ホウ化オスミウム(Osmium boride、OsBx)は、オスミウムホウ素の化合物である。最も顕著な性質は、非常に高い硬度である。オスミウム原子の電子密度の高さと、オスミウムとホウ素の間の強い共有結合により、超硬度材料になっていると考えられているが、まだ証明されてはいない。例えば、OsB2は、サファイアに匹敵する硬さだが、超硬度材料ではない[1]

斜方晶OsB2の構造。緑色がオスミウム原子でピンク色がホウ素原子

合成

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ホウ化オスミウムは、真空または不活性気体中で、有毒化合物である酸化オスミウム(VIII)の形成を抑えながら合成される。合成は、1000℃程度の高温下で、二ホウ化マグネシウム三塩化オスミウムの混合物から行われる[1]

構造

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OsB、Os2B3、OsB2の3つの構造が知られている。最初の2つは、二ホウ化レニウムに似た六方晶構造を持つ[2]。OsB2も当初は六方晶構造であると考えられていたが[3]、後に斜方晶であることが分かった[1][4]

出典

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  1. ^ a b c Cumberland, Robert W.; et al. (April 27, 2005). “Osmium Diboride, An Ultra-Incompressible, Hard Material”. Journal of the American Chemical Society 127 (20): 7264-5. doi:10.1021/ja043806y. PMID 15898746. 
  2. ^ M. Hebbache et al. (2006). “A new superhard material: Osmium diboride OsB2”. Solid State Communications 139 (5): 227-231. Bibcode2006SSCom.139..227H. doi:10.1016/j.ssc.2006.05.041. 
  3. ^ Kempter, C. P.; Fries, R. J. (1961). “Crystallography of the Ru-B and Os-B Systems”. The Journal of Chemical Physics 34 (6): 1994. Bibcode1961JChPh..34.1994K. doi:10.1063/1.1731807. 
  4. ^ Roof, R. B.; Kempter, C. P. (1962). “New Orthorhombic Phase in the Ru-B and Os-B Systems”. The Journal of Chemical Physics 37 (7): 1473. Bibcode1962JChPh..37.1473R. doi:10.1063/1.1733309.