ホロムイイチゴ(幌向苺、学名:Rubus chamaemorus)は、成長の遅い小柄なバラ科キイチゴ属の植物である。和名は、北海道岩見沢市幌向地区で発見されたことにちなむ[1]。果実はコハク色をしており、食用になる。日本ではクラウドベリーの英語名でも知られる。

ホロムイイチゴ
Cloudberry
雄花
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
: キイチゴ属 Rubus
: ホロムイイチゴ
R. chamaemorus
学名
Rubus chamaemorus, L.
和名
ホロムイイチゴ
英名
cloudberry

特徴

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ホロムイイチゴは10-25 cmに成長する多年草。地下に細い匍匐茎を伸ばし、地下茎から花枝をたてる。は掌状に5-7裂しており、分枝のない茎に互生する。花は茎の先端に単独で生じ、花粉媒介の後、白い、ときに赤い斑点の付いたからラズベリー大の果実が実る。

果実には5から25の核果が入っており、熟していない果実は赤く、秋の初めになるとコハク色に熟する。なお、雌雄異株である。

分布と生育環境等

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亜寒帯性あるいは高山性で北半球に広く分布する。日本では本州北部と北海道、千島に知られ、近隣地域ではサハリン北朝鮮に分布する。

ニューファンドランド・ラブラドール州ケープ・ブレトン島ノバスコシア州北部ではベイクアップル(bakeapple)と呼ばれている。学名chamæmorusは、ギリシャ語の khamai(「土の上の」)と moros (「クワ」)からきている。

類似の植物に英語でサーモンベリーと呼ばれ、同属で北アメリカに分布する R. spectabilis (日本特産のベニバナイチゴ R. vernus に近縁)があるが、混同すべきでない。

利用

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北ヨーロッパでは果実を生食する他、ジャムジュースリキュールなどに加工する。エスキモーは貴重なビタミンC源として果実を採集し、保存食を作る。スカンジナビア諸国では珍重され、フィンランドの2ユーロ硬貨にはホロムイイチゴがデザインされている[2]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 2010年 ホロムイイチゴ
  2. ^ 「世界の食用植物文化図鑑」p123 バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント著 山本紀夫監訳 柊風舎 2010年1月20日第1刷

関連項目

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