マルセル盗難事件(マルセルとうなんじけん)は、1968年に発生した美術絵画品盗難事件。

概要

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1968年(昭和43年)、京都国立近代美術館11月9日から開催されていた「ロートレック展」の最終日の12月27日フランスから借りて展示されていた油彩絵画のうちの一つ「マルセル」(時価3500万円相当)が消えた[1]

盗難から3日後の12月30日に美術館から約200メートル離れた自転車置き場で額縁だけが発見され、現場の西側にシューズの跡が残されていた[2]。また、「マルセル」は一番人気があった作品だったが、隣にあった『酒場「スター」のイギリス娘』(時価1億円以上)は盗まれていなかったことから、換金目的ではなく「マルセル」の熱狂的なファンの仕業と考えられた[3]

事件から7年後の1975年(昭和50年)12月27日窃盗罪公訴時効が成立した[3]

その後『マルセル』は、時効成立後の1976年(昭和51年)1月、大阪市に住む会社員夫婦が「盗まれた『マルセル』ではないか」と新聞社に連絡してきたことで発見された[4]。会社員夫婦によると「『マルセル』は知人で京都に住む中学教諭から預かったもので、風呂敷に包まれた中身を確かめずに押し入れに置いていた」という[4]。中学教諭は「知人から預かっており中身を知らなかった。知人の名は信義があるので言えない」と主張し、時効のため詳しい真相を追究することができなかった[4]

2月27日、「マルセル」は読売新聞社(展覧会の主催)を経て、貸出し元だったトゥールーズ=ロートレック美術館Musée Toulouse-Lautrec、フランスアルビ)に無事戻った。しかし、犯人および動機は不明のままである。

その他

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  • 作家の沢野久雄は小説「失踪」でこのマルセル盗難事件を取り上げた。
  • 高樹のぶ子はこの盗難事件を追った新聞記者という題材で小説「マルセル」を毎日新聞朝刊に連載した。

脚注

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参考文献

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  • 井出守『迷宮入り事件の謎―ミステリーより面白い』雄鶏社、1994年。ISBN 9784277880664 

関連項目

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外部リンク

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