ベニバナヤマシャクヤク

ボタン科ボタン属に分類される多年草の1種

ベニバナヤマシャクヤク(紅花山芍薬、学名Paeonia obovata Maxim.[1])は、ボタン科ボタン属分類される多年草の1[2][3][4]。種小名(obovata)は、倒卵形を意味する[5]和名に生育し、全体がシャクヤクに似ていて、薄紅色のをつけることに由来する[2][5]

ベニバナヤマシャクヤク
ベニバナヤマシャクヤク P. obovata、滋賀県、2024年6月1日撮影
ベニバナヤマシャクヤク P. obovata
滋賀県、2024年6月1日
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
: ユキノシタ目 Saxifragales
: ボタン科 Paeoniaceae
: ボタン属 Paeonia
: ベニバナヤマシャクヤク
P. obovata
学名
Paeonia obovata Maxim.[1]
和名
ベニバナヤマシャクヤク

特徴

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高さ30[3]-50 cm[2]は2-3枚が互生し、2回3出複葉で裏面に軟毛が生える[2][3]

の先端に薄紅色の直径4-5 cmの花を1個つける[2][3]。白色の花をつける個体の地域もある[6]ヤマシャクヤクによく似ているが、雌蕊柱頭はヤマシャクヤクが短く、少し外側に曲がるだけに対して、本種は長くのび、著しく湾曲する[2]。花期は4-6月[2][3]

果実袋果で開出し、種子は黒色で球形[4]、不稔種子は赤色[3]。葉の裏面に毛がないものは、ケナシベニバナヤマシャクヤク(毛無紅花山芍薬、学名:Paeonia obovata Maxim. f. glabra (Makino) Kitam.[7])と呼ばれている[4]

分布・生育環境

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山地の林内に生育するベニバナヤマシャクヤク

中国(東北部)、樺太朝鮮半島日本温帯に分布する[4]。日本では北海道本州四国九州)に分布する[2][3][4]

山地落葉広葉樹林などに生育する[2][3]

種の保全状況評価

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日本では環境省によるレッドリストで絶滅危惧II類(VU)の指定を受けていて[8]、多数の都道府県のレッドリストで指定を受けている。北海道川上郡標茶町では、ベニバナヤマシャクヤクが2005年平成17年)6月1日に天然記念物の指定を受けていて[9]網走郡美幌町ではベニバナヤマシャクヤク自生地が1999年(平成11年)に町の文化財の指定を受けている[10]宮崎県小林市では、ケナシベニバナヤマシャクヤクが、1975年昭和50年)5月23日に天然記念物の指定を受けている[11]

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

[8]

脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠. “ベニバナヤマシャクヤク”. (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info(2025年1月10日). 2025年1月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 林 (2009)、504頁
  3. ^ a b c d e f g h 門田 (2013)、266頁
  4. ^ a b c d e 佐竹 (1982)、111頁
  5. ^ a b 牧野 (1982)、102頁
  6. ^ ヤマシャクヤク”. 京都府. 2025年1月10日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠. “ケナシベニバナヤマシャクヤク”. (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info(2025年1月10日). 2025年1月10日閲覧。
  8. ^ a b 環境省レッドリスト2020の公表について”. 環境省 (2020年3月27日). 2025年1月10日閲覧。
  9. ^ Ⅶ. 教 育 ・ 文 化 - 標茶町” (PDF). 標茶町. pp. 18. 2025年1月10日閲覧。
  10. ^ 美幌町の文化財”. 美幌町. 2025年1月10日閲覧。
  11. ^ ケナシベニバナヤマシャクヤク”. 小林市 (2022年2月18日). 2025年1月10日閲覧。

参考文献

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  • 門田裕一、畔上能力、永田芳男、菱山忠三郎、西田尚道『山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年3月30日。ISBN 978-4635070218 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、1982年3月17日。ISBN 458253502X 
  • 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421 
  • 牧野富太郎『原色牧野植物大図鑑』北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZE。 

外部リンク

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