ミチノクエンゴサク

ケシ科の種

ミチノクエンゴサク(陸奥延胡索、学名:Corydalis capillipes)はケシ科キケマン属多年草。同属のヤマエンゴサクC. lineariloba)に似るが、全体に小型で、細長く繊細。別名、ヒメヤマエンゴサク[3][4][5][6]

ミチノクエンゴサク
福島県会津地方 2020年4月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: ケシ科 Papaveraceae
: キケマン属 Corydalis
: ミチノクエンゴサク
C. orthoceras
学名
Corydalis capillipes Franch.[1]
シノニム
和名
ミチノクエンゴサク(陸奥延胡索)[3]

特徴

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地下にある球形の塊茎があり、塊茎からはを1本だけ出す。は高さが15cmほどになり、葉柄のある茎葉を2個、基部には鱗片葉を1個つける。茎葉は1-2回3出複葉となるが、小葉はさらに分裂することがある。小葉は楕円形から線状楕円形になり、長さはふつう1-2cm、先端は鈍形またはやや鈍形、基部は鋭形になる[3][4][5][7]

花期は4-5月。花茎の先端に総状花序をつける。小花柄の基部の葉状の苞は倒卵形または広線形で、先は分裂しないか欠刻状に2-3裂する。花冠は一方が唇状に開き、その反対側が距となり、長さは7-15mmになり、花冠の長さが15-25mmあるヤマエンゴサクと比べると小さい。花冠は淡青紫色から青紫色になり、先端の方が色が濃い。果実は披針形または狭卵形で円柱形の蒴果で、幅は狭い。熟すと2片に裂ける[3][4][5][6]

春先に花を咲かせ、落葉広葉樹林の若葉が広がる頃には地上部は枯れてなくなり、その後は翌春まで地中の地下茎で過ごすスプリング・エフェメラルの一種。

分布と生育環境

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日本固有種[8]。本州の東北地方(日本海側)、中部地方(日本海側、長野県岐阜県)、島根県隠岐島後)に分布する[4]

染色体数は2n=16, 32。やや花が大きい四倍体(2n=32)が広く分布するが、二倍体(2n=16)は、新潟県中部以北で見られる[4]

名前の由来

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和名のミチノクエンゴサクは「陸奥延胡索」の意で、分布地の東北地方の地名による。また、別名のヒメヤマエンゴサクは、ヤマエンゴサク C. lineariloba に似て、より繊細なことによる。「エンゴサク」はキケマン属のうち、この類の漢名「延胡索」のこと[5]

種小名(種形容語)capillipes は、「柄(脚)が毛のように細い」の意味[9]

ギャラリー

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近縁種

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脚注

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  1. ^ ミチノクエンゴサク「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ ミチノクエンゴサク(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』pp.248-249
  4. ^ a b c d e 福原達人 (2016)「ケシ科」『改訂新版 日本の野生植物 2』p.105
  5. ^ a b c d 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.460
  6. ^ a b 『日本の野生植物 草本II離弁花類』(1999)、p.125
  7. ^ 『日本の野生植物 草本II離弁花類』(1999)、p.124
  8. ^ 『日本の固有植物』p.65
  9. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1487

参考文献

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