ミネルヴァのフクロウは、ローマ神話女神ミネルウァ(ミネルヴァ、ミネルバ)が従えているフクロウであり、知恵の象徴とされる[1]

フクロウを左手に持つミネルウァ像。大理石2世紀ルーヴル美術館蔵。

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルが『法の哲学』(1821年)の序文で「ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏と共に漸く飛び始める」[2]ドイツ語: die Eule der Minerva beginnt erst mit der einbrechenden Dämmerung ihren Flug)と述べたことはよく知られている[1][3]。以後、特に哲学比喩とされるようになった。「即ちヘーゲルに依れば、哲学はいつでも遅れて来るもので、現実がその形成過程を完成した後に現われ、これを追思惟 nachdenkenするものである。かように現実が終った後に哲学が始まるとするのは、哲学を観想的な性質のものとすることであり、哲学に予言者的な性質を要求する立場とは固より、哲学の実践的な性格を力説する立場と対立している。」(三木清「ミネルヴァの梟」[4]

関連項目

編集

ミネルヴァの梟 (映画):2020年公開の日本映画

脚注

編集
 
紀元前5世紀アテナイテトラドラクマ銀貨。左がアテーナー(後代のミネルウァ)女神、右がフクロウ。
  1. ^ a b ミネルバのふくろう【ミネルバの梟】”. 大辞林第三版. 三省堂. 2018年3月9日閲覧。[リンク切れ]
  2. ^ 速水敬二・岡田隆平訳『ヘーゲル全集9』岩波書店、1950年
  3. ^ 草野耕一. “草野耕一のあまり法律家的でない法律論 第1話 どうしたら正義を語ることができるのか”. 日経ビジネスオンライン. 日本経済新聞社. 2018年3月9日閲覧。[リンク切れ]
  4. ^ 吉江喬松編『世界文芸大辞典 第六巻』中央公論社、1937年、p.284