ポポル・ヴー
ポポル・ヴー(英: Popol Vuh)は、ドイツの音楽グループ。1969年、キーボード奏者のフローリアン・フリッケが、ホルガー・ トリュルシュ(パーカッション)、フランク・フィードラー(レコーディング・エンジニア)、ベティーナ・フリッケ(タブラ)らとともに結成した[1]。後に参加したメンバーには、ディヨン・ユン(尹伊桑の娘[2])、レナーテ・クナウプ、コニー・ファイト、ダニエル・フィッヒェルシャー、クラウス・ウィーゼ、ロバート・エリスクらがいる、グループの名前はグアテマラのキチェ族の神話『ポポル・ヴフ』からとられた。ポポル・ヴフ、ポポル・ブーとも表記される。[3]
ポポル・ヴー Popol Vuh | |
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出身地 | ドイツ ミュンヘン |
ジャンル |
クラウトロック アンビエント サイケデリック・ロック ニューエイジ・ミュージック 電子音楽 |
活動期間 | 1969年 – 2001年 |
レーベル |
Liberty ピルツ United Artists Cosmic Couriers Brain Records Innovative Communications |
共同作業者 | アモン・デュールII |
旧メンバー |
フローリアン・フリッケ ホルガー・ トリュルシュ ディヨン・ユン コニー・ファイト ダニエル・フィッヒェルシャー クラウス・ウィーゼ ロバート・エリスク フランク・フィードラー レナーテ・クナウプ ベティーナ・フリッケ アル・グローマー・カーン テッド・デ・ヨング グイド・エロニムス マヤ・ローズ |
ポポル・ヴーは、電子音楽プロジェクトとしてスタートしたが、フリック指導の下、シンセサイザーを使わない、オーガニックでワールドミュージック的な音楽に変わった[4]。ヴェルナー・ヘルツォーク監督の映画『アギーレ/神の怒り』(1972年)、『ガラスの心』(1976年)、『ノスフェラトゥ』(1979年)、『フィツカラルド』(1982年)、『コブラ・ヴェルデ』(1987年)には音楽提供した[5][6]。1970年代の西ドイツのクラウトロック運動とは近い関係にあり、環境音楽の先駆者とも言われている[7]。代表作は『ファラオの庭で』(1971年)、『ホシアンナ・マントラ』(1972年)[8]。
歴史
編集1970年リリースのファースト・アルバム『原始帰母』では、モーグ・シンセサイザーとエスニックなパーカッションをフィーチャーしていて、スペース・ミュージックの最初期の作品のひとつとみなされている。この傾向は続くセカンド・アルバム『ファラオの庭で』および『アギーレ/神の怒り』のサウンドトラックまでで、1972年の『ホシアンナ・マントラ』以降、フローリアン・フリッケはピアノ主導の曲作りのために電子楽器を使わなくなり、宗教的なテーマを探求するようになった。楽器も増えていき、管楽器、弦楽器、電気楽器とアコースティックを組み合わせ、スピリチュアルで内省的な音楽を作り出した。
チベットやアフリカ、先コロンブス期のアメリカの音楽からインスピレーションを得たポポル・ヴーだが、ヨーロッパの多くのバンドに影響を与えた。彼らのサウンドは「エーテル」とも評され、ニューエイジ・ミュージック、環境音楽、現代のワールドミュージックの先駆者とみなされている。
フリッケが2001年12月に死去したことにより、ポポル・ヴーは終焉を迎えた。
ディスコグラフィ
編集スタジオ・アルバム
編集- 『原始帰母』(または『猿の時代』[9]) - Affenstunde (1970年)
- 『ファラオの庭で』 - In den Gärten Pharaos (1971年)
- 『ホシアンナ・マントラ』(または『ホシアナ・マントラ』[9]) - Hosianna Mantra (1972年)
- 『聖なる賛美』(または『聖なる賛美(山上の垂訓)』[9]) - Seligpreisung (1973年)
- 『一人の狩猟者、そして七人の狩猟者』 - Einsjäger und Siebenjäger (1974年)
- 『雅歌』 - Das Hohelied Salomos (1975年)
- 『アギーレ/神の怒り』 - Aguirre (1975年)
- 『最期の日、最期の夜』 - Letzte Tage – Letzte Nächte (1976年)
- 『ガラスの心』(または『ハート・オブ・グラス』) - Herz aus Glas (1977年)
- 『影の兄弟、光の子供達』 - Brüder des Schattens – Söhne des Lichts (1978年)
- 『ノスフェラトゥ』 - Nosferatu (1978年)
- 『魂の夜』(または『魂の夜(タントラの歌)』) - Die Nacht der Seele (1979年)
- 『静謐の時』 - Sei still, wisse ICH BIN (1981年)
- 『アガペー・神の愛』 - Agape – Agape (1983年)
- Spirit of Peace (1985年)
- 『コブラ・ヴェルデ』 - Cobra Verde (1987年)
- For You and Me (1991年)
- Sing, for Song Drives Away the Wolves (1993年)
- City Raga (1995年)
- Shepherd's Symphony – Hirtensymphonie (1997年)
- 『オルフェオのミサ』Messa di Orfeo (1999年)
フローリアン・フリッケ(ソロ)
編集- Die Erde und ich sind Eins (1983年)
- Florian Fricke Plays Mozart (1992年)
コンピレーション・アルバム
編集- Perlenklänge: The Best of Popol Vuh (1976年)
- Tantric Songs (1981年)
- Fitzcarraldo (1982年) ※映画『フィツカラルド』サウンドトラック
- In the Gardens of Pharao / Aguirre (1983年)
- Gesang der Gesänge (1988年)
- 『アギーレ神の怒り~ベスト・オブ・ポポル・ブー』 - Best of Popol Vuh – Werner Herzog (1989年/1993年)
- Florian Fricke (1991年)
- The Best Soundtracks from Werner Herzog Films (1991年)
- Best of Popol Vuh from the Films of Werner Herzog (1992年)
- Sing, for Song Drives Away the Wolves (1993年)
- Movie Music (1994年)
- Nicht Hoch Im Himmel (1998年)
- Future Sound Experience (2002年)
- 70's Progressive (2006年)
- On the Way to Himalaya (2006年)
- The Werner Herzog Soundtracks Box set (2011年)
- Revisited & Remixed (1970–1999) (2011年)
非正規アルバム
編集- Yoga (1976年) ※フローリアンがインドのミュージシャンと録音
脚注
編集- ^ Popol Vuh Biography, Booklet to CD issue of "Popol Vuh Revisted & Remixed, 1970-1999", SPV recordings, 2011
- ^ Isang Yun, discogs.com
- ^ バンドとメンバー(一部)の表記はキングレコードの『ポポル・ヴー名盤コレクション』『EUROPEAN ROCK COLLECTION』のCDのライナーノーツに拠った。(筆者:高見博史、松本昌幸)
- ^ “Biography”. AllMusic. 21 May 2019閲覧。
- ^ “Biography”. AllMusic. 21 May 2019閲覧。
- ^ 『カスパー・ハウザーの謎』(1974年)にはフローリアン・フリッケが単独で曲提供。
- ^ “Biography”. AllMusic. 21 May 2019閲覧。
- ^ “Acclaimed Music - Popol Vuh”. Acclaimed Music. December 22, 2016閲覧。
- ^ a b c Young Person guide to Bell Antique VOL.1 POPOL VHU / ポポル・ヴ、marquee.co.jp