マンダ文字 (Unicodeのブロック)

マンダ文字(マンダもじ、英語: Mandaic)は、Unicodeの19個目のブロック

マンダ文字 (Unicodeのブロック)
Mandaic
範囲 U+0840..U+085F
(32 個の符号位置)
基本多言語面
用字 マンダ文字
主な言語・文字体系
割当済 29 個の符号位置
未使用 3 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
6.0 29 (+29)
公式ページ
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解説

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中東イラク南部などで信仰されているグノーシス主義系の宗教、マンダ教の聖典言語として用いられるセム系マンダ語を表記するためのマンダ文字を収録している。

子音字のみを記述するアブジャドに分類されるアラム文字から派生した文字体系だが、マンダ文字自体はラテン文字キリル文字などと同様に母音字にも独立の文字が与えらているアルファベットである。また、アラビア文字ヘブライ文字などと同様に右から左へと横書き(右横書き)し、アラビア文字同様、単語内での位置によって独立形、語頭形、語中形、語末形の4つの形状に変化する。単語内での位置による字形変化については、基本的には前後が繋がるだけの単純な変化のみであるが、組合せによっては特殊な合字を形成するものも存在する。

本ブロックはUnicodeのバージョン6.0で初めて追加された。

収録文字

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ラテン文字転写」の列はDaniels, Peter T.; Bright, William, eds. (1996). The World's Writing Systemsに従う。[1]

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
字母
U+0840 MANDAIC LETTER HALQA 母音[aː]を表す。 a
U+0841 MANDAIC LETTER AB 子音[b]を表す。 b
U+0842 MANDAIC LETTER AG 子音[ɡ]を表す。 g
U+0843 MANDAIC LETTER AD 子音[d]を表す。 d
U+0844 MANDAIC LETTER AH 子音[h]を表す。 h
U+0845 MANDAIC LETTER USHENNA 母音[u]を表す。 u
U+0846 MANDAIC LETTER AZ 子音[z]を表す。 z
U+0847 MANDAIC LETTER IT 子音[χ]を表す。
U+0848 MANDAIC LETTER ATT 子音[tˠ]を表す。
U+0849 MANDAIC LETTER AKSA 母音[i]を表す。 i
U+084A MANDAIC LETTER AK 子音[k]を表す。 k
U+084B MANDAIC LETTER AL 子音[l]を表す。 l
U+084C MANDAIC LETTER AM 子音[m]を表す。 m
U+084D MANDAIC LETTER AN 子音[n]を表す。 n
U+084E MANDAIC LETTER AS 子音[s]を表す。 s
U+084F MANDAIC LETTER IN 母音[e]を表す。 e
U+0850 MANDAIC LETTER AP 子音[p]を表す。 p
U+0851 MANDAIC LETTER ASZ 子音[sˠ]を表す。
U+0852 MANDAIC LETTER AQ 子音[q]を表す。 q
U+0853 MANDAIC LETTER AR 子音[r]を表す。 r
U+0854 MANDAIC LETTER ASH 子音[ʃ]を表す。 š
U+0855 MANDAIC LETTER AT 子音[t]を表す。 t
U+0856 MANDAIC LETTER DUSHENNA 子音[ð]を表す。

あるいは、属格標識を表すdiという接尾辞を表すため、字母adと字母aksaの合字として用いられる。字母名はaduとも呼ばれる。[2]

U+0857 MANDAIC LETTER KAD 「~の時に」「~のように」などを表す単語kaḏを表す、字母akと字母dushennaの合字(リガチャ)の古い形。通常の文字列kḏとは異なり、語末に置かれても前の文字と繋がらずに書かれる。[2] kḏ
U+0858 MANDAIC LETTER AIN アラビア文字のアイン(U+0639 ع)に由来する。前後の文字と繋がらずに書かれる。[2]
ダイアクリティカルマーク
U+0859 MANDAIC AFFRICATION MARK 主にペルシャ語からの外来語を表す際に、子音字の下について発音を変化させる。[2]
U+085A MANDAIC VOCALIZATION MARK 母音字halqa, ushenna, aksaの下に付く下線のような記号で、それぞれの発音を[aː] [u] [i]から[a] [o] [e]に変化させる。[2]
U+085B MANDAIC GEMINATION MARK 子音字の下に付く点のような記号で、この記号が付いた子音字を重子音として読むことを表す。[2]
約物
U+085E MANDAIC PUNCTUATION テキストの切れ目を表す。

元の提案文書(SEI / Michael Everson, 2008)では大きさのみが異なる大小2種類[3]のこの記号の収録が申請されていた[2]が、現在は同一の記号として統合されている。

小分類

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このブロックの小分類は「字母」(Letters)、「ダイアクリティカルマーク」(Diacritics)、「約物」(Punctuation)の3つとなっている。[4]

字母(Letters

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この小分類にはマンダ文字で用いられる基本的な字母を収録している。Unicodeのバージョン6.0で本ブロックと共に追加された。

ダイアクリティカルマーク(Diacritics

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この小分類にはマンダ文字において、母音字や子音字について発音の変化を表すダイアクリティカルマークを収録している。全て文字幅を持たない結合文字である。Unicodeのバージョン6.0で本ブロックと共に追加された。

約物(Punctuation

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この小分類にはマンダ文字における句読点類に相当する約物を1文字のみ収録している。Unicodeのバージョン6.0で本ブロックと共に追加された。

文字コード

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マンダ文字(Mandaic)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+084x
U+085x
注釈
1.^バージョン15.1時点


履歴

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以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
6.0 U+0800..085B,085E 29 L2/08-270 SEI; Michael Everson (4 August 2008), Proposal for encoding the Mandaic script (WG2 N3485) (英語)
L2/10-413 Roozbeh Pournader (21 October 2010), Joining types for Mandaic (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

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  1. ^ Daniels, Peter T.; Bright, William, eds.『The World's Writing Systems』Oxford University Press, Inc.、1996年、511–513頁。ISBN 978-0195079937 
  2. ^ a b c d e f g SEI; Michael Everson (2008年8月4日). “Proposal for encoding the Mandaic script (WG2 N3485)” (英語). Unicode. 2024年5月13日閲覧。
  3. ^ 大きい方がラテン文字などにおけるピリオド(句点)、小さい方がコンマ読点)などに相当するとされていた。
  4. ^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - U0840.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2024年5月13日閲覧

関連項目

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