ペプロマイシン
ペプロマイシン(Peplomycin)は曾てはペプレオマイシン(Pepleomycin)[1]とも呼ばれていた抗がん剤であり、ホジキンリンパ腫、 非ホジキンリンパ腫、 前立腺癌、肺癌などのがんの治療に使用される。 通常は他の抗がん剤と併用され、静脈内投与、筋肉内注射、動脈内注射により投与される。ブレオマイシンの誘導体であり、使用上の注意点も類似しているが、肺毒性はブレオマイシンより弱く[2]、抗腫瘍効果は強い[3]:1,13。日本でのみ販売されている[3]:36。商品名はペプレオ。開発コード:NK631。
IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
販売名 | Pepleo |
Drugs.com | monograph |
データベースID | |
CAS番号 | 68247-85-8 |
PubChem | CID: 6852373 |
UNII | 56H9L80NIZ |
KEGG | D08336 |
ChEMBL | CHEMBL3990196 |
化学的データ | |
化学式 | C61H88N18O21S2 |
分子量 | 1,473.60 g·mol−1 |
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ペプロマイシンの研究が開始されたのは1974年である[3]:1。真正細菌の Streptomyces verticillusの培養液に前駆物質を添加して産生させる。
効能・効果
編集禁忌
編集重篤な肺機能障害や肺線維化病変、重篤な腎機能障害、重篤な心疾患を有する患者等には禁忌である。
また、ペプロマイシン投与中は胸部への放射線照射が禁忌となる。
副作用
編集重大な副作用は、
- 間質性肺炎・肺線維症(7%)
- ショック(0.1%未満)
である[4]。
間質性肺炎・肺線維症の出現は警告欄にも記載されている[4]。
薬物動態
編集血中濃度はペプロマイシンの方が若干高いものの、推移の傾向はブレオマイシンと同一である[4][5]。
ペプロマイシンはブレオマイシンよりも血中に多く留まるものの、他の臓器への分布はブレオマイシンと類似している[3]:17。但し、肺にはブレオマイシンの1.5倍以上の濃度で分布する。
ペプロマイシンは速やかに尿に排泄される[3]:18。
作用機序
編集ペプロマイシンの作用機序は、DNA合成阻害作用およびDNA鎖切断作用で、その強さはブレオマイシンと同等である[4]。
化学的特徴
編集ブレオマイシンと異なり、ペプロマイシンは単一の化合物である。化学名は、N 1-{3-[(1S )-(1-Phenylethyl)amino]propyl}bleomycinamideである。
出典
編集- ^ PubChem. “Peplomycin” (英語). pubchem.ncbi.nlm.nih.gov. 2021年5月14日閲覧。
- ^ “ブレオマイシンおよびペプレオマイシンの肺線維化能について”. UMIN. 2021年5月14日閲覧。
- ^ a b c d e “ペプレオ注射用5mg/ペプレオ注射用10mg インタビューフォーム”. PMDA. 2021年5月14日閲覧。
- ^ a b c d e “ペプレオ注射用5mg/ペプレオ注射用10mg 添付文書”. www.info.pmda.go.jp. PMDA. 2021年5月14日閲覧。
- ^ 池田重雄, 宮里肇, 斉藤一義, 中山坦子, 牧田敦宜, 寺門武文, 田嶋公子 (1980). “皮膚癌”. 癌と化学療法 7 (5): 756-767.