4cmの広楕円形から卵状楕円形、倒卵形で、質は薄い。葉の表面には不明瞭な腺点と毛があり、裏面に毛が生える。葉柄は長さ2-5mmになり、腺毛が生える[3][4][5][6]。
花期は4-5月。葉腋から長さ1-2cmになる細い花柄を伸ばし、その先に1個、まれに2個の花を下向きにつける。子房の基部に1個または2個の苞があり、線形でふつう1個だけ長く、ときに葉状になる。子房は1個、2室あり、ときに2個つくことがあり、その場合互いに離れてつく。萼片は目立たない。花冠は漏斗状で、長さ12-20mm、バラ紅色になる。花冠筒部は細く、長さ10-12mm、上部は5裂し、裂片はほぼ同じ大きさになる。雄蕊は5個あり、花冠裂片より短い。雌蕊は1個、花柱に毛がある。果実は長さ1-1.5cmになる楕円形の液果で、6月に赤く熟し、甘みがあり食用になる。各部に腺毛が多く、特に若い枝、葉柄、花柄、子房、萼片に多い[3][4][5][6][7]。
分布と生育環境
編集名前の由来
編集和名ミヤマウグイスカグラは、「深山鶯神楽」の意で[3]、牧野富太郎 (1895)が「みやまうぐひすかぐら」と新称した[9]。
種小名(種形容語)gracilipes は、「細長い柄の」の、変種名 glandulosa は、「腺のある、腺質の」の意味[10]。
種の保全状況評価
編集国(環境省)のレッドデータブック、レッドリストでの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は、次の通りとなっている。千葉県-最重要保護生物(A)、高知県-絶滅危惧IB類(EN)、鹿児島県-絶滅危惧I類[11]。
ギャラリー
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まれに花が2個つくことがあり、子房も2個つき、互いに離れててつく。長野県茅野市、2024年5月中旬。
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果実は楕円形の液果で、6月に赤く熟す。果実と果柄にも腺毛が生える。長野県小諸市、2024年6月中旬。
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高さは2mほどになる。長野県茅野市、2024年5月中旬。
脚注
編集- ^ ミヤマウグイスカグラ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ ミヤマウグイスカグラ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f g 城川四郎 (2001)「スイカズラ科」『山溪ハンディ図鑑5 樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』p.406
- ^ a b c d 『原色日本植物図鑑 木本編I(改訂版)』p.9
- ^ a b c d e f 五百川裕 (2017)「スイカズラ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』p.420
- ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1222
- ^ ミヤマウグイスカグラ、岡山理科大学
- ^ 奥山雄大 (2011)「スイカズラ属」『日本の固有植物』pp.133-134
- ^ T. Makino「本邦植物ノ新和名」『植物学雑誌 (The Botanical Magazine)』第9巻第102号、東京植物学会、1895年、314頁、doi:10.15281/jplantres1887.9.102_296。
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』pp.1494-1495
- ^ ミヤマウグイスカグラ、日本のレッドデータ検索システム、2025年2月4日閲覧
参考文献
編集- 北村四郎・村田源著『原色日本植物図鑑 木本編I(改訂版)』、1984年、保育社
- 茂木透写真、高橋秀男・勝山輝男監修『山溪ハンディ図鑑5 樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』、2008年改訂、山と溪谷社
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- 日本のレッドデータ検索システム
- ミヤマウグイスカグラ、岡山理科大学