ボーフォール (チーズ)
ボーフォール(フランス語: Beaufort)は、フランスサヴォワ地方のサヴォワ県の大部分とオート=サヴォワ県の一部で生産される、牛乳を原料としたチーズ[5]。ハードタイプに分類される[2]。ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン (1755 - 1826) がチーズの「プリンス」と賛辞を述べたのは、このチーズをさしているとされる[6]。名称のボーフォールは産地のコミューンのひとつ、ボーフォール (サヴォワ県)に由来する[5][7][8]。同じ地方で生産されるアボンダンスとの類似が指摘されるが、大きさはボーフォールの方が大きい[9]。
ボーフォール Beaufort | |
---|---|
分類 | セミハード |
原料 | 牛乳[1][2] |
原産国 | フランス |
原産地 | サヴォワ地方 |
生産場所 | 酪農協同組合、酪農工場、農家、シャレ(山小屋[3])など |
形状 | 車輪型。側面は窪みを見せる。 |
大きさ | 直径35-75cm、高さ11-16cm |
重量 | 20,000-70,000g(平均40,000g[4]) |
乾燥成分 | 62/100g |
脂肪分 | 48%以上 |
表皮 | 濃い黄色や茶色 |
熟成 | 4ヶ月以上、5ヶ月以上[5] |
呼称統制 | AOC (1968[5]) |
正確な年代は不明ながら起源は中世にさかのぼり、ヴァシュラン(この地方やスイスなどで牛乳から生産されるウォッシュチーズの総称[10])を作っていた人々が17世紀にグリュイエールチーズの製法を導入し、グロヴィール (grovire) と呼ばれる、現代のボーフォールに似たチーズの生産を始めた[5]。ボーフォールの文献への初出は1865年とされ、製法はこのころから現代までおおむね変わっていないとされる[5]。1968年にはAOC認定を受けた[5]。
ボーフォールには呼称による分類があり、普通のボーフォールのほかに「エテ (été)」および「アルパージュ (alpage)」がある。この2つは夏の間に放牧牛の牛乳から作られるボーフォールをさし、中でもアルパージュはシャレ(山小屋[3])で作成されるものに限定される[7][11]。ボーフォールはAOC認定の際、生産地を海抜800メートル以上と限定されているが[5]、アルパージュを名乗るためのシャレは標高1500メートル以上に立地することが必要とされる[7][11]。この「ボーフォール・ダルパージュ (beaufort d'alpage) 」は「最高級[11]」「絶品[4]」「個性的で希少で高価[7]」などと評される。
味は甘味が感じられ[4]、「青草、花、フルーツ、ナッツ」と表現される複雑な風味を持つ[7]。ワインやクルミ入りのパンと合わせたり、フォンデュに使ってもよい[4]。
脚注
編集- ^ 以下「基本情報」欄は、特記の無い限り下記文献(本間, 増井 & 山田 2009, p. 18)による。
- ^ a b 本間るみ子; 増井和子; 山田友子 著、文藝春秋 編『チーズ図鑑』 182巻(7版)、株式会社文藝春秋〈文春新書〉、2009年、18頁。ISBN 4-16-660182-2。
- ^ a b 前掲 (本間, 増井 & 山田 2009, p. 25)。
- ^ a b c d 本間るみ子 著、主婦の友社 編『チーズの選び方 楽しみ方』株式会社主婦の友社、2012年、145頁。ISBN 978-4-07-285215-6。
- ^ a b c d e f g h 日仏料理協会 編『フランス 食の事典(普及版)』株式会社白水社、2007年、624頁。ISBN 978-4-560-09202-6。
- ^ 前掲 (本間 2012, p. 145)。ただし、後述のようにボーフォールの名の初出は1865年とされている。
- ^ a b c d e かのうかおり (2014年). “アルプスのチーズ「ボーフォール」”. All About. 2014年10月26日閲覧。
- ^ アルベールヴィル近郊。
- ^ 前掲 (本間 2012, p. 146)
- ^ 前掲 (日仏料理協会 2007, p. 52)
- ^ a b c “ボーフォール ダルパージュ”. サントリー. 2014年10月26日閲覧。
外部リンク
編集- ウィキメディア・コモンズには、ボーフォール (チーズ)に関するカテゴリがあります。
- 公式ウェブサイト