マルホランド・ドライブ

マルホランド・ドライブ』(Mulholland Drive)は、デイヴィッド・リンチ監督による2001年アメリカ映画である。ただし制作にあたってフランスの映画配給会社による資本提供を得ている(後述)。第54回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。

マルホランド・ドライブ
Mulholland Drive
監督 デイヴィッド・リンチ
脚本 デイヴィッド・リンチ
製作 ニール・エデルスタイン英語版
ジョイス・エライアソン
トニー・クランツ
マイケル・ポレール
アラン・サルド
メアリー・スウィーニー英語版
製作総指揮 ピエール・エデルマンフランス語版
デイヴィッド・リンチ
出演者 ナオミ・ワッツ
ローラ・ハリング
ジャスティン・セロー
アン・ミラー
ダン・ヘダヤ
ロバート・フォスター
音楽 アンジェロ・バダラメンティ
撮影 ピーター・デミング
編集 メアリー・スウィーニー
配給 アメリカ合衆国の旗 ユニバーサル・ピクチャーズ
日本の旗 コムストック
公開 フランスの旗 2001年5月16日CIFF
アメリカ合衆国の旗 2001年10月19日
日本の旗 2002年2月16日
上映時間 145分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
フランスの旗 フランス
言語 英語
製作費 $15,000,000
興行収入 $20,117,339[1]
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日本公開時のキャッチコピーは「わたしのあたまはどうかしている」。作者はコピーライター蛭田瑞穂

あらすじ

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夜のマルホランド・ドライブ道路英語版自動車事故が起こる。事故現場から一人生き延びた黒髪の女性は、助けを求めにハリウッドまでたどり着く。女性が偶然潜り込んだ家は、有名な女優ルースの家だった。ルースの姪である女優志望のベティに見つかった黒髪の女性は、部屋に貼られていた女優リタ・ヘイワースのポスターを見て、反射的に「リタ」と名乗った。彼女はベティに自分が事故で記憶喪失になっていると打ち明ける。リタのバッグには大金と青い鍵。ベティはリタの失った記憶を取り戻すことに協力する。

キャスト

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括弧内は日本語吹替

作品解説

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本来は、アメリカのテレビ局ABCのテレビシリーズを想定し、リンチが脚本を書き、パイロット版も作成されたが、最終的にABC側に却下されお蔵入りの危機に瀕した。その後、フランスの配給会社Canal Plusが出資し、映画化が決定された[2]

マルホランド・ドライブは実在する道(自動車道)で、そこからハリウッドが一望に見渡せる。リンチは本作品により「ハリウッドのダークサイドを描きたい」と述べていた。なお、リンチによると、この映画は同じくハリウッドを舞台にした1950年の映画『サンセット大通り』へのオマージュである。

また、イギリス出身の画家・ホックニーは同じく「マルホランド・ドライブ」という題の絵画を発表している。これはハリウッドにある自宅から仕事場への道であるマルホランド・ドライブを走っているときのイメージを表現したやや抽象的な作品であり、空の部分に実際のハリウッドの地図を使うなど前衛的である。

デイヴィッド・リンチによる10個のヒント

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以下は、リンチにより提示された、ストーリーを理解するためのヒントである。映画公開時は、オフィシャルサイトにも掲載されていた。

  • 映画の冒頭に、特に注意を払うように。少なくとも2つの手がかりが、クレジットの前に現れている。
  • 赤いランプに注目せよ。
  • アダム・ケシャーがオーディションを行っている映画のタイトルは? そのタイトルは再度誰かが言及するか?
  • 事故はひどいものだった。その事故が起きた場所に注目せよ。
  • 誰が鍵をくれたのか? なぜ?
  • バスローブ灰皿コーヒーカップに注目せよ。
  • クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?
  • カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?
  • Winkiesの裏にいる男の周囲で起きていることに注目せよ。
  • ルース叔母さんはどこにいる?

公開

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日本での公開時は、チケットの半券を持っていれば1,000円で鑑賞できるリピーターを推奨するキャンペーンが配給会社(コムストック)により行われた。

また、エンドロール終了後に表示されるパスワードを入手すると、日本語版オフィシャルサイトの特別ページに入ることができる特権が与えられ、「謎解き」のヒントを入手することもできた。

評価

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リンチ独特の世界観

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本作品には、直線的に進行するストーリーが存在しない。現実のシーン、回想のシーン、空想のシーン、夢のシーン、ストーリーに関わりのなさそうな第三者のシーンなどが説明のないまま鏤められているような印象を与えがちである[3]。それが誰の「回想・空想・夢」なのか、果たして「現実のシーン」などあるのかという疑問を通常観客は抱きがちである。

観客は映画・および入手した情報全体から、それぞれ自分なりのストーリーを作り出し、その世界観を解釈することもできるし、或いは幻惑的とも言えるシーン展開に身を任せることも可能である。

こうした手法は、『イレイザーヘッド』 『ブルーベルベット』 『ツイン・ピークス』 『ロスト・ハイウェイ』などの、リンチ自身が脚本を書いている作品から連綿と受け継がれている。その脈絡の無さ、意味不明さを突きつけられた観客が無理矢理にストーリーと世界観を組み立てる事が、「人が無秩序な現実世界を前にして、無理矢理に“世界観”を組み立て、人生を“ストーリー”化する」さまを、映画というメディアに投影しているという解釈も出来る。しかしそれも数ある解釈の一例に過ぎない。

  • BBCが選んだ「21世紀 最高の映画100本」でベストワンに選ばれている[4]
  • イギリスのエンタメニュースサイトdigital spyの「映画に出てくる名セックスシーンベスト10」で3位に選ばれた[5]
  • 英国映画協会が2022年に発表した「史上最高の映画100本」で8位に[6]、「映画監督が選ぶ史上最高の映画100本」では22位に[7]選ばれた。

受賞歴

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カンヌ国際映画祭での監督・キャスト。

脚注

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外部リンク

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