マイケル・ゴードン・トムソンMick "The Log" Thomson, Mickael Gordon Thomson, 1973年11月3日 - )は、アメリカ合衆国アイオワ州デモイン出身のギタリストヘヴィメタルバンド・スリップノットのギタリストの1人。

ミック・トムソン
Mick Thomson
基本情報
出生名 Mickael Gordon Thomson
別名 #7、Mr. Seven
生誕 (1973-11-03) 1973年11月3日(51歳)
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アイオワ州デモイン
ジャンル ヘヴィメタル
オルタナティヴ・メタル
ニュー・メタル
デスメタル
職業 ギタリスト
担当楽器 ギター
活動期間 1996年 -
レーベル ロードランナー・レコード
ニュークリア・ブラスト
共同作業者 スリップノット
ボディ・ピット
マルヴォレント・クリエイション
公式サイト http://www.slipknot1.com

概要

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1996年にクレイグ・ジョーンズと役割を代わるという形でスリップノットに加入。当時はYe Olde Music Shopのギター講師だったが、メジャーデビュー以後は講師の仕事から離れる。

影響を受けたギタリストはジミ・ヘンドリックスイングヴェイ・マルムスティーンランディ・ローズジェイソン・ベッカー等。トレモロピッキングマイナーディミニッシュを組み合わせたスウィープ奏法を特徴としている。レガートタッピングは「フルピッキングの方が俺の性に合う」為多用はしていない。

スリップノットでは『サーフィシング』(『スリップノット - SLIPKNOT』収録)の僅かな部分等を除きリードを執らなかったが、2004年の3rdアルバム『VOL.3:(ザ・サブリミナル・ヴァーシズ) - VOL.3: (THE SUBLIMINAL VERSES) 』収録の『パルス・オブ・ザ・マゴッツ』でのジェイムズ・ルートとの掛け合い、『ヴァーミリオン』等でソロを披露。

現在はスリップノットの2年間の休業期間を利用してソロアルバムを制作中、日本のギター雑誌、YOUNG GUITAR2005年10月号、12月号でも予告した。過去にも制作途中で様々なアクシデントにより挫折していたが、2006年5月にはギタークリニック、翌年にはマルヴォレント・クリエイションの楽曲『デリヴァー・マイ・エネミー』(2007年9月発売予定『ドゥームスデイX - Doomsday X』収録)へのギターソロの提供等、1人のミュージシャンとしての活躍も本格的になり始めている事から、順調に進んでいるようである。

人物

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身長約190cm、体重約100kgというレスラー並みの体格をしている。

が好きで自宅でも飼っている。スリップノットのDVD中で、「休みの日には何をしてるのか?」というインタビューの質問に「一日中マスをかいてるに決まってるだろう」と答えている。

猟奇的殺人事件に関する話題が好きで、LuparaというデスメタルバンドのPVで、通り魔に扮したこともある。

初来日時、右腕に“嫌悪”(B.C.リッチ製のギターを使用していた時は指板に"HATE"のインレイが施されていた)という漢字刺青を施した。母親にこの文字の意味を聞かれ、「日本語で“美しい”」と答えた。また、左腕の"seven"(スリップノットとしての彼の番号)の刺青はアイバニーズ製の自身のギターとオベーション製の自身のギター、リヴェラ製のシグネチュア・アンプにも施されている。

ギター雑誌の取材を受ける度に「ギターが上手くなりたかったら友達(ただの遊び仲間?)を持つな!人との付き合いを断って自分の部屋で練習に専念しろ!」というアドバイスで締め括る。これは自身が、家にこもって1日10時間以上も練習をしていた経験から来ている。また、「酒の入った状態でギターに手を出すのは有り得ない」とも言い切っている。

2012年10月5日、長年のガールフレンドと結婚した。

2015年3月11日、自宅で弟のアンドリューと口論になり、双方とも(ミックは後頭部)に刺し傷を負う重傷となった[1]。いずれも命に別条はなかったが、事件当時両者ともに泥酔していた模様である[1]

使用機材

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2000年代初頭、トムソンはB.C. Richのシグネチャーモデルを演奏していた。主にウォーロックを演奏していたが、時折リッチ・ビッチも使用された。トムソン仕様のウォーロックは、アメリカ製のカスタムモデルで、マホガニーボディ、メイプルネック、エボニーフレットボードを採用。ヘッドストックにオールドスタイルのB.C. Richの 「R」 ロゴが施され、光沢のあるブラック仕上げのボディーに白いバインディング、または対照的な赤い仕上げのボディーにブラックバインディングの外観であった。また、5フレットから2フレットのフレットボード位置に「HATE」、12フレットには 「MICK」 のカスタムインレイが施されている(他の位置のフレットボードは無地)。ハードテイルブリッジ、ブリッジとネックにEMGハムバッカー、ボリュームコントロールに配線された3ポジションのピックアップセレクターを搭載。また、NJ Warlock Signature Seriesからアーティストモデルが市販されており、外観的には本人仕様のカスタムモデルと異なり、ローズウッドのフレットボード、ヘッドストックにB.C. Richのスクリプトロゴ、そしてヘッドストックの裏側に再現された "Mick #7" のサインがあり、さらに の12フレットに「Signature Series」のインレイが施されていた[2]

2003年からはスタジオとツアーでアイバニーズ製のギターを演奏するようになり、レコーディングではSlipknotの3枚目のスタジオアルバム「Vol. 3: (The Subliminal Verses)」から使用されている[3]。2006年にシグネーチャーモデルであるTMT1が製作され、RGTシリーズをベースにマホガニーボディー、リバースヘッド、メイプル/ウォルナットの5ピースネック、ローズウッドのフィンガーボードにジャンボフレット、ハードテイルタイプのFixed Edgeブリッジが採用されている。5フレットから1フレットのフレットボード位置に「SEVEN」のカスタムインレイが施され、当初ピックアップはEMG製を搭載していたが、2008年にSeymour Duncan Blackouts、2010年にMick Thomson's signature Blackoutへの変更、アップグレードが行われている。これらは全て同社のカスタムショップのルーシアーによって製作され[4]d'Addario EXL117弦が採用されている[5]。2007年にはTMT1をマスマーケット向けにスペック変更したTMT2が発表され、2011年まで販売された[2][注 1]。2012年にはMTM100が発表され、Xシリーズをベースに、スルーネックのメイプル/ウォルナットのウィーザード IIIネック、マホガニーボディー、Seymour Duncan Blackouts EMTY ピックアップと Fixed Edgeブリッジ、オリジナルシェイプが採用されている。また、MTM100をマスマーケット向けにスペック変更したMTM10が発表されている[2]。2014年にはTMT2のスペックを踏襲し、フレットボードに「SEVEN」のカスタムインレイが施されたMTM20が発表され、2016年まで販売された[2]

2010年にはオベーションとパートナーシップを結び、「SEVEN」の特徴的なカスタムインレイがフィンガーボードに施されたアコースティックギターMT-37-5が製作されている[2]

2016年7月、Jackson Guitarsがトムソンが自社のアーティストロースターに加わったことを発表[6]。同社に加わることについてトムソンは、「Jacksonファミリーの一員であることを非常に誇りに思う」と宣言し、自身のカスタム仕様のDouble RhoadsおよびSoloistモデルを「素晴らしい」と絶賛した[6]。 トムソン仕様のシグネチャーJackson Soloistは、USA限定モデル、USA標準モデル、およびインポートモデルがラインナップされている。これらはすべてリバースヘッド、マホガニーボディ、スルーネック仕様のグラファイト強化メイプルネック、ロッキングナット、シングルボリューム、および3ポジションブレードスイッチ、彼のシグネーチャーピックアップSeymour Duncan EMTY Blackoutが採用されている。USA限定モデルには固定マウントのFloyd Roseプロブリッジが搭載されており、USA標準モデルとインポートモデルにはファインチューナー付きの同様のJacksonデザインのハードテイルブリッジが搭載されている[7]

2023年3月、トムソンはESP GuitarsFishmanピックアップとのエンドースメント契約を発表した[8]

ハードウェアではエフェクトペダルにMaxon OD820、Death by Audio Fuzz War、MXR Carbon Copy Delay、Electro-Harmonix Bassballs Envelope Filter、および彼のギターテクニシャンであるKevin Allenが製作したカスタムのファズペダルを使用している[4]。アンプはMarshall等を経て、RIVERAのアンプを使用している。

脚注

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注釈

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  1. ^ TMT1とはフィンガーボードが無地で、ピックアップがアイバニーズデザインのV7とV8(後期はダンカンデザインのHB-105MT)などの点が異なる

出典

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  1. ^ a b スリップノットのミック・トムソンが弟に刺される、重傷だが命に別状はなし amass 2015年3月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e Mick Thomson Guitars”. GuitarCollector.com (2019年12月16日). 2024年2月19日閲覧。
  3. ^ “Slipknot's Mick Thomson Talks About His Signature Ibanez Guitar (Video)”. Blabbermouth.net. (2013年7月7日). http://www.blabbermouth.net/news/slipknot-s-mick-thomson-talks-about-his-signature-ibanez-guitar-video/ 2024年2月19日閲覧。 
  4. ^ a b Laing, Rob (2016年6月1日). “Rig tour: Slipknot”. MusicRadar. Future plc. 2024年2月19日閲覧。
  5. ^ Kies, Chris (2015年3月20日). “Rig Rundown: Slipknot”. Premier Guitar. Gearhead Communications. 2024年2月19日閲覧。
  6. ^ a b Mauck, Chrissy (2016年7月1日). “Hell Yes, Slipknot's Mick Thomson Has Joined the Jackson Family”. Jackson Guitars. http://www.jacksonguitars.com/blog/artist-news/hell-yes-slipknots-mick-thomson-has-joined-the-jackson-family/ 2024年2月19日閲覧。 
  7. ^ Mick Thomson :: Artists”. Jacksonguitars.com. 2024年2月19日閲覧。
  8. ^ Looks like Slipknot's Mick Thomson has signed with ESP and Fishman, seemingly leaving Jackson and Seymour Duncan”. Guitar World. 2024年2月19日閲覧。

外部リンク

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デスメタルバンド、Luparaミュージック・ビデオ。猟奇的殺人鬼をトムソンが演じている。